私のお茶への想い


手揉み茶の技術を学ぶ  伝統を受け継ぎ今に活かす
 製茶の基本は手揉みにあります。手揉みははじめからおわりまでお茶と向き合い、自分の手の感触で仕上げていくものです。その技は、職人の勘と長年の工夫の積み重ねで培われたもので、たいへん合理的で機能的です。私はその先祖からの知恵をできる限り受け継いでいきたいと思います。

 昔は4月から7月ごろまで、毎日毎日手でお茶を揉んでいました。それは重労働であったと思います。そうした世代は、現在無形文化財として活躍しております。そうした方に直接指導される私たちはたいへん幸運であると思います。

 昔のように見て盗めといわれたころと違い、今は手取り足取り自らの技を伝授してくださいます。ありがたいことです。実際には昔なら年間300回近くお茶揉みをしたであろうことですが、私は年間10回程度。果たしてどこまで受け継ぐことができるか。一回一回を大事にして精進してまいります。
 
安全・安心のお茶つくり
 私たちの仲間は、すでに全面積で無農薬。農薬やそれに類するモノは一切使用していませんので、安心してお使いください。

 土を育てることを基本としまして、その不足分を補うのに、有機JAS認証で認められている肥料を使っております。この春野の土地はたくさんの肥料分を保持する力があります。したがって、施肥した養分が流れ出す割合が少ないです(専門的には腐植が多くCECが高いといいます)。そうした土地にめぐまれた、つくってきた歴史が今を支えています。

 またここは排気ガスの心配も水質の問題もありません。環境がいい場所で育つチャです。
 
コスト意識と経営努力
 私たちは百姓であることに誇りをもっています。しかし、従来のようにどんぶり勘定ではだめだと考えています。

 みなさまに喜んでいただけるために、おいしいお茶つくりの技術の向上にも努めます。そして納得価格であることが大切だと考えます。

 そこで、削れるコストは出来る限り削るように経営努力をして参ります。例えばCM広告やりっぱなつくりの店舗を構えるお茶屋さんにはなりません。このHP作成もりっぱなコストですので最小限にしております。このことは、この軽いページをご覧頂くことで了解されることと思われます。

 逆に必要なコストは、十分に手間をかけます。例えば、お茶を揉むときに、5分余分に丁寧に揉むと、その分コストは上がりますが、それ以上によいお茶に仕上がるのです。こうしたコスト意識を常に心にとめ、みなさまに余分な支出をさせないように心がけます。
有機認証について
 認証をとる準備はしています。しかし、できることならお互いの信頼関係の上でお付き合いしたいと考えています。確かに認証をとることは現在の大量流通のシステムでは、一つの参考になると思います。しかし、本来ほしいのは、認証のあるなしでなく、信頼できるか安心できるかということであります。そして、いずれの場合にも農家の良心とみなさまとの信頼関係が大切だと思います。

 有機というのは、お互いの信頼という「心意気」こそが大切であるとは、私の師匠の言葉です。この言葉を胸に刻みます。
私たちは多くの方に育てられています。
 今この土地のお茶を気に入ってくださって、お飲みいただいている方々や、私たちとともに研究して産地を育てていこうという心意気のお茶屋さんにお世話になっています。私たちはそうした方々の期待にこたえるようなお茶つくりに励みたいと思います。

 お茶は嗜好性が強いものです。私たちのつくるお茶もおいしいといわれる方から、渋いという方までいらっしゃいますが、万人向けのお茶は申し訳ありませんができません。

 したがって本気でお付き合いしてくださる方に納得していただけることをめざして、この土地のもつ可能性を最大限生かす形でつくっていきたいと思います。
地域の要
 私たちの地域ではみんなお茶を少しづつ栽培しています。5月はみんなでお茶摘みをして、まるでお祭りのようににぎやかです。このみなが一丸となるにぎやかさと新芽の生き生きとした緑、新茶の香りが地域の元気につながっていると思うのです。この地域があることで、森林が守られたり多様性が保たれたりします。そうした地域のつながりをお茶は支えています。

 みなさまがお茶を頂いてくださることが、山を守ることにつながっています。

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