1998年2月中旬


<2月11日・水>
◇ 徹夜のまま新宿に出かけて、「りんぐ」「らせん」を見る。午前10時半の開場前にはそれなりの列が出来てきており(テケツ嬢が発券機をつかっていないのも一因か?)、客層は当然ながら10代から20代の男女といったところ。見た感じで8割ぐらい入っているので、かなり盛況といっていいだろう。
「リング」は絶品。コワイと人から聞いてはいったのだが、それでもちゃんと怖かったというまれにみる傑作。中田秀夫監督恐るべし。「らせん」は絵にしにくい物語を相手に善戦(苦戦?)。「がんばりました」という感じかな。映画全体を象徴するようなビジュアルイメージに欠けるのが、最大の欠点だな。 とりあえず、みんな見るように。この映画のプロデューサーらが日本映画をかえていくことも期待したいのだが。

◇ キャストでは、真田広之がやはり圧倒的に上手かった。松嶋奈々子はヘタ。とりあえず、作品をぶちこわしにするようなことはなかったけれど。原作者・鈴木光司氏が幸せな父親役でカメオ出演しているのはご愛敬。

◇ この映画で「ループ」へとどのようにつながるかというと、結構微妙かもしれない。映画をみたあと、誰かに「ループ」のネタバレをしたくてしょうがないのだが、さすがにそれは死刑に値する罪なので我慢する。(「11人いる!」の11人目を教えるよりも、1000倍ぐらい罪が重いだろう)

◇ 「OUT」(桐野夏生、講談社 2000円)読了。うわさにたがわず面白かった。ちょっと主人公が理性的すぎる(自分のことを正確に把握しすぎているかな)と、思わないでもないが、それはちょっと保留。天下国家を論じなくても、面白いものは面白いという部分が、なぜアニメにはないのだろうか、とちょっと横筋にそれる。


<2月12日・木>
◇ めずらしく早く帰宅して、ワンダフル(笑い)を見る。放送開始当初から思っていたのだが、東幹久がこんなにMCが達者だったとは。それに、原千晶(ATOKは一発で変換した)も相変わらずバカっぽくていい味だしてるし。まあ、狙いは「マサルさん」だから、この2人はどうでもいいんですけど。「マサルさん」は、テンポよくていい感じ。これが30分アニメだったら、こうはならなかったかな。番組中番組だからあのテンポで押せるのだろう。大地丙太郎監督だから、というのもいえるだろうけど。ラストの町門の美人を紹介するコーナーでは、シカ助手のムスメが「歯を大切にしましょう」とのコメント。俺、歯を大切にしてないなあ。

◇ コミックジャンキーズで、加野瀬未友氏が仕事をしていた。それとは関係ないが、先日の仕事の反響がぼちぼちと耳に入ってくる。まあ、一安心か。

◇ 安彦氏がまた新連載。すごいなあ。歴史物の人になってしまったなあ。


<2月13日・金>
◇ 上井草方面に仕事。めずらしく朝早く起きれたのは緊張のためか。ボクより10歳ほど年上の人と一緒の仕事だったが、まあまあの成果ではなかっただろうか。まあ、今日が刈り取りだとすると、脱穀とかそういう作業はまだ残っているので、これからが大変なのだが。しかし、モノ作りというのは鬱になるぐらい大変なのだなあと、いろいろ噛みしめる1日でした。

○ 会社にもどって仕事をするも、今週は奇跡的(?)に仕事が少なくて、さっさと帰宅(といっても午前1時だが)と思いつつも、会社の先輩と新宿へ繰り出す。2軒回っただけで、何故か午前6時半! 店の外に出てきたら空が白んでいるのだった。当然、タクシーで帰宅したのだが、熟睡してしまい、寝ぼけたまま運転手さんにウソの道案内をしてしまう。で、とげ抜き地蔵のあたりをグルグルと回る羽目に。金額にして1000円弱のロスか?

