1998年4月上旬


<4月1日・水>
◇ エイプリルフールらしいが、コレといったネタもなく、過ぎていく。


<4月2日・木>
◇ 特筆すべきことはないような……。


<4月3日・金>
◇ 仕事、仕事の1日。予想通り翌日(4日)昼前までかかる。でもとりあえず終了して一安心。


<4月4日・土>
◇ 徹夜明けだが30分ほど仮眠した後、中野ブロードウエィへ出かけた。いろいろ迷ったけれど「寄生獣」と「はっぱ64」を全巻買う。実は、オレ「寄生獣」ちゃんと読んでいないんです……(反省モード)。これから読みます。はい。

◇ ちょっとした事情で、今さら「エヴァ」を見ることに。「命の選択を」から「心のかたち 人のかたち」までを見る。やっぱりおもしろいね、とサクっとした感想を書いておく。一緒に見てた知人に一言、見るチャンスがありながら挫折しておいて、いまさらエヴァおもしろい、とかいうなよ(失笑・涙)。


<4月5日・日>
◇ 寝起きに、昨晩ビデオで録画した「ジェリー・イン・ザ・メリィゴーラウンド」(原作・安野モヨコ)を見る。想像以上に出来はよかった。キャストはモデル陣が中心らしいが、演技はそれなりに見れる(らぬき表現)。シナリオは映画「LIE lie LIE」で注目を浴び、なおかつ安野モヨコファンとしても有名?な伊丹あき氏。原作の細かなセリフやギャグを丁寧に、しかし上手にアレンジして、拾ってあるのはやはりファンならではのこだわりか。演出も、カメラを振り回さないものの、ハンディのラフな感じがあって好印象。ただ、ちょっとアイポジションより高めにカメラがあることが多いことは、個人的に気になる。
 欠点は、登場人物がどうでもいいこと(主に本人的な妄想)を延々としゃべるシーンで、別の登場人物がそれをちゃんと聞いてしまっていること。ああいうシーンでは、相手のキャラクターは別のアクションをしていて、それにセリフを重ねるからこそ、ギャアギャアしゃべってるというおかしさがにじみ出てくると思うのだが。ともかく今後に期待。

◇ 午後になって花見がてら池袋まで散歩。山手線沿いには、結構桜並木があって盛りをやや過ぎ始めたサクラの下をぶらぶら。先日、「てくてくエンジェルくん」の取り付け部分を折ってしまったため、今人気の商品がボクの腰元にないことが寂しい。池袋では、ジュンク堂、リブロ、芳林堂コミックショップをハシゴするお決まりのコース。

◇ 個人的に購入した本。「現代エロ漫画」「嫌われ者の記」(どちらも著者は塩山芳明)、森山塔&塔山森の作品6冊。もともとボクは美少女系を積極的に読んでおらず、昨年来この業界についてちょっとした興味が湧いている今、基本(いまさら、ともいえるが)的書物をとりあえずあさってみたのだった。それ以外には「Shotaro World」から「怪人同盟」と「ドッグワールド」。とりあえず、このシリーズを全部買うのは大変なのでSF系だけ買うことにする。

◇ 話題の「三島由紀夫 剣と寒紅」(福島次郎、文藝春秋 1429円)を読了。とりあえず軟派な感想をいうと、やおい系の人は是非読むべきでしょう。高校教師を勤めていた筆者が同僚や生徒とデキでるんですから。しかもノンフィクション。妄想回路を持っている人なら、それだけで鼻血ブーものの(ウソ)本でしょう。
 マジメにいうと、筆者にとって、これは三島への「レクイエム」だったのだと思う。アンビバレントな感情(を抱いていた相手を自分の中で殺す(そう、これは筆者にとって三島ゴロシの本なのだ)のに三島の死から今までの時間がかかるかと思うと、それはそれで涙が出る。誰だって、愛情故に殺さねば先に進めない人というのがいるはずだから。
 裁判所の回収命令が出ているのに、書店に今でもならんでいるというのは、文藝春秋が本気で回収するつもりがないからか? 


