2001 「ただいま旅行」
三十一日(土) 旅行出発 京都泊
「問答無用のコンディショナー」
三十日出発というのは自分でも良くわからんけどうっかり夜行でいかなけりゃと思いこんでいたからで、よく考えれば別に今朝出発でも良かったのだね。
ので、三十一日出発です。青春18切符もまだ買ってなかったし。因みに販売は今日まででした。危ない危ない。またヤフオクに頼らなきゃならないところだったよ。
今回の旅行ではとにかく荷物を減らそう、ということで、ユニクロのブリーフケース一つで出かけるために荷物圧縮を試みたのだけれど、無理。無理! という結論。せめてノートPCがなければどうかとは思ったけれど、時間もなかったしバックパックも背負って行くことにってそれじゃ荷物いつもの二倍じゃん!
いつものように荷造り等で徹夜していたので相模線、東海道線は寝っぱなし。まぁた富士山を見逃しブルー。
一時頃名古屋着。急に決まった旅程だったのでどうかとは思ったが、一応youngさんに電話してみる。
「いやー、今新幹線の中なんですよー。一応12時まではいたんですけどねー」
すんません。すんません。入社式に向けて東京行きの日に被って待たせてしかも合流できずとわ。我ながらすんません。
さて、では今日は一人で名古屋巡りをどうしようかと。まずは金山で降りて汽笛亭へ行ってみるが今日は棚卸し中とかで開いていない。なんて間の悪い日なんだ。
当座ダイエー地下の素がきやへ行って、ラーメンセットとヨーグルトドリンク。これよこれ。
うすら三十分たったのでどうかと思ってもう一度行ってみたが、まだ棚卸し中だったので今日はきしめんは諦める。地下鉄で大須へ。
大須観音で降りたはいいけれど、しまった。いつもいかにyoungナビに頼っていたか。今、どこにいるかがわからず結構ウロウロと迷う。勘で歩いて招き猫のところまで出るのに四半時。
おかげで結構お腹も減っていたので、前回youngさんと入った味噌カツの店で串カツ(味噌だれ)を食べ、もっと前に食べた味噌だれのたこ焼きも食べる。旨かった。けれど、一人で食べると結構な量があった……。
腹ごなしに少し歩こう、ということで商店街を巡り、それからさっき電話の時に聞いていたでかい本屋のところへ向かう。「KOC公式ガイド」というネットゲーの本をここでGET。わざわざ大須で買う意義はどれほどあるのか知らないが、まあまあ。
そこから味噌カツの矢場豚へ。えー、美味しかった、デス。味は。
なんーか知らないけれどお店のおばちゃんが一人、延々ずーとバイト君を叱ってるのね。俺が店に入る前から叱っていて、食べてる間ずーと叱っていて、会計にレジに立つときだけ休止、という。
いくらなんでもこの雰囲気では楽しく飯は食えないわなあ。まいっちんぐ。今日はなんか日が悪いのだろうか。
ここで味噌だれをお土産に買って、それから天むすも買いに行く。あとは名古屋麦酒を探そうか、と思いながらyoungさんと歩いていたときと同じ道を進むつもりで大須の奥の方、高架道路の下の方へ向かう。
概ねこっち側で、ヒサヤ大黒堂があって、テレビ塔があって……。
あっれー? この辺に地下鉄の駅がなかったっけかなー。
まーいーや。左へ折れて、ちょっと行くと酒とか扱ってるデパートが……。
デパートが……。
いや待てよ。つーかここはどこなんだ。
名古屋一人迷い。
結局、なんとか地下へ入った後一キロくらい歩いて戻って地下鉄の駅へ。買い物? そんな余裕ありません。現在地確保で精一杯。
めー駅に着いたら、電車は一本行ってしまった後だった。じゃあ次までの時間で山本屋の味噌煮込みを食おう、ということで駅前の地下街へ。ここに確かyoungさんと行ったことのある山本屋が……。
……あれー?(略)
結論。
名古屋はyoungさんと来るべきだな! 或いはちゃんと下調べをしてから来よう!
東海道線で京都へ。この電車では微睡みタイム。しかし大垣、関ヶ原のあたりではなんか肌寒くて目が覚める。あの辺だけ気候が違うよやっぱ。
で、彦根駅前の平和堂を久々に見た。かつてここにあるまめ先輩の実家へ何度かお邪魔したのだなあ、となんか感慨深い。お多賀さんのお祭りは凄かったっけ。
そのまめ先輩の待つ京都へは七時頃に着。早速カーでJRの駅まで迎えに来る先輩と、気を利かせたつもりで阪急の駅まで歩いてすれ違う俺。余計なことをするな俺。
「……せっかく久々に会ったんだから、久闊を除したりしましょうよ」
「なにを。邪魔くさい」
素敵なやりとりの後で「最近の富士見ファンタジア」「コミックバンチ創刊」「PC関連雑誌の淘汰はいつか」「今、売れているのはどんな雑誌か」等々、敢えて京都でたまにしか会えない同士がする必要のない話を延々と続けつつ、夕食を食べるために天下一品の本店へ。
天下一品が京都発だということをまず知らなかったのだけれど、第一号店がこんなに狭いというか普通というか、そういう店だというのはちょっと予想外だった。出てきたラーメンも前に広島で食べた天一のラーメンと似た味だったと思う。少なくとも、多摩センターにある店のよりは断然旨かった。やっぱ関東と関西でちょっと違うのだろうか。
「で、明日は大分に行くために早朝出発なんですよ」
「まあまあ。夜は長いよ」
「いや、夜は長くても俺は寝ますよ」
「俺も明日休みだしな」
「ねえ先輩人の話聞きましょうよ」
「どうする? とりあえずブックオフにでも寄って今晩読むものを」
「ねえ聞いて。ねえ聞いて。ねえ聞いて」
「いやいやいやいやいや。そんなもう。照れくさい」
「いつまでもそうやって逃げ回れると思うな!」
「バカな! 俺が今までに逃げ切れなかったことなどあるか?」
いや、ない、けどね? 確かに。
結局ブックオフ。「幕張」の中抜けの巻が見つからず悩ましい、と身をよじるまめ先輩だったがここにもなし。俺はなんかの少女漫画雑誌で連載していたらしい「弟切草」のコミックを立ち読み。
そんでやっとまめ邸へ。入ってすぐ、有無を言わさず寝る、という姿勢を示すために風呂掃除を始める俺。つまらなそうな顔の先輩など知ったことではありません。寝るの寝るの寝るの。
で、風呂上がって土産を開けたり、ビールを飲んだりしながらつい、ついいつのもの癖で。本棚に目が行ってしまう。
あ。「受験の帝王」がある。相変わらず「帯をギュッとね」もあるし。意外に読み返さないと内容を覚えていない「コナン」もあるな。押入には「じゃじゃ馬グルーミングアップ」が。これ、ラストどうなったんだっけ。意外と覚えてない。お。「逮捕しちゃうぞ」も。これ最近またアニメ始まったんだよな。原作って読んだことないけれどどんななのかな。
こないだ読み損ねた「どすこい」もあるな。たしかこの家は「るろうに剣心」もあったっけ。あ。「バガボンド」。これは読まないと。とかいいつつ「スクラップドプリンセス」が一通り揃ってるぞ。やっぱそろそろ読んでおかないとダメだろうか。富士見ファンタジアといえばもーどーでもいーよーなB級をえらく揃えてるからなあ。この家は。またつかませられないために、今のうちに読んでおこうか……。
「おい。ネットやるんだったら」
「あ。ハイ。どーも」
メールチェックにKOC。あと南天盤を読んで……。
それをやりながらビール飲んでつまみ食べて本読んで漫画読んでダベって喋って関西ローカルのテレビ見てガンダムのフィギュア見てコレットちゃんの生存を確認しつつゴルゴのフィギュアで遊んで……。
……。
「じゃあもう寝るぞ」
「へーい。……ってねえ! この時間! ねえ! この時間!」
「早く寝ろよ。明日も早いんだろうが」
「明日っていうか今日っていうかもう何時間後っていうか……。寝ます」
「……。」
「……。」
「もう寝たかー?」
「まだでーす」
「……。」
「……。」
「寝たかー?」
「……いや、まだです」
「寝たの?」
「まだでーすっていうか寝かせる気ないだろうさては!」
「心外だ! こんなにも心配してやってるのに!」
「ぎゃわーっ!!!」
あー。
毎度のことながら、ここでまめでんパワーを充電すると、旅行中ずーっとテンション高いのよねー。
これこれ。この空気。これでやっと始まった感じがする。
さあ。明日からが本番ナリよ!
