Y’s えげれす... ほへと


轟 悠さまとは 全く関係のない 個人的な事ながら、
一部ごく少数の方々からのリクエストにお応えして
やうこの英国滞在記を 
ほそぼそながら書いて行きたいと思います。

標題の由来は、(Yu’s Purple Shadow にちなんで 「Y’sえげれすいろは」にしたら?との 唯一 貴重なご発案のもと、
「いろは」では おそれ多いので、雰囲気として「ほへと」かなと。


小学校の夏休み日記さえ3日と続かなかったこの私。
思いつくまま お気楽に
「あなた」に向かって おしゃべりさせて頂く感じで
えげれすに生きる私の「今」を
お伝えして参りたいと思います。

さて。
3月10日12時半に日本を出ち、飛行時間約12時間、時差9時間で、
同日15時30分、英国Heathrow 空港に到着。
いよいよ えげれす生活が始まりました。

ケンブリッジ到着までのアレコレは 掲示板記載のこちらで 

カレッジ
 えげれすと言ったって、同じ地球の上、今や ご使用の携帯電話も そのままつながり、半日寝ていたら着く距離で、ま、そりゃ言葉や 文化・歴史は全く違っても、そうそうビックリするような事は 無かろう、と思っていた私です。
 ところが、「ビックリ」というより、「案外」と言った方が合ってるかもしれない、新鮮な感動に出会う日々を過ごしています。
もしかしたら それは ここがケンブリッジという学問の街だからで、イギリスの中でも 特殊な存在なのかもしれませんが。

 私ったら何の知識も無くて、昨年 夫が「ケンブリッジに行こうかな」と言った時、ロンドンに住んでケンブリッジ大学に通うのかと思ってました。
(夫が なんで大学に通うかについては いまだナゾでございます。ま なんだって良いワケで。)
やがて ウスウス分かってきたのは、ロンドンとは かなり離れた場所にあるケンブリッジ(ケム川が流れ、橋がたくさんあるんです)の街の中に、大学がある、という事。そして、「大学」といっても、日本のように、ひとつの大きな建物がある大学じゃなく、分散していて、なおかつ いくつかあるcollege(カレッジ)が 大学と 密接な関係を持ちながら 街を形成してる、という事です。

 このカレッジについては いまだ理解不能な部分の方が多いのですが、夫が所属しているW.カレッジでのあれこれについて、お話してみますね。
 カレッジ=寮、というワケでもなさそうなのですが、主な建物は、さまざまな種類の宿泊施設で、今、私が住んでいるのは、こんな建物です(1)。
この中が7軒分に分かれていて、各戸にそれぞれにドアがある造りで、なかなかいい感じに見えますが、キッチンが共同だったり いろいろ不便なので、4月からは(2)の方に移る予定。すべて、ベッドや家具が整っていて、週に一回、シーツ交換やお掃除もしてくれます。
(1)   (2)
wカレッジの広大な敷地の中に、こうしたいろいろなタイプの建物があり、中央に、ホールや事務、図書室などのある建物があります。
そして、なんたって良いのは、三食付きってことでござります^^。((2)の右手前の建物がホールになっていて、そこで食事をします)
特に夜は、毎日メニューが変わって、いくつかのお料理の中から選ぶシステムで、と〜ってもラクチン♪値段は、1食だいたい3〜4ポンドです。
 掃除も 料理作りもせず、てんこ盛りのお食事で、こりゃ 太っちゃいそう〜!

