2001 「弥生らしく(後編)」
十六日(金)
『たちかえる』
〆切ブッチ四十三日目……。
気がつけば三月が半ばまで来てしまっている。大変よろしくない。圧倒的によろしくない。
昨日I垣先生からもらったインスピレーションが消えないうちにと、ぜいぜい言いながらレポートにもう一度正面から取り組んでみる。
どーでもいいような二ページくらいのアウトラインを引くことに成功した。
やっと。
やっとなんとかなりそうな気がする。膨らませなければならないけれど、やっとだ。
全然疲れたばかりで達成感無かったけれど。
十七日(土)
「トンネルを抜けると」
〆切ブッチ四十四日目も縁起悪そう。
足りないところを補いに図書館へ行って資料の切り張り作業。
む。なんか昔の調子が戻ってきてるのだろうか。なんとかなりそうな予感が。
十八日(日) 若竹の会 銀天盤プチオフ会
「そこは雪国だという。」
今日は若竹ですが。
当然TRPGの用意などまるでしておりません。ちょっと復活しただけ、というレベルの俺はもはやのんべんだらりとするために出向いたようなもので。
今日は畳の和室で柴三郎、Cozyとポケモンをやってるだけの日になりました。主に。
二人ともスマン。もーいるだけだったな俺。
しかしCozyのカイリキーにはビビった。あんな隠し球を持っていたとは。
若竹終了後、ヤスを加え、突発オフ会のために新宿へ。
うっかりyoungさんが東京に来ているので会いに行こう、というだけだったのだが、どうせなので上田中さんも誘うことにする。全然更新も止まっているページのオフ会なのである意味、ヤケです。
で、新宿でダラダラしました。
今日はホントに、久々に多くの人とちゃんと向き合って喋りましたよ。
半閉鎖ページのオフ会だというのに、突発だというのに、こんなに人が集まってくれちゃったり、「4万HIT企画期待してます」などという今の俺にとって「死ねや」に匹敵するほどの暖かい言葉をかけてもらったり。今日のセリフの白眉はやはり「バカヤロウ。『上田中』って呼ぶなバカヤロウ。なんかその礼儀正しさがムカツク」「すいません上田中さん」これ。これが大賞。
がんばらなあかんわな。俺。寝ていたらだめだわな。俺。
そんな思いで帰宅。
思うに。
やはり目標を高く設定しすぎていたのだろう。
届いてしまった成績表には「A+」の評価が光っていた。レポート出してないのに。
そこまで評価してもらっていたなら、それなり以上のものを出さなければならないと、理想ばかり掲げれば掲げるほどハマる。また悪循環に陥るところだった。
元から実力がないのよ。いやこれは自己卑下とかじゃなくて、純粋に実力が足りないことをようやく自覚したのです。俺の理想の中にある、俺が思っているような出来のレポートはドリームだ。
理想を高く持つことは大切だけれど、目標はもっと目線の高さに、具体的なところに置くべきだった。富士山に登ろう、という一歩目で五合目まで上がろうとしていたのだなあと思う。
そんなの無理無理。
で、「どうしても一歩で五合目までは上がれない……」と言いながら悩んで困って黙ってハマっていたわけだ。二ヶ月近く。俺はバカか。いや、バカだ。今決定。
或いはひょっとしたら、そういう構造にはとっくに気がついていたにも関わらず、明日勝つために今日、泥にまみれる勇気が単に無かっただけかもしれない。というかその可能性は高いなあ。より凹む結論だが、しゃーないわな。
事実は事実。
そんなわけで今更ながら、今年の目標。
「分相応」
例年一月の日記に書いてることをここまで引き延ばしたことを嘆くよりも、えーと、こうしよう。
俺にとっての新年がやっと訪れて、時間が動き始めたよ。
あけましておめでとう俺。二ヶ月ばかり遅れたけれど、今年が良い年になりますように。
取り戻すぞ。がんばろう。
がんばらなあかん。なぜってどうやら、ずっと一人じゃなかったらしいから。
今さら気づいてアレだけれど。弥生の半ばの日に。
十九日(月)
「そこは寒い国かもしれない」
気が楽になったついでに頭も柔らかく切り換えて、レポートをシリーズ構成で作るのはどうかと思うことにする。
もう、一冊通して書くのは諦めて、一章ごとにぼちぼち感想文を書いて、それを最後にまとめる気力があればまとめて、なければ流す。それまでに規定枚数以上分は書けてるはずだし。