「寝たかー?」
「だ・か・らっ!」
一日(日) 二日目 大分泊
「人生初の九州上陸」
朝、わりとギリギリの起床。
そりゃそうだよな。昨日アレだもの。
しかしまめ先輩が「そろそろ洒落にならんぞ」と言いつつも車を出して、飛ばしてくれたおかげできちんと時間に間に合う。感謝多謝。
「どうもありがとうございました」
「一応聞いておくんだが」
「なんでしょう」
「”京都と言えば朝マック”はしないでいいのか?」
「行ってきます」
行ってきます!
西へ向かう電車の中でガー寝る。調査旅行の時に先々月見たばかりの大阪、倉敷を懐かしく思うはずもなし。寝っぱなし。おかげで大変なことに!
えー。三原というところで、東海道線ではなく南回りの呉線の方に間違えて乗ってしまいました。完全に寝ぼけていたからのミスです。
今日、京都から大分まで到着するためには、九州の路線で大分まで行く電車が終わるのがめっさ早いことも考えると、ここで乗りはぐれた時点で到着できずが決定です。
時刻表を見たところ鈍行ではなく特急を使えば間に合う……、ということはわかったので二日目にして18切符のみの旅終了。じゃーこのまま呉線でダラダラ行ってしまおうカー、とも一瞬考えたけれど、対向車線の電車の時刻を調べて、すぐに戻りの電車に接続できそうだったのでやはり思い直して三原まで戻る。
あー失敗だったー、と思いながら本日寄せて貰う予定の九州GOL家へ連絡。
「そんなわけで到着時刻が遅れまして、11時頃になるかと思います」
「あらそれは遅いわね。新幹線で来ちゃえばいいのに」
「や。新幹線はさすがに贅沢すぎるというか。主旨にも反しますし」
「夕御飯までに着けば河豚を奢ってやるってお父さん言ってるけれど」
全艦、進路を新幹線に向け固定ーっ!
電車が来てしまったので三原から広島までの区間に飛び乗り、その車輌中で時刻表、車掌さんと相談しつつ計画。どうもナイスタイミングで広島で新幹線をつかまえて、その上関門海峡を渡った向こうでも特急ソニックに丁度乗り継げる模様。
神はいた。浮かれ調子で広島。新幹線の改札内でイイダコの天ぷらがあったのでつい買ってしまい、これはビールが欲しいなあ、と思っていたらホームに生ビールが。ナイスナイス。
ところがこれが大失敗。みんなもよく聞いてくれ。大変なことになった。
いいですか。速水十翼長。広島の新幹線ホームで売っている生ビールは、プラスチックの紙コップに氷を入れて注ぎやがります。
氷! ビールに! どんどん薄く、水っぽくなり急速に気が抜ける地獄の断頭台飲料!
しかも紙コップちょっとヒビ入ってるし。そのうえイイダコの唐揚げは案の定油が悪くて冷めると胸にムカツク。
京都から広島までの時間に比べれば何分の一という、九州までの新幹線の中で、吐くわ吐くわの大盤振る舞い。
人生初の関門海峡越えは記憶にも残らないうちに終わってしまった。
車中で横になっていたら多少回復。自由席空いてて良かった。しかし新幹線を降りた後がまた悲惨。
大分へ向かう特急ソニックは、指定席が買えなかったのでというか舐めていたので買う気もなかったので自由席だったのだけれど、これが。帰省ラッシュかなにかで、立っているのも大変なような大混雑。
宮崎だかまで南下する特急だから、そっちへ行く人がみんな乗っているらしく。大分までほとんど座れなかった。新幹線で吐いた後のこれは辛かった……。
最後の方一時間ばかり座れたので、隣の席の小学生男子と遊技王カードゲームについてバトルトーク。小学生詳しいわ。なんとか話についていけたのはガテラーさんの所のCGIで遊んでいたおかげです。感謝多謝。
そんで! やっと! 大分着。
九州東海岸の海沿いを、道路と平行に突き進んでいた線路が半島の付け根の当たりへ入り込んでいくと、そこが大分でした。
改札を出てすぐの所にGOL父とGOL母が。途中考えて練ってきた挨拶を言う前にとりあえず移動し始めるGOL父母。さすが! さすが! 全然変わってないマイペース。
大分市街の目抜き通りを歩きながら簡単にレクチャーなど受けつつ、自分なりに印象をつかみにかかる。道路は広い。しかも真っ直ぐ。富山系か。横にアーケードや商店街が開けているところは高松にも似ているが、奥行きはあまりなさそう。しかしビルが多い。商店がゴチャゴチャーっとあるわけではないが、町自体は大きな道路の展開に従ってずっと開けている模様。
どうも、大分駅から半島の先まで、道路と市街地はずーと続いているらしく。とても「平らな広がり」の印象を持った。
さて、河豚です。ふくと言うらしいけれど。まあ、河豚。
新幹線からこっちハードな状況が続いていたので食事が喉を通るかどうかが心配だったけれど、大変な杞憂でした。人間、美味しいものはいくらでも食べられるんだなあと再確認。
品目とかは良く覚えていない。まあ、なかなか食べるもんじゃないしね。あの、唐揚げ美味しかったです。あとなんか皮のところ。それからひれ酒。香ばしかったー。
肝、みたいなところと皮のところをつまみながらひれ酒をちびちびやっているだけでハイパー幸福モード。ああ旨い。最後に雑炊でしめて、ドリームランド終了ー。
九州GOL家へ向かい、寝る準備をしてから電話を借りてGOLにかける。河豚を食べた話をしたけれど、それほど感銘を受けた様子もなし。「俺もたぶんおなじ店で食べたけれど、そんなに感動するほど旨かったかぁ?」と半疑問。あの野郎は舌が肥えてやがるのか食い物の味に無頓着なのか……。
その後、電話回線をお借りしてネットを一通り。明日の予定を「博多見物」に決定して、ガイドブックなどを借りて予習。ただ、ガイドブックよりもよく仕事で博多に行っているGOL父の話の方が参考になった。
明日の荷物を最小限に整理した後就寝。明日は歩くぞー。
二日(月) 三日目 大分泊
「北九州大回り」
起床。軽く散歩など。周りをざっと見ておく。畑とかが結構ある。
朝食の野菜の味が濃いことに驚く。GOL母は町田にいたころから生活者ネットワーク参加者であり、GOL本人を差し置いて俺と低温殺菌牛乳や遺伝子組み替え大豆の話をしていた盛り上がっていた変な人なので、食生活については意識が高い。