ただし、日曜日の夕飯は無しで、しかも、街のレストランやスーパーも 閉まるのが早くて、なんと5時に 容赦なく電気が消えて行くんです。5時ってあなた。
「みんな〜 そんなに急いでどうするん?」
そのナゾは、歩いていて 解けました。どうやら、日曜日の夕方は交流日。
特に、カレッジ(30位ある)同士の交流が盛んなんです。
いつもは 地味で堅実な若者達が、皆、盛装して、ワインのビンなど抱え、いそいそと行き交っています。

 カレッジ内の交流も盛んで、月のうちの何回か「フォーマル ディナー」があり、その時は 男性は ハリーポッターが着てるような黒いガウンを着用。
ウチの夫も 半年間お借りしています。ちょっとくたびれたコウモリ傘、って感じもせんでもないけど、それなりにアタマ良さげにも見えるのです。
 ディナー会場に入る前の控えの間で、シャンパンやジュースを手に、皆、弾丸のような早口で談笑しているのですが、ひとたびドラの音が鳴り響くと、ピタっと静粛な空気となり、入場して行く様子は さすがと思います。
住まいあれこれ
ケンブリッジには、日本人の数も少なくないようです。
私も さっそく知り合った方に、昼間、国際交流の集まりに連れて行っていただき、そこで日本人グループのお仲間に入れていただきました。
 もう この際、英語上達なんていう野望は抱かず、日々をイージーに過ごすのが何よりと思う私ですから、外人さん(どっちが?)のスピーチなど聞き流し、ひたすら日本人同士「おいしいお茶は どこで飲めます?」「日本食は・・・?」など 情報収集&おしゃべりで 楽しいひとときでした。
 その時やっていた「一日ビーズ教室」で、ビーズ作りに挑戦。
記念すべき初作品が この指輪です。(3) 多少ピンボケに写ってるのがミソでございます。
 
(3)   (4)
 ついでながら、鍵についてのお話を。
(3)は、我が家の玄関です。 古い木のドアーに分厚くペンキを塗ったもの。そして、回すのにちょっとしたコツを要するカギです。
これが我が家専用の玄関ですが、共同キッチンがある為、奥に入った居室にも、これまた違うコツを要するカギを使わないといけません。

ところが、すべての鍵が こうした時代物、というわけではないんです。
夕方6時以降に Wカレッジの正門・裏門が閉まる為、居住者すべてが(4)のようなICチップが入ったカードを持ち、これを、門の横のセンサーにかざすと門が開く、という仕組みです。
 このカードは、プリペイド カードにもなっていて、食堂、洗濯機使用、その他一切を このカードで済ませ、カレッジ内でお金は使いません。

こんなふうに、必要なものは合理的に、でも、多少の不便はあっても 使えるものは大切に使う、という意識を 随所で感じることが出来ます。

とは言え・・・ 
 今の我が家の最大の課題は、お風呂です。(5)
バスタブが無くて、この うらさびしい電話ボックスに入り、上の方に固定されたシャワーを浴びる、という方式なのだけんど。
蛇口をひねると 初めは冷たい水が出るものでしょう?
ドアを閉めないと 水が外に出ちゃうので、ドアを閉めたら、お腹をめいっぱい引っ込め、スミったってタカが知れてるけど できるだけ片隅に寄って、温度が高くなるのを待つ辛さ。
 それに、どうやら、水の成分が、ウオッシュレットに向いてないせいか、おトイレもね・・・・。
そんなこんなで、なんか スッキリせんのです。

3月末には 日本人が何組か退去し、バスタブ付きのお部屋が空くのが、今の「夢」でござります。
お友達になったSさんご夫婦のお部屋に移れそうなので、ご帰国は寂しい反面、はよお帰りやす、とも言いたいような。。。
(5)
もうひとつ、これは仕方ないのですけど、洗濯が、ちょっと不便。
洗濯用の建物(6)に、4〜5部屋があり、各洗濯機2台、乾燥機2台があります(7)。
「カードを入れて、すぐに取って、 コースを選んで・・・・」と、聞いていたのだけど、実際やってみたら、ドアが閉まらず、何度もカードを出し入れしちゃったり。取りかかったお兄さんにお聞きすると、どうやら、親のカタキのように、渾身の力をふりしぼってドアに体当たりして閉めないとダメなのでした。
 そして、出来上がったものを取り出そうとしたら、また ドアが開かない。誰も通らない。で、トンカチかなにか持って来ようかと 半ベソで悪戦苦闘し、天を仰ぐと、ふと、壁に説明書ふうのものが・・・。
 さりげなく地味なボタンがあって、それにタッチすると、あっけなく開いたのでした。やれやれ。

