2002 「ちょー弥生(前編)」
一日(金)
「なんかサー、旅行とか行きたいよネー」――鷹村裕樹
健康診断の血液検査をしようと思って病院へ。
午前三時間午後二時間待たされて診療五分。今日は検査せず次回予約で終了。
初診料診察料注射料計2500円也。
結論としてもう血液検査なんかしなくていいや。どうせ四月に学校でやるし。
月初めは鷹村家で突発飲み会から開始。電話かけたらいたから。
町田へ出たのでまんがの森に寄ったら「蟲師」サイン本はとっくに売り切れていた。残念すぎる。悔しい。
金沢土産の日本酒を飲みながらダラダラしていると鷹村さんに電話。仕事発生。いつもながらお疲れさまです。
そんな鷹村さんと二人でヤスに電話をかけてこの春長崎に旅行に行く約束を取り付け、IHARONを呼び出しては絵を描かせる。
良い日でした。
二日(土)
「風邪ひいてしまいました、だと?
ふはははは、それみたことか、我の予言した通り!」――柴三郎
鷹村家で起床。というか徹夜。
鷹村さんはちゃんと寝ていたのだが、朝イチで長野へ。行ってらっしゃい。
俺は家に帰ってからちょっと寝たら、季節の変わり目の飲んだあとの徹夜でバッチリ風邪を引いていてダウン。
素敵な月初めになりました。
三日(日) 上巳の節句
「02年5月、キングレコードにてイメージアルバムが発売される事が決定!
朝霧に煙る三次の街……。
いつもの朝、いつもの日常……。
楽しげに響き渡る笑い声、いつもの学校……。
その時、突如、あやかしが!!!!!!
と思いきや、「巫女委員会」による笑い声が……。
なにがどうてんかいされるのか予測のつかない怒濤の展開!!!
歌あり、ドラマあり、笑いあり、涙あり!? のイメージアルバム!!
もうこれは、正座の上、刮目して待てってな感じです、くぅー!!」――「朝霧の巫女」CD情報正気か貴様等
なんか揺り戻しのように寒い日だった。今日は寒かった。
午前中は風邪でひっくり返り、午後は家の仕事。以上。
買い忘れていたOURSを買ってきたが、読んでみたら思っていたよりつまらなくはなかった。「ピルグリム・イェーガー」のおかげがとても大きいような気もする。あのフランシスコ=ザビエルはないだろう。
朝霧の巫女もとても面白いは面白いのだが、今回はアニメ化決定のキャプションの印象の方が強かった。大丈夫なのか。大丈夫なのか。大丈夫なのか。
三回も書いてしまったが本当に大丈夫なのか。ウガワさんのサイトにでも見に行ってみよう。
なんかしかし、CDドラマの方も不安いっぱいの紹介文だったし。一番ダメなタイプの声優さんとキャラの魅力だけで押し切るつもりの、速攻生徒会並に痛々しい作品が仕上がってきそうで今から不安しかない。
本当に大丈夫なのかOURS編集。HELLSINGの件もあるし、君らのことは一ミリも信用してないぞ。嗚呼。
番外「浅葉家の食卓」
「抱きつき離脱、ですか」
「まままま。K-1はおいとこう」
「せふぉー対べるなるどは、もの凄い好勝負だったのですが」
「メインがねー……。でもまあ、勝つならあれっしょ。踏み込んで一つ打ってはクリンチ。ルール上一撃離脱。有利」
「一度、抱きつきにいった選手が投げ殺される事件が起きればよいのですが」
「ないから。それはないから。あとよくないし」
「良いと思うのですが」
「聞けよ人の話を」
四日(月)
「日記すら更新されない日記サイト」――うちのことじゃナイヨ