で、地の野菜を無人販売などで買ってきているらしいのだが、マヨネーズが邪魔になるほどそのままで味がして旨い。しかも安い。ああ。いいなあ。
九州GOL家から大分駅までは結構あるので、GOL父の呼んだタクシーに便乗させて貰って出発。大分駅でお別れして、もう一度時刻表等で旅程をチェックしつつ、テレホンカードが湯水のように減るのを横目に駅の黒電話でネット。ネットゲーやメールのチェック。
旅先まで来てネットゲーもねえよなあ、と思う貴方。同感なのですが責任があるので辛いです。
博多まで出るのに、すべて特急ソニックを使うほどブルジョワ旅行にする気はないのだけれど、鈍行だけで行こうとすると時間がかかりすぎる。ので、鈍行で途中のそれ以上進めない駅まで行くちょっと手前で降りて特急に乗車。一区間だけ乗って特急下車。以降は鈍行、というケチくさーいルート設定。
ただ、駅張りポスターとかを見ていると特急ソニックの定期券が通学用とかで販売されている。もう、この路線を使う人には特急が標準なんだね。
そんな感じで九州をいったん北上し、その後西進して博多到着、は13:00。もう午後だよ。おいおい。移動だけで何時間かかってるんだよ俺。
17:00には博多を出ないと大分着がまたとんでもない夜になってしまうので、なんと四時間しかいられません。今日は一日のほとんどが移動時間か。なんかやっぱ特急使えば良かったのかなー、とか思い始める。
まー学生のうちはいいや。まずは昼にラーメンを食べよう。博多に来たから豚骨ラーメンを食べよう、ということでネットゲーの方の人に教えて貰っていたお店に行こうとしたのだが、なんとそのラーメン屋さんのあるという駅は鈍行しか止まらず、博多から三十分ほどかかる上、鈍行は二時間に一本程度。
あーきらーめざるを得ーないー……。
大誤算。がっくり。
仕方がないので今日は、時間をすべて博多で使うことにする。天神、及び取材をかねて港湾地区を見て回ることが目標。だが持ち時間三時間半ほど。
でもやはりとりあえずラーメンだ。ということでくだんの知人、コールシードの人が教えてくれたもう一軒の店、有名だけど高いというお店を探す。駅から歩き始めるとき道の横にホームレス風の人が倒れているように見えてビビった。寝ていたのだろうか。でも他の人も全然気にしてない風だったので単に寝ていたのだと信じたい。
ラーメン屋は福岡キャナルにあるというので当座そこまで歩く。結構、三十分くらいかかってしまったが謎の大型ビル風ショッピングモール風マンションにも見えるようななんかそれ系の……。
正直ちょっと例の挙げられない建物に到着。地下にあるというラーメン屋へ。
お店の名前忘れちゃったな。でも凄い有名だろうから、検索とかすれば出てくるだろう。
ここのラーメンは、えー、凄かったです。地元出身のコールシードの人は高いとか言っていたけれど、十分以上に値段分の価値があると思う。なんというか玄妙な味です。
いわゆる豚骨ラーメン、というイメージとは全然違う。えー、全然違う。機会があったら絶対食べてみてください。ネットで名前発見。
『一蘭』 ☆☆☆
食事後、幸せ気分で博多を北上。天神より東のあたりを川沿いに、海へと向かう。
もう時間が二時間ほどしかないので焦ったけれど、きちんと足で測りながら方々を見て回る。特に俺的ヒットが那珂川沿いの市民会館。今日はスピッツのコンサートとかやっていた。近くの公園の野外音楽堂もイカスぜ。寝てる人とかいて。
このへんまで来ると北の方にある福岡ポートタワーがよく見える。あそこまで行こうということでもうチョイ北上。
内湾のせいかそれほど潮の香りのきつくない港の風景。ポートタワーの近くはなんかアミューズメント施設とかフェリー乗り場とかがあって開けている。
とりあえずタワーに登って観光客気分を満喫。展望窓の東側にいかにも展示場という感じの施設が見えたので調べてみたらマリンメッセ福岡という名前だった。福岡の即売会はきっとあそこでやっているのだろうと一人納得。
ポートタワーを出るとリミットまであと一時間ほど。市内へ戻るには徒歩を断念してフェリー乗り場の前からバスを使うことにする。本数来るし安いし。交通網は整ってるなあ。博多。道も見てる限りではそれほど混雑してない。
GOL父も大分で渋滞は、朝以外ほとんどないと言っていたっけ。九州はわりと整った車社会なのかもしれない。
さて。バスで天神まで戻る。十分くらいで着いてしまったのではないかな。天神北とか南とかいろいろバス停があったみたいだけれど、手近なところで降りてしまったので良く覚えていない。
三十分くらいぶらぶらしながら地下鉄の駅を探して、来たらそれに乗って博多へ行けばギリギリセーフでゴー。そんな計画でとりあえずバス通りを南下。でかいビルがたくさんあってあんまり商店とかを見ない。
これではつまらないので天神西通の方へ入る。アーケードの商店街でソフトクリームやタピオカドリンクを摂取したりお土産を探してみたり。ゲーセンもちょっと見たかったけれど、時間の都合で断念。
博多の駅の近くってのはあんまり商店街を見なかったから、しまったなあ。空気を見るには天神でもっとぶらぶらしなけりゃならなかったなあ、と反省。地下鉄の駅には大回りして、地下街に入って南下したあと戻ってきてやっと見つけてというタイムロス。
あ。紀伊国屋在るんだ。デカそう。こっちも見たかったなあ。
地下鉄は本数も多いし快適。十分もしないうちに福岡へ戻る。電車まで間があったのでここでお土産に明太子を買っておく。本当は駅のお土産ショップではなく天神とかで小売りのお店を見つけて買いたかったのだけれど、時間がなあ。
さて。さらば博多よまた会う日まで。行きは大分から北上→西進で来たのですが、帰りは博多から南下→東進で帰ります。いろんな電車に乗ってみようツアー。
鹿児島本線で久留米まで南下し、久大本線で九州の中程を横断して帰ります。鹿児島本線の途中で今日行く予定だったラーメン屋さんのある「けやき台」という駅を見てみるつもりが、寝てしまってバッチリ見逃す。どころか乗り換えもヤバかった。鈍行旅行は疲れが大敵。今日はまた良く歩いたしなあ。
久大本線は二回くらい乗り継ぎをしながらのんびりと大分へ進む。久留米では南日本の午後の日差しを受けながら進んでいたのが、車窓から見ているうちにだんだん黄昏てくる風情は悪くない。途中、すれ違った特急風の電車が蒸気噴いてるのに一瞬ビビる。そうか。電化前か。