ということで、数章立ての本の中でメインにするつもりで一番読み込んでいた第二章のことをひとまず放っておいて、一章をきちんと読み返しながら感想を書いていく。
ワープロは叩いてないけれど、ノートにメモを取りながら文章を推敲したりすることが出来た。
バカみたいに簡単だった。
二十日(火)
「つらい国かもしれない」
一章目についての文章書きながら思ったことには。
やはり本というものは章立て、順序立てて書いてあるわけであって。先を読んでからあとを読めば理解は深まるし書き手の言いたいことがわかりやすく伝わってくるように出来ている。
例えば俺が二章の内容をメインにレポートを書くつもりだったとしても、本来やはり一章をきちんと読んで、或いはむしろ通読してからはじめるべきだったのだ。
それさえやらずにレポートを書き出していたこと、或いはそんな簡単な、イロハのイにさえ気づかずにハマっていたことが深刻に阿呆らしい。
書くことと読むことにはかなりの自負を持っていたから、いわゆる「読書感想文」というものが嫌いだった。私はこう思いました、と書いてなんになるのだろう。そこから先、何かしらの有益な理論発想を提示して、その本を読んだことによってどのように有益な事柄が生じたかを明確にしなければ意味がないだろうと思っていた。
バカにしていたのだと思う。単純で基本的な作業を。
講義で、近代についての資料を読み合わせるとき。間違える度にT崎先生に言われていた。
「君は難しいところはなんなくこなすが、アレっと思うような簡単なことができないねえ」
白状するとこれは密かに自慢であった。「俺は難しいことが出来ちゃうんだよ。簡単なことはねえ。ちょっと練習すればすぐに出来るようになるから。難しいことが出来る俺って凄いだろ」そういう気持ちだ。
恥以外のなにものでもないこういう考えを、今や日記で書いてしまおう。もーみんな見てくれ。この程度だこの人間は。やー。死にてえ。
今ならわかる。基礎がどれほど大切か。基礎がどれほど身につけにくいか。
今ならわかる。今さらわかる。
二十一日(水)
「でもまずはその雪国を目指そう」
学園図書館に行って「体裁を取り繕うために借りてあった俺から見てレポートとそれほど関係あるとは思わなかったのだけれどまあ一応その分野の基礎文献だっていうし目を通しておかないとならないよな」という本をすべて返却。
かわりに「読んで面白そうなヤツ」を借りてきた。
義務意識で読んだ本の内容はやっぱ残らんね。無駄だったとは思わないけれど、無駄だったよ。(矛盾)
久しぶりに学校に来たので資料整理のアルバイトなども行った。気分転換。
二十二日(木)
「このトンネルを抜けよう」
昨日借りてきた本を読む。面白い。
本を読むのが面白いのは久々だったことに気づき愕然とする。
そういえば最近全然本読んでなかったなあ、とも思い愕然とする。
そんなわけで本屋と古本屋を巡り巡って拾時間ほど新刊チェックや立ち読みを行う。ついつい、買ってしまった本もずいぶんあった。
立ち読みは以外と腰の負担になると発見。マジで腰痛。いや、これは痛い……。
でも、幸せな日だった。
二十三日(金)
「世界の明るさを恐れて」
しかし知らない間にずいぶん新刊の本が出ていたんだなあ。
さて、昨日はサボってしまったけれど、一昨日行った感じでは学校の資料整理がホントに進んでいなくてピンチ状態だったので今日は一日、そっちに回ってみました。
やってみると勘が鈍ってるせいかずいぶん手間取ってしまった。期日から逆算した〆切に間に合うためには、作業ペースが全然遅いような気がする。あんまり考えたくないのだけれど。
とりあえず今月の目標を設定して、「ここまで終われば楽になる」というところまで、なんとしてもやり遂げると決意。こういうのって後になればなるほど心理的にもキツくなるので、早め早めに基準を決めてやっていくしかないと思うのですよ。
おかげさまでしばらくはこっちにかかりっきりになりそうな予感。でもわりと気楽。レポート目処が立ったから。
二十四日(土)
「こんな暗いところにいても」
終わらないぞ。これは。
今日も一日素敵作業。昨日設定した目標が早速達成困難と判明。
しかし、今月の目標ペースが守れないということは来月のノルマはもっと上がるということは、今月以上の作業量になるということは……。
すでに結構詰んでますかひょっとして!?