そして、乾燥機に移して、部屋に帰り、疲れをいやして戻ると、なんかウス汚いって言うたら失礼どすけど、そこらのイスに、ウチの洗濯物が。

数が そう多くないため、待ってる人が、済んだものを勝手にどけて 自分のを入れる、ま、仕方ない事ですけんど。
聞くところによると、運動靴とか バッチイものも わけへだてなく洗濯・乾燥させるそうで。まあね、仕方ないんだけど。 
 (6)   (7)
カレッジ周辺
これから少しずつ町並みなど ご紹介して参ります。
一番上は、到着の翌日に撮ったケンブリッジの街の写真中で 比較的まっとうに撮れたものですが、デジカメの説明書を日本に忘れて来たので、ズームやらのテクが まったく使えないので、期待せんといて下さいませ。
(8)   (9)
(8)マグノリアの花(木蓮のような・・・)。その向こうの木には ま〜るいやどり木の固まりが・・・。
(9)鴨の親子です。すっご〜く可愛いの。 河辺にたくさん遊んでいて、人が居ても全然こわがりません。
(10)街の中をのどかに流れるCam河で、ボート遊びをする人々。
   
   (10)
(11)   (12)
(11)公園から”花の道”を通るとClare College、その右奥が、King Collegeチャペルが見えます。
この、(11)の写真の手前は、(12)です。   
(10)の奥や(11)のゲートすぐ奥のように、Cam河にかかる橋は多く、それぞれロマンティックな名前が付いています。
  街を歩いていていると、趣深い建物に ふと目を奪われます。
こちらも、そうして目にとまった美しいカレッジです。写真は、チャペルで、中央のステンドグラスや、両窓のお花などが とても愛らしい雰囲気なのです。
 夜に 合唱団のコーラスがあるというので行ってみました。夜の聖堂は幻想的。
(写真を撮ったのですが、真っ暗になっちゃうので あきらめました)
その前の晩は、(11)の写真奥のKingsのチャペルで 夜のミサがありました。この少年聖歌隊は有名で、毎年クリスマスの模様を世界的に放映するとか。
実は、その前の晩も、近くのカレッジのチャペルに行きましたし、ここのところ聖歌続きです。
 日本では めったに教会に行く機会の無い夫も、「無料」という言葉に惹かれ、大満足です。
ろうそくの灯りがゆらめく中、石造りの天井高く響きわたる清らかな歌声。
まるで天使が舞い降りるような。。。と、いつのまにか 夢の世界に誘われてしまうバチアタリな我ら夫婦でございます。
 それに、どんな天使の歌声だって、出口を出れば、即、あの低くて甘〜い歌声にとってかわるのは かなしいサガと申しましょうか。
 いつか 荘厳な聖堂で TOMさまのお歌などお聴きすることが出来たら まさに天に昇る心地というものですね。

と、のんびり暮らし始めた私の携帯電話が鳴りました。

姉の暗〜い声で「帰ってきて欲しいんだけど・・・」と、早くもSOS=帰国命令が下されたのでした。

もともと、高齢の両親を残しての海外暮らしに かなりの迷いは ありましたが、
夫の方も 結構トシですし、母も勧めてくれたので決めた事でした。
なので、いつでも帰国できる態勢ではあったのですが、
命に別状ない事もあって、21日(大切なセレモニー予定があり)まで待ってもらう事にしました。

さぁ それならば!
残された数日で めいっぱい楽しまなくっちゃ イギリスを。

というわけで、レンタカーを借りて、3日間、朝から晩までイギリスの野山、いえ、山は無いので
適当に 端に向かって走り回り周ることにしました。

(この旅行は、当事者の自己満足の記録ですが、宜しければご覧ください)
イーストアングリア プチ旅行記

レンタカーを返しに行ったその足で、向かうは憧れのロンドン
いえ
Kean Streetでございます!
9月の日生劇場公演で TOMさまが演じられるエドマンド・キーン
その名前にちなんだ通りがあると聞いていたので
皆さまへのお土産がわりに せめて写真を・・・と行ってみました。