列車の進んでいるところがたまたま高原の縁のような所だったのかもしれないが、「九州って平らだなあ」という印象を強くした。ながーい時間乗っているのに風景がずーと平坦に続いている。もっと山がちな印象を勝手に持っていたので、意外だった。
天と地と狭間に広がる沃野と海の幸の国、であるならばなるほど。ここが日本文明発祥の地である可能性は高いのだろうなあ、と。邪馬台国のこととかを考えたりしていた。
途中温泉で有名な由布院を通り過ぎ、夜半に大分着。タクシーの運ちゃんがGOL家を見つけられず迷う、という素敵なイベントの後帰宅。
お土産の明太子をつつきながら遅い夕食。待っていてくれたGOL父母に感謝。そしてなんか沖縄の高そうな焼酎を死ぬほど飲ませていただいたあたりでお二人は就寝。
俺も明日の出発の準備をして、パターンと寝る。今日は疲れた……。八時間くらい電車に乗ってたのかなあ。腰に来た。
九州を旅行するときには特急を使わないと効率が悪いんじゃないかと、そう思う。次回来たときには特急を視野に入れて時刻表読んでおこう。
三日(火) 四日目 広島泊
「さらば九州ただいま本州」
朝食後、GOL母の見送りを受けつつ、今朝は車で出勤というGOL父に送ってもらって大分駅へ。二日間お世話になりました。ありがとうございました。
大分駅から、昨日と同じ一瞬だけ特急に乗る乗り継ぎで下関を目指す。一度通ったルートだと少しだけ安心して進めるので気楽だ。トンネルを抜けて本州へ帰還。
お昼の下関に降りる。天気はあまり良くない。
ここではネットゲーの方の知り合い、yuihime君とダラダラするのが目的です。待ち合わせはうまくいって、下関でとりあえずなんか食べようということでゴー。
偉くゴージャスな駅ビルをブラブラしたり、市民割引の水族館の話を聞いて羨ましがったりしていたが、むしろyuihime君達が普段ダベっているところへ連れて行って貰おうということで、ちょっと遠くなるけれどなんか聞いたことのないチェーンのファミレスへゴー。
バスで十分歩いて十分くらいかかっただろうか。名前忘れちゃったんだよなー。「ジョイフル」だっけ? なんかそんな感じのお店。安い。ベラボーに安い。でも安っぽいのではなくリーズナブル。ランチが400円しないという学食級の値段なのに、美味しいのですもの。ビックリですよ。
ここでダラダラとダベり、ネットゲーの話などしつつ、下関の話など聞きつつ、電車の時間が来たので一緒に駅まで帰って山陽本線に乗って東進。ちょっとだけ乗り遅れそうになってビビったのは内緒です。
途中yuihime君も降りる駅が来たので別れる。気怠い一人旅復活。なにがダルいって長いのです。山陽本線。小郡、徳山、岩国と延々続いていくこの長さが。youngさんにだけわかる表現でいうならば「静岡長ぇ」と。そんな感じ。
途中知らない人が読み捨てていったマンガ一冊を心の支えに、呆としながら広島着。19:00頃。
ここで大学時代のツレであるHさんのところに電話をかけて、到着を告げる。今は名古屋で一人暮らしのHさんの帰省に合わせて遊びに寄らせて貰ったわけだが、どうも本人は寝てしまっているらしい。妹さんに迎えに来て貰う算段をつけて呉線、坂へ。
久々のH家ではしかしなにせ肝心のHさんが、名古屋から広島までバイクで帰省する途中転けてハンドル曲がったり疲れ果てて途中で寝てしまったりとイベント満載旅程のせいでダウンしており、挨拶もままならず。とりあえず荷物を広げて、ゴキゴキ固まっている身体をストレッチでほぐしたりしていた。
しばらくしてHさんが起きてきたので、久闊を除しつつ近況報告とか「あいつは今どーしてる」とかをダラダラと。きりがなくなってしまうというので途中でいったん止めて、食事しに広島市内へ。
Hさんのお兄さん、そのご子息、妹さんと五人で広島はソフマップ近くのビルの上の方にあるワニ料理とか出すアジアンな香りのするお店へ。蜥蜴酒とかそういうものを注文する流れだったので今日は俺の中の海原雄山には事故で入院して貰って、なんかその手のワイルド料理とワイルドお酒をイってみた。
美味しかったけれど、食べたことのない味の料理続きだったのでうまく表現できない。脂っこくなかったのが良かった、というのは間違いないのだが。不思議な感じだった。
帰宅途中に酒を買い込んで、その夜はHさんのところで酒盛り。yuihimeさんのツテを頼りに、お土産に下関からふく(河豚)を買ってきてあったので、それとかをつまみに。
御父母様にも挨拶が出来てよかった。
飲まされたけど。
すごく。
四日(水) 五日目 広島泊
「宮島詣でとお花見暮らし。F1ショップは潰れてる。めろんちゃん登場」
起床。
おお。ちゃんと朝起きてるじゃん。スゲエ。あんなに飲んだのに。
悪い酒じゃなかったことと、旅行中でちょっと緊張してるせいだろうかと推察。表へ出て山を背負った港町の空気を吸ってリフレッシュ。二日酔いもすっ飛ぶ心地よさ。
Hさんは今日早くも名古屋に帰ってしまうというので時間を惜しんで二人でダラダラ。地元のお好み焼き屋さんへ行って、そこでも二人でダラダラ。
ところで広島風お好み焼きというのは、薄く引いた生地の上にキャベツの千切りを「これでもか!」と言うほど乗せ、その上に具を置いて、さらにその上からもう一度生地で押さえ。
そいつをひっくり返して具に火が通るまで焼いたらひっくり返し戻し、あとはキャベツから出る水分で焦げずに熱々のままでいるお好み焼きを、鉄板の上でコテで切り分けて食べるわけですが。
これが慣れない身には難しい……。逆手に持ったコテでげし、げし、と二回切ったらもう口に運べる地元っ子に羨望の眼差しを送ること限りなし。
もたついて食べるのに時間のかかってしまう俺。しかしHさんもあんまり速いペースで食べないので同じくらいに食べ終わりそうです。ほっほっほ。さては地元を離れて鈍ったかと、そう思ったのですが。
よく見るとHさんはお好み屋備え付けのマガジン読みながらのお食事でした。視線はページへ。即ちお好み焼きは感覚で食ってます。
オソルベシ! 手練の技!
