TOYOTA MR2 85年式 AW11 1600G-LIMITED 


9年11月のある日、豊田市内の中古車屋の店先にスーパーホワイトの旧型MR2が展示してあるのを見かけた。
1日1万円安くなってゆくシステムで、最初は33万円だった。
すでに、12,3年前の車である。高いなー、と思いながらその日は素通りした。
数日後、27万円になっていた。少しだけ心が動いた。
町中にすんでいた頃は、こういう車には興味がなかった。
しかし今すんでいる下山村から職場のある豊田市までは、標高差300メーター、10kmのダウンヒルである。
ここを毎日ハイラックスのピックアップで通っていると、だんだんスポーツカーが欲しくなってきた。
そこに、これだ。
しかし、家を買ったばかりである。余分な金などあろうはずもない。わたしは泣く泣くあきらめた。
ある日、メモリーが欲しくなって、町中のコンプマートへむかった。64メガに格上げだ。
そこへの通り道に例の中古車屋がある。
19万円。
まだあるのだ。そぼ降る雨の中に。寂しそうに。
翌日、10万円を握りしめ、店のドアを開けてしまった。私は捨て犬を見過ごせない質なのだ。


12年落ち。12万km走行。距離がいきすぎていたのが売れない原因だった。しかも2シーター。
ここ豊田市は、トヨタのおひざもとらしく、新入社員がクラウンの新車に乗ってくる町である。
豪華なのがいい車なのである。ちなみにマークKが一番売れている。
ちっちゃな、脱いだコートさえ置くところのない2座席の車はたたき売られてしまうのだ。


実をいうと私は、今の会社、さらに前の会社でもこの車の制作に関わっていたことがある。
前の会社では発売前に、新型車解説書、整備書の中にある絵を描いていたのだ。
当時は決していい印象を持っていなかった。ミッドシップにしては、あまりにも当たり前のスタイルだったからである。フロントがターセルのリトラにそっくりなのだ。
見方によってはカローラにしか見えない、2人しか乗れない車。直線で構成されたデザインもきらいだった。私が好きだったのはTE27のレビン、トレノのように丸っこいデザインだった。
今の会社では、生産を始めたMR2につく部品がトヨタの社内でうまく量産できなかったため、かなりの間、手作りで部品を作り供給していた。だから、初期のMR2には、私が手作業で作ったマフラーガードがついている。ちなみに車の試作が本業だ。
さらに、テールスポイラーは一番下の弟が作っていたし、内装は真ん中の弟が作っていた。この前弟のところへ乗っていったら、2人とも自分の仕事を懐かしそうに見ていた。みんな苦労して作った車なのだ。


以外なことに、安いのにこの車、装備が豪華だった。
パワーウィンドウ、電磁式ドアロック(手が届くのに、何でこんなものが必要なんだ)、オートエアコン、脱着式ガラスサンルーフ等々。しかも4本とも9分山のハイグリップタイヤをはいていた。(フロントがグランプリのM5の195、リアがGグリットの205、ノーマルは前後185−60)マフラーもタナベのステンレスのスポーツマフラーが付いている。とどめに11年2月までの車検付き。多少のことに目をつぶっても十分におつりがきた。
契約がすみ、3日後に受け取る約束をしたのだが、納車当日電話が入ってきた。
「エンジンの3番に圧縮がありません。ヘッドをあけてみますが最悪エンジンを乗せ換えしたいのですが・・・」
私は、受話器を持ったまま呆然としていたが、我に返り、返事をした。にやけるのをおさえながらである。
「距離の少ないエンジンにしてくださいね。ついでにクラッチ関係を新品に。それからエンジンマウントも新品にしてください。それから、それから・・・・・。」・・・・ラッキー。
そう、わたしは、神に感謝したのである。購入後、自前でやらなければいけなかった整備の半分がすんでしまったのだ。
この店にはとっても感謝している。現状渡しという契約だったのに、きっちり整備して納車してくれたのだ。(もちろん部品代は払いました。約6万円かかった。)しかも、タイミングベルトも無料で新品にしてくれたのである。
(豊田市のルートという店だ)


