たけ茶んのコラム

なんで有機を始めたの?

 と、最近聞かれました。そこで、初心を整理することに。

 大学生のころ、どういう生き方をするかという視点から、有機農業を選びました。

 大学時代、恩師の橘泰憲先生から有機農業について、多くを学んだ訳ですが、それの私なりのまとめが、「ライフスタイルとしての有機農業」でした。有機農業は、技術的な事はもちろん大事なことですが、一番大事なのは「姿勢」であるといわれます。

 本当に人が安らかに生きるための「生き方」を探し出すこと=有機農業ということです。

 日々の生活の中で、次々と判断して選んでいきます。その基準や物差しは、その人それぞれが独自に持つ「美意識」です。この美意識を磨いていくということが、有機農業には大事な事になります。

 土地が違えば気候も違います。一枚の畑でも微地形的には違うわけですから、それに対応した判断は、三者三様。橘先生はこれを「100人いれば100の有機農業がある」としました。この多様性があることが自然です。

 とはいえ、細かくみれば(ミクロ)では違っても、大きくみれば(マクロ)、同じことになります。

 日本で育つFOODは、日本の風土にあった育て方になります。したがって、古来より育まれた日本の美意識や日本の哲学を学ぶことも、有機農業への道であると思います。もちろんこうした知恵は、日々の生活「ケ」の中に紛れていたり、近所付き合いや祭りといった「ハレ」の中にも溶け込んでいます。そうして自ら主体的に気づき、各自の体系を組み立てていくことになります。

 このことは有機農業の先達も明記しています。一楽輝雄氏は暗夜に種を播く如くの中で、「有機農業とは技術的様式の問題ではなく、生活上の価値観の問題である」と書いています。
(2017.9.10)
 「道」 その筋の技術でも知識でも、そして精神的にも、プロフェッショナルになることを、日本では「道」と表現してきた。

 柔道、剣道、弓道、茶道、すべて通ずるものがある。求道は日本人の美意識の宝である。










 背景として、農薬や化学肥料の有無という視点のみで有機農業を語ったり、規格をもっと厳しくしろとか、という動きもあるわけです。


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