午後、Hさんに駅まで送ってもらって俺は広島へ出ます。Hさんとはここでお別れ。再会を約しつつ、ここでもちょっと話し込んだせいで広島でブラブラする時間が減っちまったい。
本日の目的地は宮島。午後からのお出かけでちょっと時間が押してますが、修学旅行で一回行ってるし段取りが掴めてるからサクサク行きましょう。オー。
広島から路面電車で宮島口へ。JRで行った方が良かったのかもしれないけれど、町並みを見たり雰囲気を味わったりしたかったので。
途中、広島から大分外れて南下しているあたりで、線路の東側に小高い山のようになったところがあって、その上には立派な樹木が枝を張り出し、その下に家があるような景色を見た。ああいう家に住むというのはどんな心持ちがするものだろうか。ちょっと羨ましい。
フェリー乗り場にて目的を再チェック。目指すはあなごめしともみじ饅頭。そして厳島神社参拝と御山の取材。
絶対時間足りねぇよなあ、とわりと先行き悲観。到着二時頃だったし。どしよっかなー、と思いつつフェリーから迫る宮島を撮影している外人を見て対抗心を煽られ激写激写。
宮島に着いてからはとりあえずなにも考えないで、修学旅行当時のコースをそのまま進む。色々懐かしく思い出すこともあれば、当時はこんなもんあったっけかなあ、と思うこともあり。
西日本の午後の日差しは暖かく、気のせいか大勢の観光客の表情も朗らかな感じ。程良い喧噪の、活気のある人出の風情は悪くない。
厳島神社では潮がすっかり引いていて、大鳥居がその姿を現していた。高校の修学旅行の時は確か満潮だったので、このギャップは凄い。引き潮の海岸に鹿が降りていって寝そべっていたりするのもショッキング。
あと、こないだの地震の被害が凄かった。修復中ではあったけれど、方々の青いシートが痛々しかった。Hさんの家は被害がなかったそうでよかったけれど、呉の方やこの宮島は結構ひどいことになったのかもしれない。
参拝も済んだので缶ビール一本買って西回りの登山道へ赴く。深山幽谷とまでは行かないが、ちょっと踏み込むと喧噪が一気に消え、鳥の声が響くばかりの風景になる。
日よけに丁度良いほどの高さに木々が茂り、時期もよくて舞い散る桜が道標になってくれる。この道をずっと登っていって、上からロープウェイで降りてきたらさぞ気分が良かろうと思ったが、時間の関係もあって今回は断念。
途中、道の脇の川の側に作りつけてあるベンチのところで、制服姿の高校生がデートをしていた。二人とも近くに自転車を止めてあったのが何故か印象に残っている。
テキトーに登ったあたりで横道にそれ、大きな岩の所に荷物を降ろしてビールを飲んだ。鹿が遠巻きに見ていたのでいっしょに記念撮影をしようと思ってタイマーかけて寄っていったら逃げられてしまった。そりゃそうか。
時間がないのはわかっていたが、ここでちょっと一眠りしたのは素晴らしく気持ちよかった。
さて、下山して町まで戻り、缶捨てを探す。全然ないのね。自販機の横には缶捨てつけて欲しいよ。とほー。
夕暮れが迫る宮島の商店街。あなごめしの店もどんどん暖簾を下ろしてしまっていて、ちょっと失敗したかと凹むこと限りなし。結局、あなごめしは食えなかった……。
変わりと言ってはなんだが、もみじ饅頭は手焼きのお店を見つけてそこでGET。明日戻る予定の京都はまめ先輩へのお土産です。「もみじ饅頭一個買ってこい」というニーズに応えるため、ばら売りのお店を探していたわけです。
キヨスクではバラでは売ってくれねえだろうしなあ。なお、やっぱ一個だけ買うのは恥ずかしかったので結局三個買って二個食べました。
そんじゃそろそろ広島市街へ戻りますかぁ。博物館も行きたかったなー。
さて。広島市街ではHさんのところでガイドブックを読んでバッチリ予習をしておいたので行くところは決まっています。ズバリ言って旅行中にペンを失くしてしまって書くのに不便なのでビル2フロア在るでかい文具屋へ。次に陣内ちからさんの本を読んで以来、ロスマンズのTシャツが格好良くて欲しすぎるのでF1ショップへ。
時間はあんまりないけれど、この二カ所くらいなら回れるだろう。あとはサンロードの「みっちゃん」も行こうかなー、なんて感じでレッツゴー!
ガイドブックが97年のでした。
すなわち文具屋ブックオフにー(ブックオフにー)。F1ショップなくなってるシー(なくなってるシー)。目的消失!
そして、生きる気力を失って町を彷徨していた俺の前に現れたのがめろんぶっくすでした……。
平和記念公園の近く、昔行ったことのあるアイス屋を探してウロウロしているときに、アニメイトの看板が目に入りました。東京ではとんと見なくなったEVAグッズとかを置いてるかと思い、覗いてみることにしたのです。
しかし、入り口のポスターに度肝を抜かれます。そこには気が狂ったような緑の髪をした見たことのないキャラクターが描かれていました。「広島アニメイト、謀反でござるーっ!」そんなセリフを叫びながら頭の中を竹中直人が走り回ること数秒。これはアニメイトの看板ではない、と理解するには時間がかかりました。
要するに、アニメイトのあるビルのアニメイトのある階に、別のテナントとして同人ショップが入っているのですね。しかもこのマスコット。店名はめろんぶっくす。
「こりゃ大事じゃあぁーっ!」叫び回る脳内の竹中直人が血相を変えます。調査するしかないようですよナワヤ。MMR出動!
中は同人誌、アニメグッズなどを置いている普通の同人ショップでした。めろんちゃんのコスプレをした店員がお出迎え、という趣向がなかったことに安堵したりがっかりしたり。
そんな中キラリと光る個性、「めろんちゃん設定資料集」。これ買わずして郷里に帰れましょうや!? いや帰れません(反語)。いつかこのめろんちゃんで一ネタかまそう。そう心に思い決めて店を出ましたとさ。
ハラヘリつつ帰宅。Hさんの御父母と食卓を囲み、カープの試合を見ながら話し込む。野球って共通言語ね。
瀬戸内の海の幸を食べ過ぎて体重が不安。明日の準備をして就寝。
五日(木) 六日目 京都泊
「めろんさん仕掛け人」
起床。朝の散歩が清々しい。
朝食を頂いて、出勤するHさんのお父さんと一緒に出発。お世話になりました。多謝。
駅までの一キロほどの道のり。言葉を交わしながら進む道のり。俺の服の裾を掴んで一言。
「ちょと、早いよ……」
照れたように苦笑しながらの言葉。心のぜい肉を極限まで削ぎ落とした、真っ直ぐな言葉。
いつかああいうことを自然に口に出せる日が来るのだろうか。俺には遠い、遠い。
コーヒー奢って貰って広島駅で仕事に行く姿をお見送り。俺の方はここから山陽本線で東進。今日は京都だ。
じわり倉敷、岡山と進む。行きはバタバタしたけれど、帰りは寝ながらスー。昼過ぎには岡山着。
今日は19:00頃に京都でまめ先輩と待ち合わせている。普段より早めに着かなければならないのだが、さてせっかくだから寄り道を、どこにしようかと。