2週間後納車。
エンジンをかける。腹に響く重低音。いい音してんなあ。メダリオンというマフラーである。
夜だったのでライトをつけようとしたが、ライトスィッチがない。なんとメーターの横にある。ライトがせり上がってくる。はじめてのリトラクタブルライト。かっちょえー。視野の中にライトがあるのがとっても新鮮。
肘の高さにある、短いシフトを1速に入れ、そろそろと走り出す。くうっ、ハンドルがっ。重いいい・・・。パワーステアリングじゃないのね。腰をシートに押しつけ、汗をかきながらスタートした。
ま・・まっすぐはしらん。路面のうねりを忠実に伝えてくる。ハンドルに遊びがない。ブレーキがきかねえ。エンジンがばらつくよー。
こうして初日は、うちに帰るまでに、くたくたになってしまった。


正月休み、120リッターのガソリンを使ってしまった。
おもしろいのである。
エンジンの調子は走っていくにつれて尻上がりによくなっていった。ブレーキも同じ。コーナーでよろけるのはしょうがないか。エンジンは新しくても足周りは12万kmだもんな。
9千回転近くまで回る4AGエンジン。しかも低速トルクが強力で、ハイラックスのディーゼルエンジンでさえ4速でしか上れない坂を、5速に入れっぱなしで、さらに加速さえできる。いままで、TE27の2TGが最高のエンジンだと信じていた私を一発でとりこにした。燃費もそういう走りをしているのにも関わらず、リッター10kmも走る。2TGは6kmぐらいだったのに。
車重が軽いのもいい。940kg。しかもミッドシップだから前輪が軽い。パワステがないが、なれれば必要を感じない(あくまでも走っている時ね。車庫入れは地獄のような重さだ)。ただし登りでは、前輪が外へ逃げていく。加重移動をしっかりしないと曲がらないところなんか、バイクの2ストレプリカみたい。
さすがに、足周りはへたっている。ブッシュ類は全滅だ。後輪のテンションロッドのブッシュがシャフトに対して斜めによじれている。ブレーキかける度に後輪が動いてしまうわけだ。強化ブッシュが今でも店で手にはいるので、交換する予定。サスペンションも1台分インターネットで手に入れてしまった。GABのジムカーナ用だ。1月3日の天竜川の部品交換会で、ストラットタワーバーも1000円で手に入れた。
これから、楽しみだ。
峠の帝王と呼ばれる日も近い。(そんなことありえないって)


1月19日 待望のストラットが到着した。箱を開けるとGABの真っ赤なシェルケースが目に入った。なんと、ダンパー調整付きだ。1万円は安かった。尼崎の杉山さん、感謝。軽量化のためブレーキホースのブラケットを切り落としていたが、この部品はうちの会社で作っている。ケースに溶接してOK。
足周りのゴムブッシュだが、近くのカー用品店でTRDの強化ブッシュを発注。1台分5万円かかってしまったが、これで足周りは新車同様になる。次はブレーキかな。


