Cinemaなおしゃれ・14

上半身にポイントをおいて

イングリッド・バーグマン

Ingrid-Bergman

 若い頃、イングリッド・バーグマンは素顔のままでスクリーンテストに合格しました。ハリウッドはスウェーデン生まれのバーグマンの、天然の美に感じ入ったのです。身長が170センチをこえ、当時としては大柄なほう。それだけに健康的で大らかで、大地の匂いがします。

 鼻、口、頬にかかる線が華やかで、歯並びが整っている彼女。そこにブロンドの髪が花をそえます。

 46年アルフレッド・ヒッチコク監督の『汚名』は「映画史上もっとも長いキス・シーン」で有名です。共演はケーリー・グラント。

 ホテルの部屋についた2人は、磁石がくっつくように抱き合います。高い鼻がほとんど離れず、水が入る隙間もありません。スクリーンは、見上げるバーグマン、見つめるケーリーのアップで埋まります。

 バーグマンは、襟のつまったボレロ風スーツ。散髪がえりみたいなケーリーは、きちんとネクタイを締めています。上品で、決して乱れることのない定型の美。

 衣装デザインはイデス・ヘッド。上半身にポイントをおき、下半身に余裕をもたせたロング・ドレスが、バーグマンをしなやかに見ます。

 黒ベルベットのドレスは、胸と背中が大きく刳れ、アクセサリーはベルトとイヤリングだけ。大柄だからこそ、着こなせるドレスです。

 モノクロームの画面が衣装とともにスリルを盛り上げ、バーグマンの魅力を一層ひきたてていました。

 

 

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