風と花粉症のツープラトン攻撃であえなくK.O。右目腫れすぎて前が見えません。
一応、学校にも行くだけいってみたがフラフラで作業にならず。こりゃ寝てた方がマシだった。
番外「謝罪記者会見」
(パイプ椅子の並んだ部屋に記者陣がひしめき、ひっきりなしにフラッシュを焚いている。それを眩しそうにしながら、前の席には記者陣と向かい合うようにスーツ姿のいかにも会社役員と言った風情の人物等が数名、少し青ざめた表情でうつむき加減に座っている)
「えー、時間になりましたので始めたいと思います。最初に社長の方からお詫びの言葉がありますので」
「エー、皆さん。この度は本当に、申し訳ありませんでした。このような事態を招いてしまい、まことに遺憾であると同時に責任の重さを強く感じ……」
「(途中で遮って)ちょっとすいません。今回謝罪ということなのですが、それはどういった意味合いでの謝罪になるのでしょうか」
「(不快そうに)どういったもなにも、謝罪と言ったら謝罪でしょう」
「それだと責任の所在が曖昧になってしまうのではないでしょうか。では聞き方を変えます。今回の記者会見により「ZALDUSUTER2」と「ユユゆゆ」の抗争ネタがでっちあげであったと認めた、そのことについての謝罪であると、そのように受け取って宜しいんでしょうか」
「君!」
「失礼にも程があるぞ!」
「まったく無礼なヤツだ。我々は日記サイト同士の抗争が事実でなかったなどと、そんなことはひとことも言っていないだろう。単にyu2様のサイトをヲベロン如きのそれと比べてしまったことが間違いであったと、そう言っているのだ」
「しかしヲベロン氏は自分のサイトは日記サイトではないと主張しているようですが」
「ハッ……」
「素人さんはこれだから困る」
「君ねぇ。質問するならもう少し勉強してからの方がいいんじゃないのかな」
「みなさんお聞きになりましたか。こいつはとんだ名探偵だ!(どっと)」
「(食い下がって)では、yu2氏のサイトが日記系でないと判断するに至った根拠はなんでしょう」
(根拠もなにも……)
(アレだけメイドが出ているのに……)
(彼はどこの記者だ。下がらせた方がいいんじゃないのか)
「やれやれ。記者の皆さんも君にはついていけないようだ。お引き取り願おうか」
「(ニヤリと笑って)成る程。どうやら僕の負けのようです。では最後にお聞きしましょう。
今回の件と、yu2氏の所持している「菅野よう子のCD」の因果関係についてなんですが……」
「貴様っ!」
「何処でそのことをっ……!」
「うるさい! 僕をここまで追いつめたのはお前達だ!」
(どういうことだ?)
(まさか裏取引……)
(CDを貸してくれるから急に扱いに差をつけたなどと……)
(バカな! 癒着!?)
(ヲベロン氏はこのことを知っているのか?)
「記者会見はここまでだ! 公式発表については事務所に問い合わせてくれ!」
「どいてくれ! 道をあけて! 早く!」
怒号と喧噪の渦巻く中、去っていく男達。
(※続かず)
五日(火)
「とりあえず16日の晩に集合予定」――まめ先輩
不調続行。
ダメだぁ。これはダメだぁ。
熱まで出てきた。普通に生活が危険。
番外編「浅葉家の食卓」
「そんなわけで今日から「盤獄の一生」がはじまったわけですがー」
「銃が……」
「はいはいはいはい言うと思ったよー」
「あのような、携帯可能で必中精度の拳銃があの時代にあろうはずも」
「火縄もなかったしねー」