1月31日 朝10時に会社へ。もちろん仕事ではない。駐車場で、足周りを組むのである。
まずジャッキアップ。面倒なのでフォークリフトで右前を持ち上げた。タイヤをはずし、足周りをしばし眺める。眺める。・・・15分ほど眺めてから、とんでもないことに気づいた。オートメカニック誌によると、ストラットをはずすとき、まずブレーキキャリパーをはずすのだが、ブレーキホースを止めているブラケットからクリップを抜くとホースがストラットからはずれるので、キャリパーとホースを針金でその辺に吊っておく、とある。切り離すとは書いていない。しかしである。この車のブレーキホースはストラットに溶接されたブラケットを貫通している。クリップを抜いても、ホースはどこにも抜くことができないのだ。トヨタ以外の車は、クリップをはずすと、ホースをブラケットから横に抜くことができるらしい。つまりトヨタ車は、ブレーキホースをキャリパーから切り離さないといけないのである。切り離すとどうなるか。ブレーキのエア抜きが必要になるのだ。オートメカニック誌のシルビアは、キャリパーとホースをつないだまま、ストラットがはずれているのに。
トヨタの技術陣。なに考えてんのや。
この時点で本日中に4輪とも交換するという計画はあきらめた。エア抜きの時間が必要だからである。
なにせ、この車に乗って帰らなくっちゃいけないのだ。
自慢じゃないが4輪のエア抜きなんぞやったことがないし、絶対に2人必要だから、本日(土曜日)出社している人間がいる間にエア抜きまですまさないと帰れないのだ。
しかたなく、ブレーキホースをキャリパーからはずした。オイルが垂れる。
もう躊躇はいらない。ブレーキキャリパー、ディスクローターをはずす。・・・が、ねじがゆるまない。インパクトで締め付けたのだろう。めがねレンチをかけ、足でけっ飛ばしてようやくゆるんだ。
次にストラットシャフトのてっぺんにあるナットをゆるめておく。決してはずしてはいけない。スプリングは圧縮されているのだ。はずしてしまうと、私のように、ストラットがドカンとはじけて驚くことになる。(反対側もやってしまった・・・・ばかである。)
このときアッパーマウントの3本のねじもゆるめておく。
これでストラット下部とナックルを止めている、2本のボルトナットをはずせばストラットASSYがはずれる。・・・・はずだったのだが、ゆるまないのだ。どんなに思い切り回しても、ナットが。しかもこの車、スタビライザーがストラットに付いているうえ、ボルト側がピロボールなのでナットをゆるめようとしても一緒にボルトも回ってしまう。ここでやっと、会社にインパクトレンチがあることを思い出した。なんてことはない。一発ですべてゆるんでしまった。なんてすごい発明なんだ。
が、しかしストラットからスタビが抜けない。片輪を持ち上げているので、当然スタビが効いているのである。
結局、ディスカウントストアーへ行って、リジットラック(馬ってやつね。)を買ってきてしまった。これで、左右の前輪を同じ高さに浮かせると簡単にスタビがはずれた。道具は偉大である。(2個で1970円だし)
これで、アッパーマウントの3本のナットをはずすと、めでたくストラットASSYがはずれた。もっとも、最初にシャフトのナットをはずしてしまったため、ASSYではなくバラバラになってとれてしまったのだが。
次に、ナックルとボディの位置決めをしている鋳物のアームをはずした。ここのブッシュがいかれているんものと思っていたのだが、あまり痛んでない。一度交換したのだろうか。
疑問に思いながら、ナックルとステアリングラックをつないでいる2本のボルトをはずし、ステアリング系統を切り離す。
最後にフロント側の位置決めをしている、ストラットロッド(テンションロッド?)をはずす。ここのブッシュは完全につぶれている。交換に期待がもてる。
しかしここでばらす順番を間違えたことに気づいた。ナックルが固定されてないので、テンションロッドのナットを回そうとしても、シャフトごと回ってしまうのである。結局もう一度ナックルにアームを取り付け、ねじを通し、半固定状態にする羽目になってしまった。


