本日の整備日記


(ごめんなさい、去年のままです。整備は膠着したままです)


1997年10月14日
   ここ愛知県の山村、下山村に引っ越してから2ヶ月が過ぎ、やっと家の中が片づいてきた。今週は残業もないので(こんなことは2年ぶりである)玄関につっこんである薄汚れたGSXR250Rが、急に目に付くようになってきた。なんせこれまで夜中の2時3時の帰宅は当たり前、朝の7時に出勤、土日の休みも運次第という、とても人間らしくない生活をしてきたのだ。雪が解け、梅が咲き、菜の花、桜、ツツジなんかが咲くところも見ずに死んでゆくのはごめんだと、このいなかの茅葺き農家へと移り住んだのだが、結局生活が変わらない限りどうにもならないことを思い知らされただけである。しかし今月いっぱいは、どうやらこの生活が続けられそうなので、2年ぶりにバイクをいじることにした。DUCATIとかBMWを期待してた人、ごめんなさい。早急に通勤バイクが必要なので、最小限の整備ですみそうな、GSXRが今回の患者です。               

現況報告 


整備手順

  で、とりあえず分解から始めよう。まず、ステアリングロックを解除しなくっちゃ。スペアキーを差し、プライヤーでぐりぐりしてるうちに急にメインキーが回るようになって、下半身不随から解放された。スペアキーはひん曲がってしまったけど。これで前輪の向きが自由になったので、カウリングがはずせそうだ。(前輪が動かないと工具が入らないところがあるのだ。)
次にカウリングをはずそう。サイドカバーから。とにかく目に付くねじをぜんぶはずす。どうやら左右一体らしい。左右を分離する方法がわからないので、テールライトごと完全に一体ではずした。もうすでに挫折しそうである。まるでスクーターだ(スクーターのプラグを変えたことがある人ならわかってくれるでしょ)。次にアンダーカウル、センターカウルの順にはずした。なんでこんなにねじが多いんだ。DUCATIをみならえっ。カウルなんかかろうじてとまっているだけだぞ(そんなもんみならってどうする)。
うをー。なんて美しいエンジンなんだ。まるで1100の油冷エンジンだ。これを隠すなんてもったいないので、カウルはつけないことにした。
次にキーを使いタンデムシートをはずすとワイヤーがあるのでひっぱってみる。ぼこっと言う音がして、メインシートがはずれた。うーん芸が細かい。シート下にバッテリーが半分だけ、そう、半分だけ見える。あとはタンクの下である。つまりはずれないということだ。感心して損した。
しぶしぶタンクを止めているブラケットをはずし、タンクの後ろを持ち上げ、燃料ホースと負圧コックのホースをはずす。か・固い。完全に硬化してやがる。手じゃはずれそうもないので、ニッパーでちょん切る。どうせ交換だ。
ずるずるとブリーザーホースをひきずりながらタンクをはずすとやっとバッテリーが全部見えた。で、はずそうとしたら真上にエアクリーナーの吸気ファンネルがつきだしてやがる。結局ファンネルをはずしてやっとバッテリーがはずれたので充電。完全放電してるので生き返らないかも。MFバッテリーは高いだろうなー。
ここまでやったので、タンク下の空間にどおんと鎮座してるエアクリーナーケースもはずそう。これをはずせばキャブレターとご対面である。キャブに固定してあるバンドをゆるめケースの両側の2本のボルトをはずしケースを上へ引っこ抜く。上へ。そうかダウンドラフトなのだ。
これでキャブがむきだしになったので、しばらくながめる。そうかあ。これがフラットバルブかあ。なんせ古いバイクしか乗ったことがないので、キャブはみんな円筒形のバルブだった。四角いバルブがすごいハイテクにみえてしまう。
十分堪能した後、それぞれのピストンを手で動かすと1番と4番が張りついてて動かない。強引に動かしたが、少し渋い。これがエンジン不調の原因だろう。これじゃ両側の2気筒に十分な燃料がいかないはずだ。
その奥に見えるのは・・プラグか、これ。どうやってはずすんだ、こんなの。ここまで分解してやっとみえたんだぜ。あぜんとしたまま、今度は前に回る。
おおっ、サイクロンマフラーだあ。SUZUKI製だけどどうみても吉村のデュプレックスサイクロンそのもの。金がかかっているぞこれ。
ほとんどアルミのフレーム、ニッシンの対向ピストンのキャリパー、ぶっといアルミスイングアーム。このままレースにでられるぞ。これってビモータあたりが作ったら、200万円ぐらいなるんじゃないか。これが不人気で下取り3万円なんて。なにかまちがってる。とかなんとかいいながら、とりあえず満足したので今日はここまでにしとこう。このページも書かなきゃいかんし。