姫路城の桜が綺麗だよー、という情報もあったのだが、空腹も鑑みて高松でうどんを食べることに決定。時間を計算すると四国では一時間しか自由行動が出来ないので押し押しスケジュール。
瀬戸大橋渡って、高松着。さて一時間だぁ。とまずは兵庫町までダッシュ。何度か行っているうどん屋を探すが……。
ない。
場所は間違ってないはずなのに……。しかし時間もないし。泣く泣く探索をうち切り、その辺のセルフの店に入ってとりあえずうどんだけは食べてみよう。
あ。旨い。ビックリ。
安いのに……。喉を通るときの食感がこう、ねえ? ありゃ。こりゃ旨いよ。
……ひょっとしてセルフでもどこでも普通に旨いのだろうか。高松。
でも帰りに高松駅の立ち食いで食べたうどんはそんなでもなかったです。
往復ダッシュの忙しい高松行終了。今回色々欲張りすぎてるのかなー。時間が足りないと思うこと多し。
かっきり七時頃京都着。ただいま、とまめ先輩の車に乗り込み、早速旅行の土産話をしやしねえ。話題は主にジャンプのマンガ。
「ところで晩飯なに食う?」
「や。なんか京都っぽいものを」
「じゃあ王将だな」
「……餃子の王将? なんでそれが京都っぽいのよ」
「激辛セットってのがあってな」
「いや聞こうよ。なんで王将? 王将橋本にもあるし。多摩センターにも」
「あと激辛餃子もあるし」
「いや聞こうよ」
でも王将も関西出発のチェーンだったらしく。へえ。知らなかった。
そして激辛セット。
辛っ。
途中から味覚がなくなって味がわかんないし。辛っ。
「……。」
「お。無口だな。口ほどにもないということか」
「辛すぎるんスよこれは。そしてなに貴方は俺の横でヌルい肉団子なんか食ってるんですか」
「いや、辛いってこれも」
「ウソだ。絶対ウソ。それ辛いわけがない」
「激辛だぁ」
「ハラタツ! 適当三昧ですよそんなの。辛い色してないもんそれ! あんかけだし!」
「じゃあちょっと食べてみろって」
「……。(しまった。味がわからねぇ)」
「な? 辛いだろ?」
「辛くないと思うんだけどなぁ……」
「辛いって」
どなたか公平中立な方、京都の王将まで行って確かめてきてください。
この日は翌日の準備等しつつ、俺はまめ邸のマンガを読むことに夢中。主に「逮捕しちゃうぞ!」を死ぬほど読んだ。あと「受験の帝王」。あと「バガボンド」。そんなダラダラ暮らしをしながら、すっかり忘れていた土産類を渡す。
「ハイ。もみじ饅頭。一個」
「お。やったぁ。もぐもぐ。ごちそうさま」
なんか、盛り上がりに欠ける土産の受け渡しだなぁ。
そして俺の一押し、めろんちゃん設定資料集を手にめろんぶっくすの解説を始める。
うわ。まめ先輩興味なさそー。
それを無理に引っ張っていじっていると投げやりながらも返事をくれるように。
「とにかくこの容姿ですよ。マルチ、でじこと来て柳の下に泥鰌をもう一匹、というわかりやすいこの姿勢!」
「はいはい」
「緑の髪にメイド服ならそれでいいらしいですよ!」
「はいはい」
「先輩の職場でも是非こんな感じに! いやむしろこんな感じの職場を経営! 「まめぶっくす」。そして店員はこのかっこのコスプレ婦女子を揃えて!」
「ああなるほど」
「なんか不満そうですね」
「不満というかしかし、この棒は変だぞ(設定図を見ながら)」
「棒、つーかはたきでしょ? 書店員が持ってるわけですから」
「こんな火事場の纏みたいなはたきがあるか。手元の本の埃払えないだろう」
「言われてみれば……。すごい取り回し悪いですねこれ」
「柄が邪魔だろう。こんなの」
「いや、高いところ専用とか……」
「だとしてもこんなリーチはいらん。槍じゃないのか?」
「なんで槍ですが。本屋で」
「だから、『魔法戦士リウイ』を買いに来るようなお客さんを……」
「待って待って待って待って。ファンタジア文庫を買いに来る客層は基本的に槍で突いて可ですか?」
「可だろう。そんな。邪魔くさい」
「いやでも、みんながみんな社会不適応のオタクというわけでも」
「そんなの見た目でわかるだろう! リウイだぞしかも! 百歩譲っても10人のうち7人は可だ」
「いやしかし、まめブックスがコスプレ書店を目指す以上、客のうち100の90はファンタジアを買うような人達が来るわけで……、平たく言うとアニメイトの店内? そんな感じですから」
「突くだろう」
「だから突いてたら客が全滅しちゃうでしょうが!」
「しょーもな。わかったわかった。槍廃止。突き棒でいい」
「まぁ、死なないぶんマシですが」
「リウイを買うような客がやってきたら、店員さんが穂先を揃えて『帰れっ! 帰れっ!』と……」
「待って待って待って待って。帰っちゃったら商売にならないというか、いやむしろ可愛いコスプレ婦女子に「帰れ」と言われたらヤニ下がって喜ぶような客層だからそれでいいのか……」
「喜ぶようなヤツは俺が接客だ。セロテープの台でお出迎え」
「死ぬし! あのですね。根本的に、コスプレ店員まで使って集めた客にものを売らないでどうしますか」
「いいんだよ。そんな迷惑な客はターゲットじゃないんだから」
「じゃあどの層を狙ってるお店なのこれは!? オタク以外のどの層を!?」
「サラリーマン」
「サラリーマン!」
「主力はビジネス書」
「ビジネス書!」
「あと岩波」
「岩波!」
「うちはお堅い本屋だから。ギリギリ許して新書だな。メフィスト賞作品除外」
「そんな本屋にこんな店員いらねぇよ……」
「なに言ってるんだ。サラリーマンの心を癒す……」
「癒されねぇーっ!!!」
六月の銀天盤TOPがオカシクなっためろんちゃん特集には以上のような背景がありました。
よってすべてまめ先輩の責任です。よくわかりましたね。
六日(金) 七日目 京都泊
「大阪三昧」
ハッキリ言って昨日は騒ぎすぎて疲れましたね。そして今日は大阪です。
朝食は「京都と言えば朝マック」という理由でマクドナルドにて。その後まめ先輩は仕事に出かけ、俺はいったんまめ邸に戻って荷物を取ってから大阪行きです。
阪急電車に乗って大阪へー。今日の目的はこないだの調査旅行の時に寄り損ねたたこ焼きとお好みのお店ー。あとはぶらぶらー。高望みしません。
到着そして繰り出しは昼頃。今回は早速天王寺から回ろうということで電車ー。時間と体力のあるときは梅田から歩くのですが、腹減っちゃって。
普段は新今宮から歩くのだけれど、地図的には天王寺から行った方が近いのではないかと思い、天王寺で降りてみる。結構開けてるなあ、という印象。概ねこっち方面、というあたりをつけて歩き始める。
素敵なラブホ街に迷い、動物園だか公園だかの方へ来てしまった。たぶん失敗だったなあ。直接北上すべきだったのだろう。とにかくここを抜けてしまおうということで進んだが、道の左右に凄い数の青いビニールで作られたホームレスさんハウス。そしてカラオケ。
カラオケなんだ? 野外で、花見、なのだろうか。