これから、足周りをいじる人に一言。
ねじ類は、ストラットをはずす前に、すべてゆるめておきましょう。(ただし、ねじは最後まではずしちゃだめですよー)
これで、ブッシュ交換に必要な準備は整ったので、プレスのあるところへ移動する。
前輪で圧入が必要なのは鋳物のアームのボディ側だけだ。(両輪で2個)しかも、MR2のブッシュは金属環のない、全ゴムタイプなので万力でも交換できるが、プレスでやればものの数秒で交換が終わってしまう。
ただし、ゴムの摩擦を、シリコーンスプレーや、ゴム用のオイル等で打ち消しておかないと、ちぎれてしまうので注意すること。私みたいに、試作車のゴムブッシュを何台も入れた経験者でさえブッシュを変形させたり破損させたりしてしまう。(今回も左前輪のブッシュのフランジをちぎってしまった。)
さていよいよ、ストラットの組み込みである。個人売買で手に入れたストラットだが、スプリングは今付いているのを使うため、新旧両方の分解が必要だ。が、先ほど書いたようにドジなはずしかたをしたため、すでにノーマルはバラバラである。
さてと、ノーマルのスプリングをGABの方へ組み込む。なんか妙に短い。スプリングコンプレッサーなしで組めるのだ。ここで初めて気づいたのだが、ノーマルの黒塗りのストラットの傷が赤い。こすってみると下地が赤いのである。GABだ。
そうなのだ。ノーマルの足がへたって車高が下がっているものとばかり思っていたのに、すでに足周りがショートスプリングのGABショックに換えてあったのだ。どおりで車高が低いはずだ。こんなこと気づかず、足周りをそろえてしまった俺って・・・。何度も言うようだが車には、うとい私。でも、今度のショックには4段の(付いていたのは調整なしのGAB製)ダンパー調整がある。気を取り直してスプリングを組み込んだ。


車体への組み付けは、分解の逆にボルト止めしていくだけである。とりあえず、テンションロッドに新しいブッシュを組み付け、仮止めしてゆく。ブレーキローターを入れブレーキキャリパーを2本のボルトで組み付ける。ホースをつけ、その辺歩いていた工場長にペダルを踏んでもらいエア抜きもすました。ここで、3時の休憩になった。右前輪だけで、である。10時から始めたから、片輪4時間もかかっている。今の季節だと日の入りは6時ごろ。うをーーーー。後2時間で左をやらないといけないのかあ。
それからの2時間は、まるで映画の早回しのよう。結局6時半には左前輪は組み付いた。最後に残っていた若い衆にブレーキを踏んでもらいエア抜き。ホイルをつけて完了だ。
だが、右前輪にエアがないことに気づいた。ここまで乗ってきたのだ。はずしてからパンク?。あわてて、タイヤ屋へ。ぶっきらぼうな主人がキャップをはずし、空気を入れ、水の中へタイヤをつっこんだ。しかし、あぶくがでない。みんなで首を傾げていると、突然
「あんた、さっきのキャップを見せてみい。」といわれた。
「あんた、このキャップを下にして置いてなかったかね。」
このキャップというのが、エアゲージをかねた便利グッズ。頭を押すと、エア圧がわかるってやつでして。
なんのこたあない。キャップの頭がおされっぱなしで、エアが抜けただけ。乾いた笑いが・・・。エアを入れてもらい、「いくらでもいいからおいてけ」の言葉に500円を払い、さっさと退散した。
片づけ終わったときには7時を回っていた。今から30km先の弟のところへテストランである。
途中、後続車のないところで、何度もフルブレーキングしてみた。何となくふにゃふにゃする。エア抜きに失敗した?。
実はそんな甘っちょろいもんではなかったのである。


