Cinemaなおしゃれ・13

シンプルなデザインが見せる愛らしさ

エリザベス・テーラー

Elizabeth-Taylor

 エリザベス・テイラーはイギリス生まれ。青い瞳が澄みきって、真っ白い肌、真っ黒な髪。小柄でちょっぴりグラマーで、勇気があって純情で、勝気で甘えん坊。

 50年ヴィンセント・ミネリ監督の『花嫁の父』。二十歳の長女(リズ=もちろんエリザベス・テーラーの愛称です)の結婚準備に、一家は大騒動。娘を独占していると信じていたパパ(スペンサー・トレーシー)は、はらはら見守るのがやっと。

 リズは、とっかえひっかえ着替えます。緑のチェックの開襟シャツ。膝丈のコットンパンツ。赤いチェックのガウン。どれも誰もが持っている、身近な普段着ばかりです。

 デートにはワンピースとコートで、縦長に開いた襟ぐり、白くて丸いボタン。ブルーの濃淡ですっきりとコーディネイトされ、エレガントです。青い瞳って、うらやましい。

 ウェディング・ドレスは、光沢のある純白のサテンとレースが、交互に波打っています。長いドレープへと続くスカート。頭から足まで、春霞にうかぶクリーム・ケーキのよう。

 デザイナーのヘレン・ローズがリズの衣装で心がけたのは、ピュアな色とシンプルなデザインです。そもそもリズは首が短くて胴が長い。そのリズを美しく見せたのは、襟をゆったりと開け、ウェストを細くしぼり、スカートを広げたロマンティックな服でした。

 ヘレンのデザインは、映画館から帰ってすぐに着られるぐらい親しみやすい。だからこそ、半世紀たった今でも、ずっと愛されているのです。

 

 

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