なんかブルーになりながら歩いていると通天閣の南へ出てしまった。ありゃ。遠回りしてしまったなあ。でもまあその後たどり着けたのでオッケーとしよう。
今日は開いていたお好み屋でおばちゃんと話しながらビール飲んでお好み食って、大阪終了ー。それはウソだが、最大の目的は果たせて良かった。近くのたこ焼きが今日もやってなかったのが残念。
今日も七時頃京都でまめ先輩と合流なので、六時までは大阪にいられるとして、今三時だから……、と考えて、あとはもう食い倒れに決定。まずは日本橋に沿って北上ー。
途中でたこ焼き食べたりー。
なんばの地下街に入ってー。
肉まん食べたりー。なんか番長達とブラブラしたときと同じもの食べてるなぁ。
道頓堀まで来たところでなにを食べようか迷う。よし。じゃあこないだ食べ損なった金竜ラーメンに挑戦しよう、と。
バターと、恐らく七味とごま油、かなあ。自信ない。独特の風味があって、こってりともちょっと違う、味が濃いとかしつこいということはなくて、でも味が強いというか。
まったりとしていてそれでいてしつこくない? 美味しんぼ的に言えば。これは旨かった。ちょっと他では食べたことのない味だった。何人も進めてくれた人がいるわけだよ。
さて、時計を見るともうあと一時間。なんだかんだで良く歩いたからなあ。好きな喫茶店も閉まっている時間なので、どうしようかと迷ったけれどまぁ今日は早めに帰るかぁ、ということで早めに大阪へ戻る。
無理しません。
ガーと東向日へ帰って、ここの駅横の小さな商店街へ。こないだの旅行の時ここでかき氷を食べたのですね。確か。その時から色々と目を付けていたのですが。
案の定お総菜とか、けっこう旨い。そのへんをつまみながらビールを飲もうとウロウロ探したのだが、見つからないうちに食べきってしまった。中華屋さんで店頭販売している唐揚げなんかは特に旨かった。
まめ邸で先輩と合流。今日は何処へなにを食いに行こうかぁー、という話になったが、やはり前回の旅行の時に行って旨かったハンバーグ屋へ行くことに。
前回と同じく、シェフがどう見ても若すぎる、ということで不審の眼差しを送りながらヒソヒソと話した。どうでもいいが俺が食い倒れのせいでお腹がわりといっぱいで、爽やかに和風おろしハンバーグを食っている前でチーズハンバーグのラージをモリモリモリモリーっ、と食べ続けるのはなんとかしてください。健啖にもこれほどあり。
腹ごなしに夜桜見物へゴー。近くの神社で桜祭りをやっていて、まー夜だから出店とかはないのだけれど、ライトアップされていて綺麗だ。
特にここの参道の入り口の桜は良かった。まめ先輩がデジカメで写真を撮っていたのでそのうち「適当ギャラリー」の方へアップされることでしょう。
満喫して帰宅。例の如くマンガを読んでゴロゴロしながらアニメ版「こみっくパーティー」の放送を待ちます。テレビ大阪では今日が第一話なので、二人でこれを見ようという趣向です。
「俺は見ないよ?」
「そんなこと言わないでホラ。始まりましたよーオープニングがー」
「……なんで飛んでるの?」
「いや、それは……」
「なんでToHeart?」
「いや、それは……」
「なんで夢落ち?」
「ちょっと黙っててください。俺の心の平穏のために」
「……?」
「……。」
「……?」
「……。」
「……?」
「だからぁ! ツッコみどころごとに無言で人の顔をのぞき込むの! やめて!」
キツい三十分だった……。
七日(土) 八日目 金沢泊
「同宿は社交ダンス愛好会」
夜遅くまでアニメ見たりしてダラダラしていたせいで、あっさりと寝坊。
「おーい。そろそろ洒落にならないんですけど」
という素敵なモーニングコール。
しかし土日時間割ということをすっかり失念して計画を立てていたので、あっさり旅程がガタガタになりました。駅まで先輩に送ってもらっておきながら、一度戻って出直す始末。
先輩お世話になりましたー。
とにかく大阪まで出て、新快速の中で時刻表を見直しつつ米原へ。福井まで直で行く北陸本線があってラッキー。一路日本海側へ。
乗り継いで西金沢から北鉄へ乗り換える。昼下がりに懐かしの鶴来ー、へ。
今回のお宿は石川県立白山青年自然の家。青年の家なので規則がいろいろとありますが、安いのと立地がよいので大変良いところです。ここに荷物を下ろして一息。夕食までの自由時間に散策開始。
まずは、前回の旅行時にさんざんな目に遭った水門へリベンジ開始。ハッハッハ。春先で緑が芽吹き始めたこの時期は、まだまだ草軍団もそれほど強くなく、ちゃんと足下が見えます。いや、大事よ? 山道で階段が見える事って。
しかし上まで登るとサプライズ事態。おじいさんが土を掘っていました。
……。
こ、ここまで来る年寄りがいるとは思えねえ。霊とか、何らかの犯罪とか……。
ですが挨拶をしてみると、地元で菊栽培を趣味としている普通の人。農作業の話などをしながら一服。足取りもかくしゃくとしたもので、堆肥代わりに使うという山の土を背負って危険な階段をひょいひょいと降ります。地元の人って強い……。
運ぶのをちょっと手伝って、ここは離れることに。邪魔しちゃ悪いしね。
毎度恒例のスタンプラリーを巡りつつ、たこ焼きなど食べているとあっと言う間に夕刻。計画性よりもフィーリングを重視して回ってしまったせいであんまりいろんな所へは行けなかったけれど、普段の自分となんの縁もゆかりもない町をブラブラと歩き回るのはとても面白い。
帰って夕食。他の団体もいるので食堂や建物はとても賑やかだ。ここのところ一人でいることも多かったので、こういう雰囲気も悪くない。
とはいえ友達作りに励むような性分でもないので、談話室の隅を借りて町政史をめくりながら明治期の教育関連の記事を書き抜いていく作業に集中。特に必要性があってやってるわけでもないのだが、なんか将来自分のためになるだろうし、貧乏性なので資料があるのに読まないのが勿体なく感じて仕方ない。
一本レポートっぽいものが出来たところでノートPCとテレカを持って外出。昼間散策時に見つけておいた、NTTのブラック公衆電話から接続してインターネット。
これまでは毎日、泊めていただいた各ご家庭の電話回線をお借りしていたのだけれど、今日はなかったからなあ。いや、あるのかもしんないけれど借りられないし。
しかし、北陸の静穏な夜の中を十五分もかけて静まりかえった神社横の電話まで歩き、そこでまたテレカを差して作業というのもなかなか得難い体験ではあった。
お月様が見ていた、ような気がする。
八日(日) 九日目 富山泊
「川沿いの桜並木の綺麗なことったら。富山」
起床。この手の施設は朝、みんなでラジオ体操をやるものなのだが、今日はおやすみでした。
ので、みんなで掃除を行い、その後朝食。毎日米をたらふく食えるのでなんというか気合いが入る。
本日は夕刻には富山の叔父さんのところまで辿り着かねばならないので、だいたい昼前に鶴来を出る算段で計画を立てる。スタンプラリーを回りつつ博物館といつも行くと閉まっているそば屋に寄って戻ってくることにして、それまで荷物を預かって貰うことに。