数キロメーター走った、とある交差点。ブレーキを踏んだら、ギャリン、ガコンと音がして、右前輪がロックした。路肩に寄せ、キャリパーを探る。まさか・・・・。キャリパーの上側を止めるねじがない・・・・・。あわててキャリパーの下側を探ると、ねじがかろうじて2,3山かかっていただけ。MR2のキャリパーはローターの前側にあり、上下2本のボルトで止まっている。そのうちの上側が消滅していた。だからブレーキをかけると下側のボルトを支点にして、キャリパーが押し出されてしまったのである。どこへ?ホイールの内側に。まるっきりドラムブレーキだ。エンジンブレーキで止まる寸前だったのが幸いした。高速道路だったら・・・・。
もっとも単純な失敗。締め忘れである。それも仮止めだとわかりにくいからと、わざと2,3回転だけねじ込んでいただけ。それを見落とすなんて。
ブレーキを踏むとガコンとくるので、踏めない。サイドブレーキだけを使って工場へ戻り(後ろを走っていた人ごめん。)、ねじを探したが、ブレーキのねじピッチは細目である。ふつうは売ってない。仕方なしに、会社に車を置き、会社のバンで帰ることにした。馬鹿まるだしだ。
とぼとぼ帰る路肩に、ナンバーのない廃車が捨ててある。これだっ。厳密に言えば泥棒であるが、この際、犯罪者ってやつになってやろうじゃないのっ。トヨタの車だったら同じはず。真っ暗闇に息を潜め、時々通る車におびえながら、めでたくねじを手に入れ工場へ引き返した。若い頃を思い出した。あの頃は・・・。
ホイールをはずし、キャリパーのねじを締める。ぴったりだ。涙がでた。
ホイールを組み、会社をでようとした・・・が動かない。ねじが長すぎ、ローターに当たっていたのである。再びホイールの脱着。ねじを切り落とす。でもこれのおかげで、また命拾いした。右前輪のホイールのナットが全然しまってなかったのである。馬鹿もこれだけやると笑い話にもならない。結局このあと、確認のため両輪とも外し、すべてのねじを点検したのは言うまでもない。
もう10時半だ。
これに懲りず、来週は後輪だ。


2月8日 日曜日
朝から雪が・・・。15分ほどで1センチつもるペース。結局20センチほどつもってしまい、足周り交換は次週へ持ち越し。(なにせ長野オリンピックの滑降が猛吹雪で中止になってしまったのだ。見にいっていた弟がかわいそう。結局11日に変更になり、弟にとってのオリンピック生観戦は幻となってしまった。追伸・・・11日も中止。替わりに一番下の弟が会社休んで行っていた。
結局うちの家族は全員、翌日のテレビで滑降を見る羽目になった。
この日私はというと、氷点下に近い部屋の中で、バイオハザード2にどっぷり浸かり、ゾンビと格闘していたのである。


2月21日
運転席側のパワーウィンドウが、すさまじい音を発して途中で止まってしまった。なにかギアにかんだみたいだ。
どうやっても動かないので、ドアを分解してみた。が、モーターははずしようもない位置にボルト3本で止まっている。
しかもモーターをはずしたとしても、ウィンドウをワイヤーで引っ張る構造のため、元のように組めそうもない。
あきらめて内張りを組み付けた。とりあえずスィッチを押しながらウィンドウをたたいたら動いたので、閉めることはできた。
ギアボックスがいかれたらしい。がりがりいっている。自分では無理そうなので、修理に出すことにした。
少しはお利口になったと思う。いままでだったら、いじりこわして、ドアごと交換なんてことになっていただろう。
でもすこしくやしい。


3月22日
陽気がよくなったので庭を耕した。ふきのとうが顔を出している。みかんとぐみの苗を植えた。桜と梅の根本に肥料をやる。
で、車はお休み。


3月26日から29日まで社員旅行でグアムへ。また車はお休みだ。
ホテルのプールに遊びに来ていた、中学生とおぼしきグループに写真を撮らせてくれとあやしい英語で聞き、通じた。うれしかった。でも一番かわいい子は写ってくれなかった。ほんとにかわいかったなー。
もう一押しすれば、とらせてくれたかもしれない。真剣に英語を勉強しよう。
ところで、この場合 May I take your photo?でよかったのでしょうか。誰か教えて。


3月31日
1ヶ月ほど前、我が社にとんでもない女子社員が入社してきた。駐車場に止めてある、彼女の愛車はランサーのエボ3。しかも、ぼろぼろである。中を見るとフルバケットシートにロールバーが張り巡らされ、リアシートには工具一式とスペアタイヤが。誰が見たって女性の車だとは思うまい。車体にはスポンサーのステッカーが大量に張ってある。試しに揺さぶってみたが、サスペンションが全然沈まない。まるで戦闘機だ。話を聞いてまたびっくり。本物の戦闘機だった。
ダートラの女子中部チャンピオンだって。嘘だろ、こんな華奢な子が。
なぜここでこんな話をしたかというと、彼女ののせいで、またやってしまいそうだからである。
MR2が・・・もう一台。
彼女もご多分に漏れず、金持ちではない。それでも車は消耗してゆく。で、お世話になるのが解体屋。
そこに入荷したというのだ、MR2が。しかもスーパーチャージャー付き。
もう私に選択の余地はない。庭に置く場所を確保しなくちゃ。
古来のことわざはとっても正しい。馬鹿は死ななきゃ、もとい、死んでも直らない。
もうだれも私を止められない。そう、私自身でも。


