Cinemaなおしゃれ・6

ガラス細工のような繊細さをコートで演出

ヴィヴィアン・リー

Vivien-Leigh

 マーヴィン・ルロイ監督、『哀愁』(40)は、メロドラマのお手本です。

 第一次世界大戦当時のロンドン。青年大尉と踊り子が、空襲警報が鳴り響くウォータールー橋で出会い、恋に落ちます。が、様々な事情で結婚できず、ある雨の夜、踊り子は絶望のあまり、自からの命を断ちます。

 主演はヴィヴィアン・リーと、洋服屋の看板みたいにハンサムなロバート・テーラー。溜息が出るほど美しく、ロマンティックなカップルです。

 大雨で進軍が2日のびたロバートのもとへ、レインコートで蝙蝠傘をさして駆けつけるヴィヴィアンは、レインハットを被っています。この帽子はリボン付きで、コートと共布。 

 2人は結婚しようと教会へ急ぎますが、叶えられません。スーツの襟元につけた小さな花束は、ただ1つの婚礼のはなむけに、そしてレインハットがウエディング・ヴェールになるはずでした。

 この作品の衣装デザイナーは、ウォルター・プランケット。『風と共に去りぬ』で豪華絢爛なヴィヴィアンを作りだした彼。次作の『哀愁』では、地味な衣装でヴィヴィアンのガラス細工のような繊細な一面を惹きだしました。

 ドレスやナイトガウンは、エレガントな魅力にあふれています。ヴィヴィアンの着た、ゆったりした長袖のシフォンのドレスは、本当に繊細で可憐です。

 

 


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