「幕末だと思えば拳銃の種類自体はまだしも、精度が……」
「そうそう。明らかに10メートルよりかなーり以遠だし。あの距離で必中なんて現代の拳銃でもそうそう……。しかも江戸時代なら彼等射撃訓練ほとんどしてないだろーにねえ」
「おフランス様に殴って頂きましょう。作家を」
「拳銃向けられたときのアクションもなあ。「伏せて転がりながら射界からでろーっ!」って言いたくなるよねえ」
「「斜めに走って逃げろ!」でも可、です」
「ネー。絶対移動目標になんて当たらないって。マタギでも呼んでこない限り」
「拳銃を向けられたらもう、なにもできず倒されるというのが時代考証的に正しいのかもわかりませんが、とにかく歯がゆくてたまりません」
「先週の御家人斬九郎の最終回もネー。「また銃カヨ」みたいな。お手軽だよ扱いが拳銃の」
「同感。しかし九郎様は、罠とわかって赴くならもう少しご準備なすってもよかったでしょうに」
「そうそう。絶対あの寺に火をかけないとダメだって。奇襲・親玉暗殺・火。これだけ揃ってはじめて互角なんだから。ゲリラ戦は」
「それから、あの日は雪だったのですから、不格好でも手袋と足袋です。寒さで手足の感覚がなくなるというのは、剣術には致命的です。足袋は濡れてくると逆に体温を奪いますが、どちらにせよそこまで長期戦になれば負けですし」
「あれ、はじめに茶室だかで斬り合い初めて、それからいっぺん外に出たけど、その後しばらく屋内戦だったでしょ?」
「そうですね。大人数に囲まれることを防ぎ、また天井や壁、襖のあることから間合いの広い武器を使いにくくする。対して自分は小さく構えて斬り込みをかける。まさにこれしかない、という戦い方でした」
「で、なんで最後外で戦ってたの?」
「それがわからない……。屋外では数の利に負けるに決まっているのに……。しかも雪で動きは鈍るし……。だから一度外に出て敵の頭数の見当を付けて、すぐに屋内戦へ持ち込んだと思ったのですが……」
「もう、建物の中では粘れないくらい攻め立てられちゃったのかなあ」
「しかし、それだけの戦力を運用して三十から五十名と思われる「戦死」者を出してしまって、地方の小藩が立ち行くのでしょうか。人も減りますし死亡者の扱いや手当、幕府への届けなどを考えますと……。当時の社会情勢的には、あれはアリだったのでしょうか……」
「まあ、そのへんは時代劇ってことで」
「そうですね。そのあたりは時代劇ということで」
「じゃあ、結論としては、斬九郎の最終回は面白かった」
「をべろんも激賞」
「盤獄には頑張って貰いたい」
「期待しましょう」
「ってことでー」
「この企画が許されるものなら、また」
六日(水) 啓蟄
「何じゃ――。この娘は?」
「振舞?」――アフタヌーン3月増刊号「もっけ」より
虫が出てきているかは不明だが、気がつくと野の花はずいぶんと咲いているようだ。
知らぬ間に梅は盛りを過ぎたようだし、このまま暖かくなってくれればいいのだけれど。
と思うのもつかの間、バイトで一日終了。終わらないぞ資料整理。明日も続行。
七日(木) バイト
「貴様は中国拳法を舐めすぎた!!」――烈海王
作業終わらず。
押してる、押してる。
来週まで持ち越しだよ。
終わらない。終わらない。
八日(金) 歯医者
「つらい。」――ヲベロンどうした
なぜ歯医者かというと左の下の方の歯の具合がどうも良くない。
死ぬほど歯を食いしばって根性入れる機会が多い身としては、力入れると痛いというのはかなりヘナヘナします。へナックです。これは困る。