<4月6日・月>
◇ 「時空転抄 ナスカ」がやたらと丁寧な演出でビックリ。ときたひろこ監督ってたしかYAWARAの監督だったはずだが、人物の配置や芝居の付け方がリアルで、感心する。この演出のレベルなら、へんな別世界を舞台にするより、このまま現実を舞台にしてほしいぞ。それからビジュアル面での協力が、おおのやすゆき氏! 精霊伝説ヒューディーはどおしたんだあ!! と、叫んでおく。ああ、イズミコのアニメを見たいかも。

◇ 「ナスカ」の前は「七瀬ふたたび」というか、「「七瀬ふたたび」みたび」(だよねえ、少年ドラマシリーズ、月曜ドラマランドに次いで)という感じですね。それから、「ナスカ」の後のアテナは、主役の女のコの成長ぶりがカギか? このへんはどうでもいいけどね。


<4月7日・火>
◇ 少し前に花粉症が治まったと思ったら、急に熟睡できるようになった。それまでは毎日が眠くてけっこう大変だったのだが、今は気分爽快である。

○ なんだかんだで仕事で徹夜である。      


<4月8日・水>
◇ 「ダンシングオールナイト」(いとうせいこう・押切伸一・桜井圭介、NTT出版 1900円)をつらつらと読む。気になったのは「もののけ姫」をめぐる第8章。鼎談は、同書のテーマである「グルーヴ」に引きつけて、作品をどう分析するかという方向で展開する。
 鼎談の冒頭で、簡単にテーマや世界観についても言及している部分は、その煮詰め方がやや粗雑な感じもするが、そう捉えられがちな要素(つまりスキ)が「もののけ姫」という作品自体にも十分あるので、そこはまあそういうことだと思う。(例・高級なRPG、アイヌの同化政策と何処が違うのかなどの部分)。ボクが問題にしたいのは、そこではない。
 この鼎談をアニメファンのボクが読んだときの座りの悪さは、例えば「桜井 虫プロ批判において、宮崎駿や高畑勲がいっているのは、ディズニーの24というコマ数を予算の都合で少なくしてそれを日本のアニメのスタンダードにしたのがいけないというものなんですね。でも手塚はコマ数を少なくしていかにグルーヴを出すか、ということをものすごく考えていた人なんですよ」という発言に象徴される。
 リミテッドアニメを普及させたこと、それだけを宮崎が問題にしているわけではないので、まずその点で事実誤認があるとはいえる。だがそれ以上に、手塚「アニメ」のどこにグルーヴがあるのか、という部分がすっぽり落ちている部分こそ、この鼎談の最大の欠点であろう。鼎談の中では、いわゆる手塚アニメのグルーヴの例は具体的に語られない(アラビアン・ナイトのタイトルは出てくるが)のままなのである。
 結論から言うと、彼らは手塚マンガのキャラクターが持っているグルーヴ感そのものを、手塚アニメのグルーヴ感と勘違いしているのである。鼎談を読んでいると、「手塚アニメ」といわれる作品をちゃんと見たことがないのではあるまいか、とすら思えてくる。
 そもそも「手塚アニメ」というのは非常に曖昧な括りであることは、アニメファンなら十分承知していることだ。厳密な意味で手塚アニメというのはあまり人口に膾炙していない作品の方が多いといっても過言ではあるまい。そして、それらの作品のどこにグルーヴがあったのだろうか。少なくとも、”もののけ姫の作中には速さが2種類しかないので生き生きと見えないのでは”という「視線」で見て、グルーヴと呼べるものはほとんどないはずだ。もし、あるとしたらそれは演出方法の差異でしかないはずだ。

 この勘違いをそのままに手塚アニメを、「もののけ姫」の対照として用意したのは、鼎談中に出てくる「もののけ姫」の分析の結論は別にしても、中途半端な知識を振りかざした言葉の遊びにしか思えないのである。 
 他山の石にしたい。    

○ 眠る前に、「醜聞聖書」(藤木TDC、洋泉社 1400円)を読了。これだけさまざまなケースが並ぶと、マスコミが芸能人スキャンダルについて、どんなストーリーを求めているか一種の定型があることが見えてくる。なかなかの力作。