3月7日 
とうとうやってきてしまった。新顔が。紺のMR2スーパーチャージャーだ。色が違うから部品取りにならないじゃん。
約100km離れた岐阜県瑞浪市から、3時間かけて運ばれてきた。ありがたや、ありがたや。
キャリアカーから降ろすとき下から見上げると、マフラーがない。
「つけてる暇なかったんでこのままおろします。」
エンジンをかけると爆音がとどろく。しかも間の悪いことにとなりが帰ってきたのである。
「いやー、にぎやかな車だねー」といやみをいわれてしまった。しばらく近所のひとに顔向けできなかった。
エンジンは一発でかかるのだが力がなく、駐車場の急斜面をあがれない。原因は何のことはない。スーパーチャージャーのベルトがが切れていたのだ。チャージなしじゃ、圧縮のない、ひ弱なエンジンである。
なんとか置き場所に収まったところで、じっくり観察する。恐ろしく程度がいい。
マフラーはトランクに入っていたが、このスーパーチャージャー付きはエアクリーナーがトランクにあり、そのままじゃマフラーがはいらないので、クリーナーがはずしてあった。部品はそろっている。
持ってきてくれたお兄ちゃんがAE86にエンジンを使うつもりで買ったけど、あきらめたといっていた。
あきらめた理由はすぐにわかった。
エンジンフードを開ける。
このエンジンがほしかったのだ。今の車に載せかえて・・・・・。しばらく眺めて、挫折した。
2台の車を見比べると、おなじMR2同士ですら、すんなり載せ換えられるような単純な違いじゃないことがわかったのである。
エンジンフードがFRPなのは知っていたし、インタークーラーがあるのは知っていた。だがそんなものは序の口だった。
エンジンルームがまるで違うのである。全体的に、がっちり作られている。燃料の配管が反対側だ。バッテリーの搭載位置も違うし、ブラケット類はまったく別物。無理して載せようとするとあちこち溶接が必要だ。補強もいる。
足周りも一回り頑丈そうなものがついている。リアにスタビライザーがあるし、ブレーキローターがでかい。ブレーキブースターはタンデムだ。フロントにはストラットバーが標準装備されている。外観は同じだが、中身は別物じゃないか、こりゃ。
で、書類もあることだし、今のMR2の車検切れにあわせて、登録し、車両を入れ替えることにした。
それまでにやることがいっぱいある。
まず、マフラーだがステーが1個欠品していた。どうりで、つけることができなかったはずだ。
エンジンヘッドカバーからのオイル漏れ。これはエンジンのオーバーホールになるかも。
スーパーチャージャーのオーバーホールとベルト交換。
タイミングベルト交換。(11万km走っているため)
足周りのブッシュ交換。(これは今の車からTRD製を流用する)
車体の補強。スポットを増加する。
ブレーキオーバーホール。
etc、etc
ここから先はスーパーチャージャーのページへ。(まだできてません。あしからず。)


