81年式DUCATI MIKE HAILWOOD REPLICA
外装を個人売買で手に入れた社外品で固めた、750SSイモラレプリカの900レプリカ(ああ、ややこしい)

スクェアケースのエンジンが美しい。 イモラレプリカ改造後の色っぽい後ろ姿
81年式 DUCATI MHR キック どノーマル とってもセクシーなエンジン部。この造形は世界一! イモラ仕様の後姿。美人はどこから見ても美人だ


生まれてはじめて手を出してしまった、外車の世界。
1台目のBMW−R80G/Sで懲りずに、DUCATIミッレと同時に2台の外車のローンを払い続けるというアクロバチックな生活が終わったと思ったのも束の間。
ローンが終わったとたんにオイルポンプが壊れてしまったミッレを前にして悩む私がいました。
このまま修理して乗り続けるべきか、それとも下取りに出して次のバイクを買うべきか。
ただ問題が一つ。どっちにしろ修理しなくっちゃいけない。
壊れたオイルポンプを注文し6カ月後(イタリアからはいるまで6カ月もかかったのだ)自分で交換し、とりあえず直ったミッレを前にもう一度腕組み。まだ決心がつきません。
そんなある日、いきつけのバイク屋にMHR900がはいってきました。
バイク屋のにいちゃんが私を誘惑します。50万円でミッレを下取りするから・・・と。
でもよくみるとセル付きのダーマにMHRの外装をかぶせたにせもの。(さすがにこのころになると見分けがつくようになっていた)
オイルも漏れていたので、このときは断ったんだけど、さすが全国組織のバイク屋。1週間もしないうちに本物のMHR900のキック式が入ってきました。どうしても私に買わせたいらしい。
13000KM走行で89万円。しかも全塗装済み。
ただ、Fフォークのインナーチューブが錆びているため、要交換。エンジンは腰上OH済み。(ほんとかどうか調べるすべがないため、店を信用するしかない。確かにエンジンは絶好調だが。)
結局、迷うふりを続けることができず、契約してしまいました。
ただこのとき、無謀な注文をしたのです。ミッレについているFフォークを900Rに移植させてくれと。
言ってみただけだったのに、OKだったんです。
ただし、店の奥でつなぎを着て整備士のふりをし、自分で入れ換えるのが条件。
ミッレのフォークは赤色でエアサス、900Rのは黒でふつうのものですが、径も長さも同じなので問題なくつくんです。(実は問題があったのだけど)
店にいき、まずミッレのフォークを抜く。次に900Rのフォークを抜いたときにそれに気づきました。900Rはブレーキキャリパーがフォークの前にあり、ミッレは後ろにあります。しかもブレーキパイプが金属製で、Fフォークに固定されているので、ミッレのフォークを900Rにつけようとすると右のフォークを左に、左を右につける必要があるんです。
さてここで問題発生。メーターケーブルが逆になってしまうのです。
これはFフォークの構造の問題で、ミッレと同じようにブレーキキャリパーを後ろにつければいいのですが、ブレーキホースを交換しないとどうしようもないため、とりあえず強引につけました。
この黒いFフォークをつけた、ブレーキキャリパーが前にあるMHRミッレを買った方、ごめんなさい。それは900Rのです。ある意味、そっちの方が貴重品です。
Fフォークはこうして、錆無しのものになったのですが、あと、2、3カ所問題発生。
マフラーがノーマルのシレンチウム製ではなくコンチ(用語解説7参照)がついていたのと、エアクリーナーがないファンネル仕様だったため、車検が通らない。
これは、下取りに出したミッレのものをむりやりとりつけ(ステーの位置が違う)、とりあえず解決。車検が終わった時点でミッレに返品しました。
この時点ではまだ1年車検だったため、次回の車検のためにノーマルマフラーを個人売買で購入。
もっともこれ以降車検をとってないけど。
いまは2年車検なので費用が2倍になったのが痛い。1年車検を選べればいいのにねえ。
さて、購入して最初に行ったこと。それはフレームが違っていたため、ミッレにはつかなかったイモラ仕様の外装取付でした。
まずFカウリングは四国の人から買った赤色の物を缶スプレーで黒に塗りつぶして装着。取付穴の位置が左右対象になっていなかったため、あけなおしましたが問題なくつきました。
タンクは愛知県の鳳来町の人から購入したFRP製で、黒に金のラインが入った物を装着。
外装の色はこれを基準にしました。
さて一番苦労したのがシングルシートの取付でした。
これだけは中古が手にいらなかったため、ブルックランズのイギリス製を購入。
なぜ苦労したのかと言うと、ステーが違ったから。
MHRのフレームに溶接してあるステーを切り落とし、新たにステーを作成、溶接しなければつきません。
私の会社には溶接機も切断機も揃っていますから作業自体に問題はありません。気持ちの問題です。
前に書いたように全塗装済みだったんですよう。
ちゅうことは、塗装がやけこげになるんです。これには勇気がいりましたね。やっちゃいましたけど。
おかげで、もうMHRの本来のシートはつきません。どうやって車検とろうか?。
あとサイドカバーをつければ完成なんですが、いまだついてません。だって高いんですよ。貧乏人はつらいっす。
それと、最初から、ミッレ用のRサスがついていたんですが(これはエア圧が調整できる、リザーバー付き。標準はタンク無しのマルゾッキ)、Rサスが固いと安定感がなくなるため、ミッレについていたフォルナレスのフルエアサスに交換。
MHRは前後サスをやわらかくすると非常に乗り安くなります。
ただこのエアサス、シールがへたって1日でエアが抜けるため急いで帰ってこないといけません。(9KGという高圧が必要なのでふつうのエアポンプじゃだめなんです。専用のポンプは普通の自転車屋にあるのと同じ大きさだから持ち歩けない。)
まあ、あのポジションじゃ200KMが限度だから、ちょうどいいけどね。ぐずぐずしていると、車高がさがってしまい、センタースタンドがたたなくなります。
あと改造したのはと言うと、・・・。ファンネルをプラからアルミへ、ハンドルを調整式に、ミラーをバーエンドに変更したぐらい。
このバイクは不思議なことに、DUCATIのくせに何の問題もありません。
エンジンは調子いいし、燃費もいい。18KM/Lは走ります。
ミッレでDUCATIは壊れる物ということを実感させられたあとなので、拍子抜けしています。
ただ、メンテナンスはきっちりする必要があります。たいていキャブの調整と、エキパイのゆるみが不調の原因で、エンジン本体に問題が発生することはまずありま・・・ミッレはオイルポンプが壊れたんだった。まあ、ほとんどないはず。