        
通りの角に張ってある標識です(四方を撮ろう思ったのですが、一カ所見あたらず
30メートル(いい加減)位の短さの どちらかっていうと地味〜な通りで、
「ここで良かったのかな?」という気もしないでもないけど・・・。
     

「お役目 完了!」とばかり、その後、いそいそとHarrodsに直行して アフタヌーンティーをいただき、
地下鉄でピカデリーサーカスまで出て、ラーメン・餃子など食べて、まさに「ゲップが出らぁ」(伊佐さんですから)の大満足で帰って参りました。
でも、家に帰って もう少し調べたところ、キーンが出演&経営した劇場、Theatre Royal Drury Laneにも行くべきだった事が判明いたしました。
やだ〜(T_T) 皆さま ごめんなさ〜い。次回の課題にいたします。
日本に居る時に「イギリスといえば、紅茶」と思っていたのですが、今回 私が、短い期間に見たり聞いたりした限りの事ですが、どうやら 日本のように、多様な紅茶、色とりどりのお菓子、おしゃれなコーディネートでお茶を楽しむという事は あまり無いようで、ここハロッズで ようやく ”憧れの三段がまえアフタヌーンティ」にありつけました。
こうした形式が楽しめるのは、特定のお店か、高級ホテルでの事のようで、一般のカフェは、スターバックス系統だったり、軽食のついでに、といったおもむきです。
そもそも、ちょっとしたレストランや、カフェで、「紅茶」と言ったら、ポットに ふつ〜のティーバッグが入って出てきて、ちょっとガッカリする事もしばしばです。
 私が、友人に誘われて伺った「カフェ モーニング」(10時から11時半頃まで)や、聞くところの「ティー パーティ」であっても、目的は、会話&交友で、各自が、ティーバッグやインスタントコーヒーなど入れて、ビスケットなどつまみながら、ひたすらしゃべりまくるひとときなのでした。

 イギリスの方が読んだら怒られてしまうかもですが、一般に「イギリスの食事は美味しくない」と言われ、私も覚悟して行きました。
でもま、覚悟の割には、結構イケテるかと思いました。香料も強くなく、お野菜が多めで、薄味で。種類も、まあまあ豊富じゃないでしょうか。
そして、予想外だったのは、少食の方が 圧倒的に多いということ。健康に気を遣っていらっしゃるんですね。
ディナーパーティで完食を誇ったのは我ら夫婦だけだったかもしれない。皆さん残してらっさる。
 そうした経験から、勝手な想像ですけれど、イギリスの多くの方々にとって、「食」は、身体を養うもの、という意識が徹底しているような気がしました。
もしかすると それは、宗教的な精神に基づくものかもしれないですね。
何より大切なのは 人との交流。 新たな出会いに積極的で、そこで出会った人について知り、記憶しようとする意欲・・・。
同じ島国でも、日本とは大きく違う文化と意識を つくづく感じました。

 そんな訳で 21日は、かなりフォーマルなディナー パーティがあり、あまりガツガツする事のないよう事前に少しお腹に入れて臨みました。
こちらのパーティには ほとんど共通の決まりがあるんです、これが。
夫婦バラバラに座り、両隣と前席の方と絶対に話し続けないといけない、という恐怖のオキテが。
なので 私は、約2歳から3歳程度の英語を駆使し、大汗かきつつ アイソ笑い高笑いで、「日本 良いとこ一度はおいで」とか言いながら、やはり 見事 完食しちゃったのでございます。
ぐったり。
 おかげさまで、翌日、日本に帰る飛行機の中では 「えげれす? も〜 ゲップが出らぁ」(伊佐さんなんです)な満足感の中、爆睡状態で帰ることが出来たのでございます。 
さて、今回は、思いがけず短期になってしまいましたが、状況が許せば、5月中旬から、またケンブリッジに行く予定です。
この続きを書くことが出来たら嬉しいのですけれど・・・・。

        (2007年3月末)