平成10年4月20日月曜日
4月13日にぎっくり腰に。1週間会社を休む羽目になり、車どころじゃなくなった。もっとも、寝込んだのは2日間だけで、あとの日は電話で呼び出され会社にいた。いい加減、一人立ちしろよな、みんな。
で、20日である。ブレーキパッドがなくなっていたので、交換することにした。腰の痛みはとりあえず忘れよう。
もちろんAW11の部品がすぐはいるわけがないので、豊田市中の店を訪ねて回った。
私が知ってる限り一番古いカー用品店にそれはあった。私が小学校の頃からある天竜という店である。(もっと昔からあったかもしれない。)ただし、1台分あるにはあったのだが、前後の種類はそろわなかった。フロントがレーシング、リアがノーマルだ。
MR2はフロントが軽いため前輪がすぐロックするので、フロントのパッドをノーマル、リアをレーシングにしたかった。しかし、すぐにでもほしかったのでとりあえずこの組み合わせでいくことにした。
とりあえず昼間は仕事をして、6時から交換にかかる。
4輪とも残り4mmぐらいあるが、峠で10回ぐらいフルブレーキングすると、ペダルが床までつく。パッドが厚い方が当然熱を伝えにくいから4輪とも交換する。4輪でおよそ1時間半の作業だった。
交換で特に苦労はなかった。会社の車のパッドは全部私が換えているから慣れたもんだ。
ただ後輪のディスクというものが全く初めてだったのでとまどった。パーキングブレーキを兼用しているため、新品の厚いパッドを入れるにはシリンダーを回しながら押し戻す必要があるのだ。オートメカニック誌で勉強しといてよかった。
店に頼むと1台分6千円の作業だ。6千円でなにを買おうか。(こんな考え方してるから貧乏なんだろうね)
走り出して効きが変わったのを実感。踏んだ分減速できるのだ。やってよかったあ。
ただし、前輪がますますロックしやすくなったのにはまいった。考えながらブレーキングしなくちゃいけない。


4月25日
パワーウィンドーのモーター交換を頼んだ。愛知トヨタに朝入れて、夕方電話がかかってきた。外はすでに暗い。
「あのー、修理終わったんですが、この車どうやったらライトつくんでしょうか。」
耳を疑った。そりゃ、愛知トヨタはMR2を扱ってないけど、それぐらいわからんのか?。
「メーターパネルの横のスィッチを・・・・。」説明は途中でさえぎられた。
「それはわかります。あのー、ヘッドライトはでるんですけど、つかないんですよ。ライトが・・・・。」
また、故障である・・・・とほほ。あちこち、がたが出始めたようだ。結局、その日は、会社のバンで帰る羽目になった。
どうやら、スィッチがだめらしい。応急処置だけしてもらい、翌日納車してもらった。パワーウィンドーモーター10000円、工賃10000円の計20000円である。ついでにスィッチも頼んだ。これからも、ブラックホールのように金を飲み込んでゆくのだろうか。この車は・・・・。


会社の帰り、上り坂で三菱GTOにぶっちぎられた。・・・・・・・・・・くやしかった。
スーパーチャージャーの復活を急がなくては。(・・・ばかまるだし)

(つづく)

ここまでかかった費用

車両本体 19万円+経費、保険料で合計28万円
クラッチ一式 エンジンマウント1台分 5万円
ラジエター液交換 5000円 MR2はラジエターとエンジンが離れているため、エア抜きが必要。
純正エアクリーナー 1980円
バキュームホース(シリコン)3m 1600円
ワイパーゴム 480円x2
シフトノブ (本皮 球形 2000円) ノーマルのガングリップはなじめないのだ。
GAB ジムカーナ用ストラット 1台分 1万円
TRD 強化ブッシュ 1台分 5万円
ガレージジャッキ 2980円
リジットラック 1970円(2個入り) 2セット
フジミ MR2スーパーチャージャーのプラモデル3個(あちこち、さがしまくった。古い車だから、見つける度に買っている。できればNAエンジンを出して欲しかった。)
 1000円X3個
つい魔が差してスタンドでオイル交換。4500円。高いー。
ブレーキパッド 日立 21000円(1台分。F13000円 R8000円)
MR2スーパーチャージャー(本物) 8万円
パワーウィンドー修理20000円
TRDプラグコード 11500円 アイドリングが安定した。4気筒なのに6本入り。1本はスーパーチャージャー用だ。

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