これから購入しようと言う人にアドバイス

買う前にエンジンは必ずかけてもらうこと。変な音がするのはパス。内部がいっていると、1台買えるぐらいの金がかかります。(それだったら2台買いなさい。1台50万ぐらいで買えますから。)特にミッレなんか部品が国内にないので輸入になりまっせ。。
あ、始動といえばこのバイク、プライマリーキック(用語解説6参照)じゃありません。
クラッチレバーをにぎると、キックが空振りします。わたしは、すねをおもいきりクランクケースにぶつけました。
つまりニュートラルにいれないとエンジンがかからないのです。
始動するときは、ギアをニュートラルに入れ、クラッチレバーを離し、チョークレバーをひき、アクセルを2、3回あおって、全力でキックします。
ただし、キックアームがかなり外に飛び出ているためと、ハンドルが低いため、またがったままだと非常にかっこ悪いスタイルになります。
スタンドをかけたまま、車体右側ステップに左足で立って、体重をかけてキックしましょう。
プライマリーキックじゃないと交差点でエンストした場合、目も当てられません。
それがいやならセル付きにしましょう。

今でも手にはいる部品や、どうせ交換する部品には多少のことは目をつぶること。例Fフォークのさび、Rサスのいたみ、エキパイのさび、マフラーのさび等。
一時期、パーツがなく困りましたが、いまやステンレス製のコンチマフラー(用語解説7参照)すら手に入ります。
今も手に入るのは
ピストン、リング、オイルポンプ(900Rのみ)、クランク、コンロッド、バルブ、カム、エキパイ、H管、コンチマフラー(レプリカ)、前後サス(社外品)、社外品のカウル類
DUCATIブーム万歳。

逆に以下の部品は手にいらないので、へたりや傷がないこと。

純正カウリング(これは、もし手には入っても1台分45万円ぐらいします)。できれば購入後すぐ、社外品に換えることをおすすめします。ノーマルは大事にとっときましょう。

クランクケースカバー(右左とも入手不可)等エンジン外装。もっとも、カウルはイモラタイプやNCRタイプ等、社外品の安いのがあるため、オリジナルにこだわらない人は気にしなくてもいいでしょう。


このバイクの場合エンジンとフレーム以外、たいてい原型をとどめないぐらい改造されるので、エンジンのきれいな物ならよしとします
もっというなら、エンジンのタイプがあなたの好みかどうかで選ぶも可で、邪道かもしれませんが、きっちりつくられた改造車を買うのが一番かも。
ノーマルはたいてい未整備で、まともに走るものは少ないからです。
ベベルギアDUCATI(用語解説2参照)には、750Sのラウンドケースノンデスモエンジン(用語解説1,3参照)、750SSのラウンドケースデスモエンジン、860GTのスクェアケース(用語解説4参照)でセル、キック付きノンデスモエンジン、750SS,900SS、900MHRのスクェアケースキック付きセル無しデスモエンジン、900ダーマ、900MHRのセルだけデスモエンジン、900R,1000Rの日本電装製セルだけデスモエンジン(これはケースの形だけではなく、内部まで新設計のエンジン)と大変な種類があります。
よく吟味してくださいね。
ちなみに私はスクェアケースのキック式デスモエンジンが一番好きです。
ラウンドケースはポイント式なのがX。オイルフィルターもないし。もっとも、オイルフィルターがあるタイプも実はすべてのオイルをろ過していないので、あまり信用できないけど。