うーわーあー。一難去ってなんとやら。寝て暮らしていたこの二ヶ月がやっぱり祟ってきたー。
早くも! 今後もこういうことがたくさんありそうな予感! つーか本業の方を全然やってなかったし!
やーばーいー。きっとやばいぞー。
やばいのだー。
二十五日(日)
「あまり面白くないということに」
などと焦ってみても日曜は学校が開いていないので作業も出来ない。
開き直って家で出来ることをやろう。
ということで割り切って……。
今日はゲーム。
いや、息抜きもね。イヤホントに。
そんなわけで久々にスパロボαをスーパー系で頭からやり直してみたりしました。一日中。
ああ。ゲームが面白い。いつ以来だろう。
二十六日(月)
「遅蒔きながら気づいてしまったわけだし」
エンジンかかり始めた頃から急に企画していた、というか例年この時期は旅行に行ってるのに今年はほら、いろいろボロボロだったのでなーも準備してなかったのを、今さらながら計画し始めたのですよ。
とはいえ、青春18切符の使用期限から考えると月末には出かけないとならないのでわりと詰んでます。ほら来た。また詰みだ。祟ってる祟ってる。
今回の旅程は大まかに分けて
1.山形よもう一度、東北・北陸ツアー
2.夢見てないでいつものコース
この二つ。出発までの時間等を考えて、今日一日で山形関連の旅行アウトラインが引けなかったら諦めよー、ということでガイドブックや時刻表と首っ引きでいろいろと考えてみたり。
結論。無理。
こんな余裕のない時期に、初めてのところを満喫旅行なんて考えた方がバカでした。せめて慣れている西回りコースで計画を立てることにします。
それにしたって今からじゃあかなり大変なのでしょうが。まあ、まあ。
二十七日(火)
「まー遠回りだったけれど」
朝から学校へ。
冷や汗止まらず。ヤヴァいって。終わらないって。
気持ちよく旅行に行くためにも、なんとか今月のノルマくらいは今月中に終わらせてから行きたいところです。学校って休みの日には開かないから、五月はゴールデンウィークで実質三分の一くらい資料室開かないわけだし。
今月はせめて。今月はせめて。
そんな感じで一日、昼飯以外はほとんど部屋から出ずに資料整理していると面白いこともなにもありません。
ヤヴァいって。
二十八日(水)
「それを無駄な経験にしないためにも」
本日も同じ業務。だんだん頭がおかしくなってきました。
資料整理みたいな単純作業って、一人で無言でやってるとなんかヤバイです。途中からオモシロクなってきたり、急に不機嫌になったり、腹が全然減らなかったり、ものすごーくフルーツ牛乳が飲みたくなったりします。
そんな素敵な気分を力でねじ伏せつつ、なんとか今月のノルマ終了。今日終わるんだったらもっと楽なペースですすめておけば良かった……。などと思いません。来月以降もあるのでここで稼いでおきます。突破突破。
相変わらず他のことをなにもしていない暮らしながら帰宅。まめ先輩とGOLからメールが来ていて、京都と大分の滞在が決定。Hさんにも電話が通じて広島滞在も決定。
どうせならHさんの帰省に合わせよう、ということで広島入りを四月四日に設定。それに合わせて出発日と滞在日数をパズル式に決めていくと……。
くわ。三十日には出ないとダメだ。もう明後日ジャン。オイオイオイオイ。
しかし、最近なんか忘れてる気がするんだよな……。
二十九日(木)
『ただいま』
〆切ブッチ……、もういいや! そうだよこれ! これこれ! レポート書けてないじゃん俺!