そんなわけで歯医者へ行ったわけですが、「単に親不知が出てきた関係で調整が行われている最中」ということでした。なーんだ安心。
しかし別の場所に虫歯があるのでこの機会に直しておこうと。そういう話に。
そして歯を診て貰っているときのこと。
「全体的には綺麗ですねー」
「あい。ごうぼ」
「じゃあ、左だけ今日やっちゃうからねー」
「あい。あがりあでぃだ」
「あと三年学生だってねー」
「ごぼっ」
「先生は何でも知ってるんだよー」
「えげげげげ」
「喋ると危ないから。喋ると危ないから」
だったらそういう話を急に始めないでください。
しかし、誰から漏れたんだ……。
夜、ひとみ悟空達とカレーを食べに行って久々に辛いカレーを堪能し、満足げに帰ってきたらなんと。ヲベロンがリプレイを上げていたのでビックリ。
インスパイアされたのでなんかやろうと思い立ったが、一晩かけてもなにも出来ず。
すっかりさび付いたのでリハビリせねばと思ったり思わなかったり。
九日(土)
「少しくらい孤独な方がより深く楽しめる分野ってのは、やっぱりあると思う」――原田宇田児
昨日寝てないので眠く、かつ歯が痛い。
さらに花粉が凄くてその上風邪。
今日は寝ていろという神のお達しだと思ったが、ムカツクので逆に色々調べものや家事を。
故に現在、体調悪化で大変なことになってます。寝ろよ俺。
十日(日)
「どこ行っちゃったの〆葉くん? この桃子さん特製シュークリームあげないわよー?」――young
クソ。騙された。信じた俺がバカだったのか。(※YES)
それはともかく日曜の日記なんて「休んでました」以外書くこともないなあ。
しかも明日は一日中バイトなので早寝するし。そんなわけでさらば。
相撲が始まったけれど貴之花がまた休場なのでなんともなあ。
十一日(月) 資料整理
「なんでののみがノミ屋なんだよ。しかも目ぇ逝っちゃってるし」――柴三郎今頃言われても
朝から夕方まで学校で資料整理など。
今日はテレビの取材が来たとかでバタバタ。偏見に満ちた俺としては、テレビマンというと礼儀のなってない傲岸不遜な感じの来るものだとばかり思っていたら。
本当にそんな感じの人が来た。
世の中そんなに予想を超えるようなことはないということだろうか。
帰りにちょっと本屋に寄ったら佐藤友哉の新刊が出ていた。新刊というか大分前に出ていたのかも知れないけれど俺的には新刊。「フリッカー式の続編?」と思うとそれだけで膵臓の当たりがヒヤー、としてくるので今の体調ではとてもこれを読んだら保たないと判断し、レジへ持っていった。
ってダメジャン。
ヤバイヤバイ。これが噂の逆コース、保守反動というヤツか。毒を以て毒を制すというか、人間関係の気分の悪さを他の気分の悪さで中和しようという無意識の選択と推察。
『フリッカー式』といえばもう、なんつーかどーしょもない。
もし高校生ぐらいの時にこういう本読んでちょっと虚無主義に走って世の中悟ってる気分の人間になっちゃったら先々大変だぞと薄ら寒い、客観視の出来る程度には若い時分の狂熱から離れた立ち位置にいなければ読めないような。
しかしでも若いうちに溺とハマって読んだらどんな気分なのかなあとかも思ったりする、でもこの気分がオタクにしか通じないような、そんなお話。