10月16日

今日も玄関を入るなり、靴もぬがんとキャブをはずし始めた。前にレースにもでれそうだと書いたが前言撤回。キャブをはずそうにも工具が入らない。
GSXR1100Rの時も苦労したがエンジンがでかいだけに手も入りやすかった。こいつは違う。キャブとエンジンとを連結しているインシュレーターの、バンドを固定しているねじの頭が、となりのキャブとの間にある。つまりドライバーが入らないのだ。どうやって組み付けたのか想像できない。プラスのねじの頭ととなりのキャブとの間は10mmほどしかない。どんな工具もはいらんぞ。
結局力技で行くことにした。。強引に引っ張ってはずしたのである。結局これが正解だったようだ。入れるときも強引に押しこんだんだろう。次回のためにねじの頭を全部下に向けた。キャブが上に向かってセットされているのでキャブの下には十分な空間があるのだ。ここから上に向かってドライバーを構えればねじを締めることができる。
さて、はずしたキャブだがごらんのように2番目のキャブだけ汚れている。このキャブがあやしい。でも、今日は手を出さないことにした。最近、4気筒やったことないから、ちょっとこわい。DUCATIもBMWもシンプルなキャブ、つかってるもんなあ。キャブ1個の部品点数が倍ぐらいありそう。しかも2セット多いしね。


  

キャブなき後のクランクケースの上部。エンジンを真上から見ている。両側の白い部分はエンジンを完全に抱き込んでいるアルミツインチューブフレーム。インテークには未使用のティッシュが詰めてある(別に使用済みでもよいのだが)。左下にセルモーターが見える。左上の四角い箱はキャブの背圧を逃がすためのエアクリーナー。



はずしたミクニの負圧式フラットバルブキャブ。2番だけが汚れている。ガソリンが漏れているようだ。それにしても高価そうなキャブだ。きっと、このキャブだけでこのバイクの購入価格を超えてるんだよなあ。


10月22日

やっぱりバッテリーは死んじまってるみたいだ。ホーンがたよりない。
セルを回してみたいが、エンジンにティッシュを吸い込ませるだけなので思いとどまり、とりあえずキャブをばらすことにした。しかし本日発売の少年サンデーとマガジンがまだ読まないままそこにある。先週の続きが気になって分解に失敗したらいやなので、漫画を読んでからにしよう。
(この後約2時間、時を忘れた。)
さあ分解だ。・・・。フロート室のねじがなめてる。そういや、一度店に出してキャブのオーバーホールやってもらったって言ってたっけ。いやあ、いい仕事してるわあ。ちゃんとショックドライバーではずしゃ、これほどひどくならんぞ。
結局ねじをはずすのに2時間かかってしまった。でもばらして正解。汚れてた2番が1番きれいでした。原因はそのとなり。1番キャブと3番キャブ。中が接着剤のようなものでぐちゃぐちゃしてて、すべての穴が詰まってた。2番のキャブが汚れてたのは、オーバーフローパイプがちゃんと働いていたからで、汚れていないキャブの方が異常だったわけ。(写真)
今回洗浄に使ったのはWAKOSのキャブレタークリーナー。これはおすすめ。吹き付けるそばから汚れがとけていく。ただあまりにも強力で、ちかくにあった発砲スチロールがあっというまにとけてしまった。
樹脂部品に影響ありそうだ。



左はフロート室にこびりついたガソリンの不純物。中央のパイプが外とつながるオーバーフローパイプ。ここから大気圧をフロート室へ導く。非常に重要な部分。ここが詰まるとガソリンがエンジンの中へ吸いこまれなくなる。キャブを取り付けるとき、よくここへつながるゴムパイプをどこかにはさんで、エンジンが吹けなくなることもある。右はダウンドラフトにあわせて、斜めについているメインジェット、スロージェット。すごくかっこいいと思うのは俺だけか。(ラピュタのロボットかナウシカのガンシップにみえてしまう)