<4月9日・木>
◇ 夕方ふらりと出かけて「ダディ」(郷ひろみ、幻冬舎 1555円)を購入。そのまま夕飯のラーメン(&ビール中瓶2本)のお相手に読み始め、あっという間に読了。やたらとヒロミ・ゴーに厳しい二谷友里恵ことリーが登場しますが、いるよねこういう娘さん(ちょっと遠い目)。こういう娘さんの目をくすねて悪いことをするのは、さぞかし楽しかったことと思う。本自体は、計算された正直さが鼻につくのが最大の欠点か、その分ユーモアが盛り込んでる部分はある意味で感心もしたけれど。こっちも、どうせ書けないウラがあるんだろ、と思って読んでいるから、読書中のボルテージはあまり上がらなかった。でも、本当に初版50万部(by東スポ情報)なのか>幻冬舎

◇ 4時頃から、仕事がらみで長電話。話のはずみで、今年の手塚治虫文化賞が話題に。やはり、前年の流れから読むと、故・石ノ森章太郎が受賞して、チャンチャンということになるのだろうか。それはそれで寂しすぎる展開である。

○ カネがないのにいきなり平凡社の「世界大百科事典」をカード・ローンで購入。ううう、どんどん文無し星人になっていく。けれど、やはりあると便利ではある。



<4月10日・金>
◇ 今日はアニメ雑誌の日ということで、ドカドカと買い込む。これだけアニメ誌が増えた(電撃B−magazine含む)というのは、読者がそれだけいるということなのだろうが、果たして読者は何を基準にこの4冊を選んでいくのだろうか……。
 ボクは小6の時からアニメージュを買い始めた都合、ずっとAM派である。高校時代にはアニメックを併読もしていたし、これもスキだったのだが、NTを買ったのは、ちょっと思うところあってアニメ雑誌ウオッチングを始めた半年ほど前からである。NTについては、中学時代はもともと角川的な匂いが嫌いで買わなかったのだが、今思うと、結果AMに対する戦略性は優れていたと思う。ただ、ボクは未だに書き下ろしセル画で構成された誌面が苦手なので、戦略を頭では理解できるが、そういう雑誌をあまり手にとろうとは思わないのだった。今も、よほどの情報がないかぎりNTは捨てて、AMだけ残している。
 書き下ろしセル画の何がイヤかといえば、あれは作品そのものではない点につきる。アニメと映画の関係というのがボクの一つのテーマではあるのだが、つまりフィルムが全てであり、新たに書き下ろしたセル画というのはキャラクターグッズに使われている図版と一緒の次元でしか感じられないのである。それを見て、演出や作画を論じることは不可能である。そういう不満が一番あるので、今回のAMの金田特集のように、フィルムの絵が多いとやはりうれしいものである。(金田特集は原稿も絵に負けないぐらい熱いしね)。

○ とはいうものの今回のアニメ4誌を総覧して一番スゴイと思ったのは、やはりAMの覆面座談会。内容濃すぎ。「某局じゃあ(C)もらって放送するだけ。こっちは製作料もって、波料はらって」(ビデオプロデューサー)なんて発言はスゴク重たいものがある。こういう部分までフォローしてこそのアニメ誌と思うのは、俺ぐらいなものなのだろうか。まあ、自分が孤立していると思うほどうぬぼれてもいないが。どちらにしろ、ボクは今の深夜アニメを中心とする状況は、80年代の再来で、誰も懲りていなかった(現場ではなく出資する人たちが、だ)、ということになるのではないかと思っている。ボクはアニメ・ペシミストなので。

○ 新番組の「バイファム13」だが、フレッドの声優さんの声変わりをどうするつもりなのだろうか。ビデオ版で既に声変わりをしかけていて、「銀河鉄道の夜」では完全に大人の声になっていたのに。

◇ 「噂の真相」の1行情報。「東京新聞社会部で若手記者が将来への展望を持てず次々と退社の情報」。ふーん。


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