△ ウワサによると、講談社の「ami」の休刊が決まったそうだ。看板だったと想定されるCLAMP「クローバー」とかがどれぐらい人気があったか知らないけれど、まあ、新路線(ややマニア向け開拓路線)も失敗だったということでしょうか。なかなか、難しいモノですなあ。安野モヨコのSFも未完に終わるわけだ。オレ個人としては、トータルの物語は知らないが、あの「エンジェリックハウス」の主役2人は、渚カヲルと碇シンジを思わせてけっこうスキだったのだが。


<2月14日・土>
◇ というわけで、めずらしくやや二日酔いで午後になってから目が覚める。「レディ・ジョーカー 上」や雑誌「創」を読みつつ、2度寝を楽しむ。やっぱり、新聞は毎日新聞ですかねえ。個人的には「余録」と「視聴室」(だったかな、テレビ番組のレビュー)のファンではあるが。そのテレビ番組のレビュー欄で、えらいバランス感覚有るレビューを書く人がいて、注目ではある。「創」は、矢崎泰久氏の伊丹十三の記事が、彼の素顔を浮き彫りにしていてなかなか迫力があった。
 金曜日にたまたま会った方がやはり、一時期鬱症状で、家からあまり出歩けないとかそんな状況だったそうで、伊丹監督の話を聞くと、他人事とは思えないというお返事。やはり事務的な、ささいなトラブルでも、そういうときには死への引き金になるようなのである。その人曰く、写真誌の彼女とヤっているようなら自殺はしないでしょう。それは正論だと思う。
 
□ レビューというものについて考える。レビューは、その作品を読んでいないひとに向けて描かれたものでなくてはいけない。どういう見方をすれば楽しめるか、という方法論を示してなくてはいけない。露骨なネタバレをしてはいけない。ほめるべき点がありきたりな場合は、文章のテクニックが必要である。自分の好きな作品だけ語るのはダメである。こんなところだろうか。なかなか難しいものである。

◇ 新宿のオペラシティの下で晩飯とワイン。PG×2。帰宅。

○ 帰宅してトンデモ系?ビデオ「宇宙人 ザ・コンタクト」をイキオイ見る。なんつうか、ドキュメンタリーなんでしょうか?(明らかにそうではない場面も多いのだが・笑い・) 自称?宇宙人であるムスメ(ピンクのカツラ着用)が出てきて、地球に住む宇宙人と会談して酒とか異性関係について語り合ったり、悪の宇宙人と相撲をとったりするというスバラシイ内容です。一応最後に、フィクションですという断り書きが出てくるところがちょっと興ざめだが、なかなか味わいぶかい作品?であることには間違いない。主役のムスメが結構キャラ立ってたからかなあ。一応、ハダカのシーンなんかもあるのだけれど、それも本当に申し訳程度といった内容。ボクは笑いながら見ましたけれど、責任はもてないので、当然ながらツマラナイ作品にマジで怒る人は見ないように。人生心の余裕が大切ヨ。

△ その後に、LDでセラムンR(劇場版)を見る。いやー、やっぱりオレはこういう話に弱いのかも知れない。何度目かなのについつい感動してしまう。ついでに、このページにアップしてある感想で一部訂正したいことも出てきたりするが、まあ一度書いてしまった文章なんでどうでもいいか、と思い直しそのままにすることに決定。映画館でアルバイト経験のある知人によると、やはりこの映画公開当時一番売れていたのは、水野亜美グッズだそうで、一番人気がなかったのは火野レイだったそうだ。火野レイの最下位は、ちょっと以外ではある。


<2月15日・日>
◇ 昼前に目が覚めて、冬季五輪ダイジェストをつけて、BGMはブラームス「合唱曲集」とフォーレ「レイクエム」。本命の「レディ・ジョーカー 上」を読み進める。この小説に、極めて還元主義的なイメージを持つのはオレだけだろうか。シビアな題材を使いながら、飽きさせずに読ませるテクニックというのはさすがなもので、いわれているほどにダメだとは思わないのだが、「マークスの山」「照柿」とはまた別の戦略で描かれた小説で、その戦略の還元主義的な部分が微妙に引っかかる。「上」を読み終えた段階でいうなら、あとはラスト次第なのである。広げた風呂敷をいかに畳んでみせるか。きっと驚天動地の畳み方が待っているに違いない。さっそく下巻を買ってこようと心に誓うのだった。しかし、東邦新聞が特オチしているシーンというのを読んでいると、なんつーか、今でも胃がキューっとなりますねえ。どうです?>昔の自分。

