鈴木猛史のコラム

なんで茶師になったの

 どうして茶農家になったといえば、手揉みにほれたからです。

 僕が社会に出た年は、バブルの最終年で、まだ売り手市場であって、僕にも案内だけでダンボール2箱分のダイレクトメールがきた時期だった(といっても自宅にきていたので、その後帰ってから見てびっくりした)。農業か林業関係の仕事につきたかったが、いろいろ垣間見させてもらって、自分の実力とやりたいことを突き詰めた結果、現場の最前線にでるしか、道はないと思ったのだ。

 最前線を知らずに実力のないままに、公務についたり研究したりするのは、僕にはできなかった。もちろん僕の友人はそれを分かった上で、それでも公務員になって頑張っている人もいっぱいいるし、彼らはりっぱだと思うが、残念ながら僕にはできなかった。

 それに、日本の食と山とライフスタイルを適正にすることができれば、世界の多くの課題は解決する、という確信がある。

 現場の最前線といっても、実家に戻るのは安易であったし、他も考えた。でも、産業祭りで行われていた手揉み実演会での、なんともいえない手さわりや香りに魅了されていた。

 そして単なる飲料や嗜好品ではなく、その先の価値あるものめざしたい。世の中が変わっても必要とされる存在に高めたい。

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 機械化される前はみんな手揉みだった。今は保存会で残るくらい。


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