たとえ物語の中とはいえこんなに人生のギリのギリのところでぶら下がってるヤツらがいると思うだけで生きる元気、は湧いてこないけれど、なんか自分が悩んでることが全て程度の低い問題であるという気になれる、釈然としないながらもスゲエ気が楽になる、そんなお話。
悩んでいるヲベロンとかに読んで貰いたいけれど彼オタクじゃないからわかんないか。そんなお話。
それを欲するということは、わりとまだ自分自身ネットゲーのトラブル引きずっているのだなあフム。そんな推察。
因みに気がついたので買わずに引き返してかぷぬけの公式ガイドを買って健全に格ゲーの腕前向上につとめることにしましたとさ。
今はとりあえずnWoに癒してもらおう。そうしよう。
十二日(火) 資料整理 歯医者 等々
「絶対このドラマの筋書き無理あんだろ。あり得ないって」
「お兄ちゃんいいこと教えてあげようか?」
「うん」
「TV(てぃー・びー)」
「……。」
「TV(てぃー・びー)」――俺と妹子さん
だから朝から夜までバイトの日の前日は寝ないと。
と言いつつ寝なかったせいで朦朧の起床。しかも朝から疲れすぎ。精神的に。
なぜって昨晩の夢はフルタイムトラブル対応。もう延々。夢の中で仕事しすぎ。しかも夢なので全然建設的に解決しませんでした。サイアク。
あとは一日バイト。歯医者はあと数回で終わるというのでそれは良かったけれど、盤獄を見逃したのが痛すぎる。
番外編「浅葉家の食卓」
「先日言い忘れたことですが」
「……ハッ!? はいっ!?」
「御家人斬九郎の最終回。途中で雪の寺へ九郎様が走る場面がありましたが」
「ハイハイ。あの盛り上がったところ。なんか挿入歌が流れたところだよね」
「その歌が、横文字だったのですよ」
「あー。そーいや英語だったような……」
「正気ですか制作」
「まー『鬼武者2』の主題歌も英語だしね−」
「正気ですか制作」
「いや、雰囲気に合ってれば委員じゃないの?」
「だから言っているのです」
「そだよネー、アレはネー」
『作家を出せ、作家を』
十三日(水)
「でもねえ専務。
そういう貴方の一言一言が、内海をますます手がつけられなくしてるってことも
理解しないといけませんよ」――内海課長
休みダー。
と思ったら起きたら夕方。ガッカリ。
やっぱり三時間睡眠で一日バイトは二日連続が限界だな、と冷静に納得。三日連続入れないで良かった。
しかし、食事と散歩と立ち読みくらいでもう夜というのは侘びしい限りだ。
せっかく買った本を生かそうということでかぷぬけ2の連携を研究。
響で「近立ち中蹴り→小足」がつながるということを発見。そこから下小、キャンセル遠間ナリで四段だ。いぇー。
……。
柴三郎。本読んでも全然強くなれる気がしないんだが。どういうことだこれは。
十四日(木) 親の運転手
「『ビバ』はイタリア語で、『ノウレッジ』は英語だ!!!」――劉鳳
『スクライド』バカだけど格好いい。
今日は一日、親の手下として運転手を勤めたので特に書くことがないです。「腰が痛い」くらいか。
八王子で時間潰さなければならなくなった時、ゲーセンでかぷぬけ2をやって腕試しをしていたら、俺の遊んでいない方の台には乱入者がたくさん入ってサガブラリュウなどが戦っているのに、俺の方には誰も入ってきません。
……同情? ねえ同情? P組響は「あ……」って思っちゃう? 君ら。ネエ。
KU・TSU・ZYO・KU・だあ。
あ。そういえばその時まんが王でようやっと『ゴルディアス』の一巻が買えたんだった。さすが王様。ただの森とはわけが違うね!