左はフロートバルブと一体成形されたフロート。左上の金網部分がキャブの穴にささり、タンクからガソリンが送られてくる。右はフロート室を下から見たもの。まんなかの筒が上の写真のオーバーフローパイプにつながっている。4個中2個のキャブが詰まっていた。普通はキャブの横にあり、ゴムパイプがささっていてキャブの中を大気圧に保つ。

97年10月26日

日曜日だ。GSXを組み付けたいが、まず草刈りだ 。ここ数日続いた夏のような陽気は去り、冬の気配が歩み寄ってきた。風が冷たい。この元農家は庭が100坪近くあり、油断してると、ジャングルと化す。キャブをはずしたまんまのGSXを横目で見ながら、エンジン式の刈り払い機ですすきだの、訳の分からん草だのを切り払う。(とても手で刈れる面積ではない。)で、見つけてしまった。裏山との境目にハート型の葉っぱを。やまいもである。それから2時間、スコップがなかったので、クロームバナジウム製のマイナスドライバーで深さ30センチほどの大穴をあけ、15センチぐらいの山芋を手に入れた。これで晩飯のおかずが一品ふえたのである。田舎暮らしはたのしい。(つらいこともあるけれど)
さて、GSXのキャブだが忘れてたわけではない。豊田の南海部品へ行きフューエルホースを仕入れてきた。バキュームコック用と燃料用の2種類だ。これで明日組みつけにかかろう。



11月9日

明日が半月になってしまった。今玄関の中に入れて整備してるんだけど、気温が10度を切っている。
さすがに山里。寒くなるのが早い。で、夜にやろうとしても、体が嫌がっている。とりあえず組み付けたが案の定バッテリーがへたっているので、セルを10秒ぐらいまわすのがやっとだし。負圧のコックを使っているため、10秒ぐらいじゃ燃料がキャブまでこないのだ。困ったもんである。バッテリーを新品にすればすむことだが、今バッテリーを買うと正月を迎えることができなくなりそうで、躊躇している。とりあえずバッテリー代がでるまでお休みするしかない。貧乏レストアラーのつらいところである。


11月10日

豊田市内の中古車屋で前々からほしかったAW11のトヨタMR2(ミッドシップの車だ)を置いてあるのを見つけた。毎日1万円ずつ値段が下がって行くシステムだ。最初見たとき30万円だったのが27万円になった。ほしい。なんせ、ここからの通勤はイニシャルDの世界なのである。最初の10kmは標高差300メーターのダウンヒルだ。今もっているハイラックスのトラックでは、重過ぎて十分に楽しめない。(元々、オートバイでのダウンヒルでは、NSR相手にBMWで負けない自信がある)。しかし先立つ物がない。家を買うと大変なのだということを実感している。今回は泣く泣くあきらめよう。しかし・・・。(まだ未練があるわたし・・・。)


12月のある日

なぜだろう。今目の前にMR2がある。
あれから1週間がたち、できるだけ、あの店の前を通らぬようにしていたのだが、コンピューターの部品(メモリー)を買いに行くのに偶然(んなことあるかっ)通りがかってしまった。
19万円。
まだある。誰にも買ってもらえなかったのか。
わたしは捨て犬の前を素通りできない質である。翌日、銀行のキャッシュコーナーが開くのを待って現金をおろしてしまった。
(続きはAW11−MR2のページをご覧ください)


98年1月14日

室内の気温、5度。
今、午後10時の室温である。決して外の温度ではない。
掘り炬燵に足をつっこみ、背中を石油ストーブで暖めながら、キーボードをうっている。
というわけで、このページはしばらくおやすみします。
誰がなんといおうと、冷蔵庫並の気温の中での作業は、やだ。
読んでくれた人、ごめんなさい。
冬眠からさめたら、続けます。


98年6月29日

やっと活動しやすい時期になったのに、帰宅が夜中だ。土日も仕事のことが多い。何のために田舎にきたのやら。
仕事を変わろうかどうか迷っている。
と、くらい話はやめにして、GSXである・・・・が、BMWの車検がきてしまった。
もうしばらくかまってやれないので、今しばらくお休みください。


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