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2001 「調査旅行月間」


二十七日(火) 調査旅行出発日

「まだ青春18切符がないのが痛い」


 〆切マイナス二十七日目。

 出発前になんとか、この頭の上にずーとのっかっているレポートという重りを取り除こうと苦心してみたが、焦ってるとやっぱダメだ。時間制限があればどうかと思って粘ったのが逆効果。旅行準備でまたバタバタしてしまった。

 夜行出発も二回目なので少し余裕を持って挑むことが出来た。今回はちゃんとギネスの瓶を買ってきていたので、これを飲んでスーッと寝てしまった。学習効果学習効果。

 とはいえ、ムーンライトながらってムーンライトえちごに比べると全然! もう全くもって快適なのですよ。足置くところもあるし、座席大きいし。これは疲れないで乗れるだろう。いっぱい引っかけて寝てしまわなくても。

 この差はなんなんだろう。やはり利用者数なのだろうか。などと考えつつ就寝。


二十八日(水) 調査旅行初日

「大阪番長」


 〆切マイナス二十八日目。

 早朝大垣着。なんか毎度で馴染みの出てきた新快速に乗り大阪へ。

 まめ先輩のいる京都を通り過ぎ、大阪へ着。本日の待ち合わせは倉敷に17:00の現地集合なので、それまでの時間をどう使おうかと考えた末、まっすぐ現地へ行くよりもどうせなら途中下車して大阪で旨いもの食べておこうと決めたのだった。

 さて、今日の案内役は前に東京でネットゲーのオフ会をやったときにフラフラと出てきた番長さんです。しかしこの人は絵が上手くてプログラムを組める以外はあまり役に立たない人間なので、お連れの番長さんの友人さんが主に案内。

 天王寺で合流して、番長に東京土産のマガジンを渡し「ラブひなとかを参考にもっと媚び絵を描け」と無用のプレッシャーをかける。大変喜んでいただいたようだがマガジンは重いので捨てた。

 さーどこへ行こうかというときに、まずは俺の我が儘で良く行くたこ焼き屋とお好み焼き屋へ回ってもらうことにする。新今宮へ。そこから十五分ほど歩く。そして二件ともまだ開いていなかった……。

 そりゃそうだよな! まだ九時だもの!

 倉敷に17:00に着くためには、大阪を15:00には出なければならない。店が開くまで待ってる時間が惜しいので、番長の友人さんの案内で大阪ウロウロ開始。まずは天王寺から北上して日本橋を冷やかし、あーそろそろ新しいPC買わないとやっぱもうダメなんだろうなあ、という感慨を新たにする。

 時間が押してしまったのでかーなり急ぎ足で、途中たこ焼きを食べて、それから難波だかの地下でコーヒー飲んで、道頓堀行く途中で肉まん買って、それを道頓堀で食べて、ぜー六のアイスを食べて、もうターイムリミット。

 本当にタダの食べ歩きになってしまった。せっかく地元の人がいるからいろいろ話を聞ければ良かったのだけれど、お連れさんは途中で仕事のために抜けてしまわれたし、番長はCGを描いてゲームを作ること以外には自炊くらいしか追加機能がないらしくあまり詳しくない。

 とりあえず、ユニバーサルスタジオが出来ることで新しく開通したなんとか線のおかげで関西国際空港に行くのだか帰ってくるのだかが楽になったということと、近鉄電車だかを使うとお伊勢参りに行って日帰りで帰ってこられるらしい、ということが判明したのが収穫。あんまり大阪市街カンケーないし。

 本当はtokuchinさんという知人も推奨していた金龍ラーメンも食べたかったのだけれど、ちょーっと食べ過ぎていたので挫折。やっぱ夜行でちょっと疲れていたのだろうか。色々と悔いの残る大阪になってしまった。

 しかし案内ありがとう。番長就職が決まって貫禄が出ていたのでちょっと蹴ろうかと思ったけれどありがとう。お連れさんにもよろしくお伝えください。


 大阪駅から新快速で西へ。車中では薄曇りの空を見上げながら折り畳みの傘を持って来たことに安堵。

 高校の修学旅行以来の訪問になる倉敷は、小雨の降る肌寒い陽気。旅行中など、車中から見ることは結構あったのだけれど、久々に降りてみると思ったより変わっていない。

 修学旅行の班行動をブッチして遊んでいたゲームコーナーのある駅ビルを横目に、同じく入り込んで本を読んでいた図書館の横を通って南下。今回の旅行の目的地、大原美術館の角を曲がって入り、宿泊するホテルを探す。

 ちょっと入ったところにあったので見つけるのに難儀してしまったが、ここで先生方と合流。初日は先方の都合もあるので押し掛けることはせず、事前学習して終了。内容自体は、自分でも予習してきていたのでなんとか飲み込むことが出来た。つーかやってきて良かった。いきなりだったらどうだっただろうか。自信なし。

 夜には食事に外へ出る。かつてこの地で教育学会があったときにT崎先生が気に入ったというお店をN坂ねーさんが覚えていて案内してくださったので、そこへ。

 地酒地の魚地の野菜と揃ったお店で、きびなごなどもあり、またカサゴの丸ごと唐揚げや歯ごたえがたまらない新鮮なタコの刺身、唐揚げなどなどなど。

 素晴らしい料理となーぜか純米酒がないという素敵なアンバランスに微妙な気分。払いを見るとむしろ気分はブルーに。旨かったけれど、高すぎるよ……。観光地の観光客向けのお店なのだなあ、と痛感。