土産屋系へ寄れなかったけれど、今回はしょうがない。博物館で昨日のレポートを補足して、本当は図書館に行けば良かったなあ、とやや後悔。町立図書館か。次は行けると良いけれど。
そば屋は「草庵」という名前で、行ったらまぁー待たされた。貴重なこの日の一時間くらいを食事にとられたのではなかろうか。
しかし始めに出たかりんとうは旨かったし、蕎麦も大変美味しかった。時間分の価値は充分にあった気がする。が、忙しいときに来るところじゃなかったかなあ。
かりんとうがお土産用に売っていたのでそれを買って、残念ながらここでタイムアップ。荷物を引き取って駅へ。
北鉄で西金沢まで出て、金沢で富山行きへ乗り換える。今回は金沢で降りる時間がなかったことが残念。
なんとか夕刻には富山着。昼が蕎麦だけだったのでえらい腹が減ってるところで叔父さんと合流。
今日は休みだったということで、ラフな格好で出てきた叔父さんと連れだって回転寿司へ。富山は海が近いので回転寿司が安くて旨い、という情報の真偽を確かめるべくいざ食事ー。
真。
タコが旨かったぁー。タコ大好き。美味しいヤツ。
しかし、日曜のせいか店が何処も混んでいて、入るまでに三軒回った上に三軒目でも30分くらい待ったので、俺は旅行の疲れもあったし二人とも疲れてしまって。夜はパターンと寝てしまったのでした。
明日は長距離移動だぁ。
九日(月) 十日目 山梨泊
「ジュース一升の世界」
起床。叔父さんは今単身赴任できているのだが、毎日ちゃんと朝はご飯を炊いて食べている。流石だ。
叔父さんの出社に合わせて準備をし、駅まで車で送ってもらう。朝でもそれほど渋滞しない。ここも整備された車社会か。すれ違うバスに学生さんがギッシリ乗っていたのが印象的だった。
駅にてお別れ。いってらっしゃい。また来ます。そんな挨拶をかわしてさて。
電車が来るまで結構ある。北陸本線は本数が少ないのだ。とりあえず駅のブラック電話からネットを繋いで、それも終わると駅のコンビニで立ち読みなど。一軒しかないせいか学生さんが凄い数だった。
一時間ほど待つと電車が来たので乗り込む。糸魚川から南下して長野へ入るルートだが、前回は乗り継ぎを考えなかったので方々でずいぶん待ったものだった。今回はちゃんと時刻表を見て、乗り換えのなるべく少なくて良いルート設定にしてあるので前回よりは楽なはずだが……。
結論から言うと楽でした。けど、降りてブラブラしたり買い物したりする暇が全然とれなかったので結構退屈でした。善し悪しなんだなあ。
松本で中央本線に乗り換えるときにちょっと時間があったので、降りておやきを買ってきて、あとは駅蕎麦を食べた。蕎麦どころ長野と言えど、駅蕎麦の味は同じか……。
甲府、山梨市へは電車で一本。松本までで景色は充分堪能していたので、こっちは寝倒し。山梨市からK子君の家までは、前回歩こうとしたら迷って大変だったことを踏まえ、今回は安全策で迎えに来て貰いました。
免許の合宿で同室だったことが縁のK子君とは五年くらいのつきあいになるのか。当時の仲間の話などをしつつ、甲府盆地が見渡せる山梨県東側の高台へ車でゴー。
なんかあるのかな、と思っていたら、花見に連れてきてくれたのだった。夕焼けというには柔らかな日差しの照らす甲府盆地は、そこかしこに桜に桃に李の花が咲く一大パノラマ。そして連れて行って貰った高台の公園自体も桜の名所らしく、桜並木の間を風に吹かれて延々桜吹雪が降りしきっている。
ここで乾杯して、景色を見下ろしながら、日が暮れて町の灯りが夜景を描き出すくらいまで話し込んでいた。
NHKの取材とやらでテレビ局のスタッフが我が物顔でのし歩き、雰囲気が台無しになったので撤収。K子君の家で乾杯していただきますして食べて飲んで食べて飲んで飲んで飲んで飲んで飲んで飲んで飲んだ。
ワインのことを「葡萄ジュースみたいなもんだから」という曖昧なカテゴリ分けで扱うのは危険だと感じましたが、感じただけで逃げたり出来ませんでした。
十日(火) 十一日目 帰宅
「結局最後はhitomi悟空(或いは、結局南極hitomi悟空)」
起床ーっ!
あぁたまがガンガンするよぅー。
などと言っていられないので散歩等して酒を抜きます。汗をかくとスッキリ。
朝食頂きつつなにげにこの家には局所的にマンガが置いてあることが多いので、「燃える! お兄さん」や「突撃め! 第二少年工科学校」といった渋ーいラインナップを堪能。
食後は釣りに行くことになったので誘って貰ってゴー。今回は山梨と埼玉の県境の方へ釣りに行きましたね。
ニジマスを釣るだけ釣って大ハッスル。主にK子っちが釣る役で俺がハリスを絡めたり針を食い逃げされたり仕掛けを流されたりする役と分担もバッチリの息の合ったコンビです。帰りてえ。
心地よく(俺はやや居心地悪く)疲労したあとは、山梨県を横断して東から西へ戻ります。フルーツセンターの更に奥にある富士山の見える温泉に入るのです。
途中の道はまー乗用車で行ったら底を擦って止まるかと言わんばかりの大凸凹。軽自動車じゃ絶対来たくないな。そんな秘境ゾーンの先にあるだけあって、全然なんの工夫もない普通ーの温泉なのですが、圧倒的に迫るパノラマ景色に降参。
景色に見とれて湯あたりしつつ外でちょっとダラダラしていたら、山の上の方だけあってあっと言う間に体温持って行かれたので撤収。面白いところだったー。
K子邸に帰って夕食をご馳走になり、早速釣ったニジマスを食べたりしてやあ旨い。この家に来るといつもいつも食事が旨いので、ついついなんかお返しをという感じになり家へ持って帰るつもりだった土産を全部開けて一緒に食ってしまうのがいつもの悪い習慣です。今回もそうなった。
毎度ありがとうとお礼を述べ、再会を約して駅にて別れる。お世話になりました。
十一日間。
鬱々からやっと抜けたもののいろんなものを取り戻せずに出かけてしまった旅行だったけれど、長期鈍行旅行特有の沈み込むような疲れの中で帰路につくと、なんとなくいつもの旅行帰りと同じ気分になってきている。
じゃあ、これで帰ったら、嫌な空回り前の暮らしに戻れるのだろうか。そう期待してみる。
一人の旅で自分を見据えて新しいものを掴んで一回り成長して帰ってこられたらそりゃ良かったのだろうけれど。
暇つぶしに遊ぶゲームボーイ。本体はhitomiからの借り物。ソフト代は柴三郎から借りっぱやん。
なんでぇ。全然一人じゃないじゃん俺。
中央本線上り。山梨−東京間。
四月の夜、桜の闇を抜けて、やたらと飛ばす電車に乗って。
ただいまを言いに帰る。
「……西だ。まさかその電車が大月で止まるとは」
「間が悪いというかなんというかねぇ」
「日頃の行いが悪いのです」
「しかし、どうやって帰りマスか?」
「……あ。もしもしhitomi君?」
『呼ぶのか!』
ええ。
呼びましたとも。