用語解説
さてと、ここまでちんぷんかんぷんのまま読んでくれた方のためにかんたんな用語解説を付けときます。参考にしてください。

1)デスモ・・・デスモドロミックの略。バルブスプリングを使わず、バルブの開閉両方をカムで制御するシステム。カムシャフト1本に開閉両方の山があるため、2バルブにもかかわらず、2気筒だと開閉各カムにそれぞれ4個の山がある。

2)ベベル・・・カムチェーンではなくシャフトの両端に付いたベベルギア(傘歯車)でカムシャフトを駆動するエンジンの略。正式にはベベルギアそのもののことだがDUCATIに関しては、カムシャフトをベベルギアで駆動するエンジンのこと。シリンダー右サイドのメッキパイプがそれ。MHRまで。パンタ以降、ゴッグドベルト(歯付きベルト)でのカム駆動となり消滅。

3)ラウンドケース・・・初期のベベルエンジンのこと。サイドのケースカバーが丸いためこうよばれた。ポイント点火。オイルフィルターがない。初期の設計では右チェンジだ。クラッチユニットが左にあるためチェーンは右になる。以降ベベルエンジン搭載車は右チェーンである。パンタ系以降当たり前の左チェーンとなった。また750S以前はデスモではない、普通のバルブスプリングエンジンだ。750SSの登場とともにデスモエンジンとなった。750SSには次代のスクェアケースエンジンもある。これも右チェンジだ。

4)スクェアケース・・・2代目のベベルエンジン。あのジウジアーロのデザインである。ケースカバーが8角形をしていたため、ラウンドケースに対してこうよばれた。この型からポイント点火を廃止し、トランジスタ点火となった。ラウンドケースではポイントのあった場所にオイルフィルターがある。860GTにはデスモじゃないエンジンを搭載。セルモーターとキックが両方ついていた。その他はすべてデスモエンジンだ。キック仕様、ボッシュのセル仕様、セルキック併用、日本電装製セル仕様の4種類がある。これも初期には右チェンジがあるらしい。たとえば、76年式の860GTSを見ると、チェンジシャフトの反対側がケースの右側に顔を出している。右チェンジ用のシャフトに代えればそのまま右チェンジになりそうだ。

5)右チェンジ・・・ふつうチェンジペダルは左足側にあるが、少し前のイギリス車や、カワサキW1、初期のDUCATIなど右足チェンジのものがある。当然ブレーキペダルは左側にくる。今じゃ世界中、左チェンジがあたりまえになった。DUCATIを何世代か持っているとわかるが、Fスプロケットをカバーしている部分(ベベルだとクラッチのレリーズレバーがある)をはずしたとき、ケースカバーの構造が全然違うのだ。外観や、ネジ位置はまったく同じなのに、860GTSのカバーは900Rにつかないのである。これは860GTSのエンジンが右チェンジを左チェンジにするため、スプロケットカバー裏側にチェンジ機構を納めているためだ。900Rやミッレのカバーは単純にクラッチレリーズの支点があるだけで、チェンジ機構はクランクケースに納めてある。ややこしいが外観が同じでも年式が違うとクランクケース内の構造がまったくちがうのである。だから・・・しくしく・・・私みたいに900Rの部品取りに860GTS買ったりしたらだめですよお。エンジンはのるけど、あちこち干渉してエキパイもつかないし、部品の互換性って、まるっきりないからね。しくしく・ ・・。私はこうやって、たくさんのやっかいものをかかえるはめになったんだから。XLシリーズなんかこの典型。XLRなんか全部エンジン違うんじゃないだろうか。

6)プライマリーキック・・・いまじゃあたりまえの、どのギアでもクラッチを握ればエンジンがかかるキックシステムのこと。これはキックギアがクラッチより前のエンジン側に噛みこんでいるので、クラッチを握ってキックしてもエンジンが回るわけ。
DUCATIは違うのだ。
キックギアがクラッチより後輪側で噛み合っているため、クラッチを切ってキックするとエンジンは回らないし、後輪がキックで駆動され回ってしまう。
このため後輪が地面についているとキックアームが降りないのだ。
だから、ギアをニュートラルにしないとキックができないわけ。
これは、この時代の当たり前の仕様だから頭にいれて購入すること。
ちなみに古いヤマハ車もこれ。驚かないように。
そういや、あたらしいとこで、スズキGAGってそうじゃなかったっけ。

7)コンチマフラー・・・いわずとしれた、81年以前のスポーツタイプベベルDUCATIの標準マフラーだった、筒抜けマフラー。
たいていの人が購入後これに交換する。
クロームメッキが美しい。ただ音量は車検を通らないほど大きい。なぜかというとサイレンサーらしきものがないから。
当時は騒音規制がなかったんだよなあ。
でも音質が柔らかく、耳障りがいいためか、実際、捕まるようなことはないようだ。
不思議なことにキャブをきちんと調整すると、うそみたいに静かになる。(少なくとも乗っているライダーの耳には・・。はたから聞けばやっぱりうるさいんだろうな)


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ベベルDUCATIのパーツ紹介。
H管・・・エンジン下で左右のマフラーを連結しているパイプ。(レプリカ)25000円。 問い合わせ先・・・モーターサイクルガレージMCR TEL 0427−62−9513



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