 美味しかったんだけどね! あれは居酒屋じゃなくてもう割烹だよなあ。

 大満足の先生方が投宿された後、このままでは終われない学生はリベンジツアーへ。まずは、大通りを流す。あんまり居酒屋っぽい居酒屋は無いなあ。チェーンも嫌だし。

 と、たこ焼き屋を発見。酒飲んだあとだし、まずはこれを。珍しく名古屋風赤味噌仕立てがあったのでこれを注文。熱くて甘くて素晴らしく旨い。

 ここのお店の人に地元の人が行くような居酒屋を教えて貰う。本当に「居酒屋」という感じの店と、せっかく来たんだから食べてみるべき高いけれど素晴らしく旨い店を教わる。ノータイムで前者へ。

 そのたこ焼き屋のところから路地を西へ入って、うすら十分も歩いただろうか。北側に縄のれんの店を発見。

 入ってみると、通路沿いにカウンター席。座敷もあるがもう埋まっている。カウンターの上には大皿に盛られた煮物や煮魚が十数種類も並べられ、奥には日本酒の瓶がずらり。メニューにもぬたやモツ煮、豆腐ものなどが並ぶ。

 居酒屋発見! と頭の中でファンファーレ大合唱団がデモやテロを繰り広げる中、地酒のぬる燗でぬたとイイダコの唐揚げをつまんで、本日は撤収。明日があることと先に一件行ってしまったのでもう食べられなかった。

 いやしかしここは当たりだった。明日また来よう、先生方を誘って来ようと決めた。

 その前に明日はまず調査業務をやらんといかんのだった。しっかりできるだろうか。がんばらんと。


弥生一日(木) 調査旅行二日目

「オーハラ、オォーハラ、オーハラ……、ってCMはなんだっけ?」


 〆切マイナス二十九日目。もう次の月か。

 朝食は宿泊場所の食堂で。パン食べ放題。オレンジジュース及びミルク及びコーヒーのみ放題。

 他なにもなし。

 お腹すっかすか。日本人には辛い朝食だぁ。

 
 さて、今回の旅行の目的は高名な大原美術館の御蔵の調査です。O原美術館にしとく? 伏せても変わらないって。

 まー具体的な内容は書いてもしょうがないし、書いていいのかどうかもわからないので省きます。いや実際、その御蔵自体が美術館の副館長さんも年に数回しか入らない、というほどの機密施設らしくて。そんなこと全然知らなかった学生バイトは事前説明だけでかなりビビりました。

 作業は午前、午後を通じてみっちり行われ、後半ちょっと集中力を欠いてしまうほどの詰め込み様。先生方は最後まで気持ちが切れないのがさすがで、俺はまだまだ根性が足りないと痛感。いやあキツかった。


 お昼が近くのうどん屋だったので、朝、昼と後々空腹になるメニューで来てしまったせいか業務終了後は皆ハラヘリモード。しかしこの、昼のうどん屋は旨かった上にそんなに高くなかった。観光地なのに凄いことです。

 で、夕食は昨日俺の見つけたお店へみんなでゴー。途中商店街の肉屋でコロッケを買って食べてみたら、これも揚げたてでベラボーに安くて大当たり。朝食の貧しさを敵取った気分。

 昨日の居酒屋到着。座敷へ上がって、価格が昨日メインで飲み食いした店より五割安いことに勢いがついた我々がまー飲む食う。まー飲む食う。白眉はやはり海の幸だったけれど、煮物焼き物もいいシゴトしているので刺身以外はちょっと、みたいなこともなく満喫満喫。

 やー。ここは誠に大当たりだ。これだから居酒屋研究はやめられない。

 飲みながらだと反省会もテンポよく進んだ。明日はもう少し、段取り良く作業が出来るだろうか。

二日(金) 調査旅行帰還日

「食べるものの旨いところだった……。倉敷」


 〆切マイナス三十日目。一ヶ月だよオイ。

 悲しい朝食後、すぐに作業へ。今日は午前でおしまいで帰らなければならないので全力投球。

 作業領域が広すぎて、成果はまあ、なくはなかったという程度に終わってしまったのが残念だけれど、今回は本当に予備調査だったからということでK松先生がそれほど気を落としていなかったのがなんとか収穫。

 本当に良くしていただいた職員の方々にお礼を述べつつ辞去。昼食に、美術館近くの昨日とは別の店でまたうどんを食らう。こっちの店はまあ、普通の味。

 午後すぐ発の「のぞみ」に乗るため、名物むらすずめだけをお土産に買うと、慌ただしく出発。名残を惜しむ暇はなかったけれど、また来るだろうから。

 行きは丸一日かけた道のりを新幹線であっという間に帰ってしまった。まー世の中って便利ネー、とは思った。早いわやっぱり。新幹線。

 新横浜で解散。調査旅行終了。お疲れさまでした。


 今回の旅行では自分の都合でどこかを見に行くことはほとんど出来なかったけれど、とにかく学問的に貴重な体験をすることができた。それから食べ物は大当たり。

 倉敷の町並みは修学旅行当時からそれほど変わってはいないように見えた。やはり古都と呼ばれるところは景観にも気をつけて発展しているのだろうか。またいずれ。いずれまた。


 二月は旅行二回もあってあっという間に過ぎ去ってしまった。さあ、三月だ。


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