あぶねえあぶねえ。書けると思ったら書けた気になってただけで実際には一行も進んでないのよ。なにやってたんだ俺。
とにかくワープロに向かう。ずいぶん前に作ってあったメモを片手に。当座一章の分だけを書く。
段取りをきちんと踏んできたからって、今まで全然書けなかったものが書けるとは思わない。でも、とにかくなんでも形にすることが大切なのだから、やってみよう。やるだけやってみよう。
……。
一日かかってやっと「読書感想文」が書けた。
ひどく拙い、笑うしかないような出来の、中学生みたいな文章だけれど、なんとか書けた。
なんとか書けてしまったことよ。
読み返すとなんだか泣けてくる。この程度で他人様に読んで貰うようなものを書けているつもりになっていたのだなあ。偉そうに余所様の書いたものを批判していたのだなあ。
でもまーしょーがない。これが身の丈だ。顔から火が出るような恥ずかしい思いをしながらも、先に進むしかないッス。
ここでその書いたヤツを掲示できると良いのだけれど、ファイルがないよ俺。印刷した後で削除してしまったのだろうか。それほど出来がアレだったのか俺。
あ。違う。PC代えたから、BREZZA君の中にあるんだ。あのファイル。うわ。発掘めんどくさ!
なのでまーいっしょ。内容的にはみんなが読んでもしょーがないものだし。むしろページ関連のSSや二次創作文書をちゃんと書かないと俺。あっちは書けるようになってるのかわからないしな。よく考えたら。
以上。そんなわけで。
たいへん、大変遅くになりましたが。
多津丘〆葉も、銀天盤も再起動であります。
ただいま。そしてお待たせしました。
今後もボチボチ、よろしく!
三十日(金)
『いってきます』って帰ってきた瞬間かよオイ
はい。明日から旅行です。
今日はその準備や切符買うのやなやかやで八王子に出ました。
てーとくおすすめの「すずもと」でカツカレーを食べて旨い! と言ってみたり。辛いけど旨いんだなー。また行こう。また必ず行こう。あそこは旨かった。
あとは、久々に漫画王に行ったら死に休暇(今回の休みのこと。俺命名)中に全然知らなかったこみっく、アニメ系新刊がまーあることあること。旅行の費用を削ってでも買い倒そうかと思ったけれど断念。ちょっとだけ。
あとヨドバシでモデムカード購入。これと脳を狂わす単純作業バイトのために学校から借りてあるノートPCの私用をコンボにすると旅行中も毎日ネットに繋げます! 電話代凄いだろうけれど!
八王子からの帰り道、線路沿いの桜を見上げるとそろそろ咲きそうな気配。
長い長いトンネルを抜けたばかりのせいかちょっとハイだけれど、なるほど。このそわそわするような感覚が、これが春なのかもしれない。
厳しい冬が終わりを告げ、心浮き立つ春の日に。
西へ向けて旅立とう。再会と出会いが待っている。西へ。
戻ってきたばかりだけれど。だから今は皆に言おう。
「いってきます」と。
弥生の終わりに。 〆葉
……まーこれ書いてるの五月だけれどね。雰囲気台無し!