いやあ探した探した。さすがに別冊ヤングマガジンのコミックスは難しい。
さて、アレクサンダー大王の故事に範を取ったこの『ゴルディアス』。物語の作り自体は良くある「突然凄い力の持ち主への支配力を持ってしまった女の子」という形式。
これは「突然凄い力をもってしまった女の子」という魔女っ娘システムの亜流と考えることが出来るが、わかりよい例としては男の子が主人公であるが『うしおととら』があげられる。
この手の作品では蒼月潮の位置にいる、主人公の魅力が大きなポイントとなるが、その点本作の主人公、彩木あやの魅力は非常に大きいと言っていいだろう。特に異常な能力を持つことのない、しかし勇気と良識を併せ持った「気持ちの良い人間」としての彼女の存在があればこそ、異能者たる鍵屋みつるの存在もまた引き立つ。
確か全三巻だったと思うが、一巻ではほとんどあやと鍵屋の出会いと関係について描かれているのみであり、山田綺羅、ゲイトキーパー等、他のキーパーソンについては顔見せのみといった感が強い。
しかし今後の展開に期待を持たせるには十分な出と引きであり、作者の構成・演出力も高く評価できる。
ハッキリ言えば絵柄に関しては超上手い、超萌えと言ったことはなく、「ヘタだ」と言う向きもあるだろうが、この手の作品では話の筋は概ね決まっており、重要なのは感情移入させることが出来るかどうかということであり、その意味では、単なる画力とは別のところで各キャラの魅力が良く描けており、何の問題もない。漫画力が高いと言える。
背景があまり得意でないのか、白さが目立つこと。また舞台が学校に限定されていることから世界の広がりには限界を感じるが、限定された空間において話が進行するというのは三谷幸喜の作品にも良く見られるように、それはそれで密度が濃くなり、筋書きに集中できるという利点もある。
以上より、漫画が好きな人にお勧めするになんの躊躇もない。ちょと入手しにくいけど、読もう。
絵柄が見たい人向けに作者さんのサイト。
十五日(金) 学位授与式
「めくら仙人めあき仙人と言ってね。ものの見える人もいれば見えない人もいる。
真面目にやったからといって必ず報われる世の中でもないが。
わかってくれる人もかならず何処かにいるだろう。
頑張ることです」――○山先生
学位授与式というとなんだか良くわからないが、要するに卒業式です。
母上と二人で朝からスーツや着物など着て出かける支度。「どうでも良いが都心でやるというのはあまりにも遠い」という理由で意見の一致を見る。
中央線も混んでいて座る場所は別々。せっかくの節目の日で親子連れ立って出かけたたというのに、結局電車の中ではお互い寝てるだけ。
なんとかフォーラム到着後はすぐに別行動だし。母上は客席へ。俺は「……ハリー・ポッター?」という感じの、一生に二度は着ないであろうガウンを羽織って待機。
学部の卒業式と一緒に執り行ったのだが、院生は早い段階で出番が終わって帰ってしまって良くて少し申し訳ない思いだった。が、あのガウンで壇上に立ったところを秋華や桜君に見られていたとは……。辛っ。
院生はもう出番がないのだが、最後に先生方と懇親会をやるために待機。先生方は学部の卒業式に出ているので、結局学部の卒業式が終わるまでボーっとする。母上「飽きた」って帰るし。
懇親会ではようやくガウンを脱ぐことが出来た。黒い衣装は暑かった。そしてここでは各人が今後の自分の進路などを語る場があり、おかげでやっと皆のことを少し知ることが出来た。普段意外とお互いの素性について話さないというか、まず俺、皆と会わなかったものなあ。学校で。
その後、懇親会でアルコールが出なかったことについて不満を持った一部メンバーが当然の如く二次会へ繰り出す。「今日は君が主役なんだから」という理由で俺も強制連行。
仮に。
祝い事と言えば普通に酒を飲む人達が式典行事に数時間拘束された後、さらに懇親会でアルコール抜きでサンドウィッチなどだけを与えられてもう三時間ほど拘束延長されたとして。
そういう人達が居酒屋に行くとどういうことになるでしょうか。
答は僕の口からはちょっと。
しかし、数人がかりでもの凄い激励の嵐を頂き、不覚にも感動してしまった。この際、「何故、学生が俺一人だったのだろうか」という疑問は保留とする。
・今日の○山先生
「多津丘君はじゃあ、劉秋華君とは知り合いかね」
「あ。同期です」
「そうかね。彼は実に物怖じしない発言で、彼がいるおかげでゼミに活気が出てだね。例えばこういうことが……」
あの。
○山先生、一応今日は俺が主役……。
「……とまあそんなわけで、彼の指導教官は勿論別にいるから僕が出しゃばることではないのだけれど、なにかあったらいつでも連絡してくださいと、彼にそのように伝えておいてください」
「はい」
秋華君。
天下の○山昇先生がこのようにおっしゃってましたよ。俺の卒業祝いに俺そっちのけで。
何をやりやがった君は。