○ 夜は映画「ライアー ライアー」と「少女革命ウテナ」のビデオ1、2巻。「ライアー〜」はうっかり日本語版を借りてくるという失態だったが、山寺宏一氏が吹き替えで結構楽しめた。まあ、原語にあった細かなネタはみんな落ちているんだろうけれど、それでも奇声を発するところなんてのはやはり上手かった。それにしてもジム・キャリーは、生身の人間のクセに表情や動きがカトゥーンそのもので、リアリティの次元が低いんだよなあ。
 ウテナでは、桐生冬芽に見ほれる。特典映像が盛りだくさんだったけれど、まさか例の歌のカラオケまで入っているとは。なんでも、「ガーゼイの翼」のビデオ特典映像(富野監督の演出講座)は、その名の通りビデオにしか収録されておらず、LDには全く収録されていなかったそうだが、こちらの映像はどうだったのだろうか。正常に考えたら、マニアは基本的にLD(かDVD)を買うわけだから、特典映像はそちらにこそ収録していないと、困る人が多いのではないだろうか? もっとも、全部欲しくなればビデオも買うというマニアの習性を利用した作戦だとしたら、成功している……のか?

△ ラブ&ポップの感想をアップ。次は、「リング」(主題は顔の不在について)か、「タイタニック」と「瀬戸内ムーンライトセレナーデ」の会わせ技(モラトリアムとしての船)の予定。っていつ書くんだいったい。


<2月16日・月>
◇ なんだか結構疲れてるみたい。予想外に夕方からダルくなる。そんなんで終電があるウチに帰宅。でも、巣鴨駅前のネオンに捕まってちょっと寄り道。ここんとこカロリーの半分はアルコールで摂取している状況で、歩けども歩けども(電子万歩計付き育成ゲーム「てくてくエンジェル」によると1日6000歩ぐらいは歩いてようであるが)いっこうに細くなる気配を見せない腹を見て、じっと考える。考えても腹が減っているのは変わりなく、しかも、先日の仕事に関して比較的ネガティブな反応を見てしまったりしたのだから、気の小さい俺様としては「なにがなんでも飲まねばならぬ」という感じで、ビールを少々。ツマミは野菜類をメーンに選びながら「『Shall we ダンス?』アメリカを行く」(周防正行 太田出版、1800円)を半分ほどまで読み進める。

□ 同書を読みながら、何度かニヤリと笑い、何度かは映画に対する愛情に涙がこぼれそうになった。そして、じゃあ自分は自分が関与した様々なこと(特に先日の仕事なんか)について彼ほど愛情を抱いているかとさえ反省してしまった。さまざまな関係者(取材記者や宣伝関係者)が登場するが、彼らを描写する筆が、映画の登場人物に対してと同じように愛情に満ちた観察眼であることに感心する。伊丹十三を私淑している周防監督だが、そういう部分は伊丹監督には欠けていたように思う。これは、昨年末から持ち越しの伊丹十三自殺への感想の核となるはずであるが、あれは典型的なインテリの自殺であったと今は思っている。そして、伊丹監督がハリウッド調の日本映画を志したことそのものが、彼がイン映画はテリである証明だからやっかいだと思う。日本で、いわゆるインテリと呼ばれる人は、ああいう撮映画を影しないモノというルールは今も生きているみたいだから。あるいは、伊丹自身が進歩派こそをインテリと錯覚していたからこそ後期のような映画になったのか? ちなみに、個人的伊丹映画ベストは、お葬式、マルサの女2、マルサの女の3つかな。それにタンポポと、静かな生活 が○といったところである。タンポポの欠点は、本筋がツマラナイこと(デティールが面白すぎる)、静かな生活の欠点は絵解き以上のモノがなかったこと、でしょう。

○ フジ「アジアバグース」で、日本人が登場していきなりトラディショナルである秋田音頭を熱唱。チャンピオンにチャレンジして勝利。これはレコード会社の仕掛けか? 彼女の歌唱は優れていたと思うが、なぜこの番組に登場したかは大きな謎だ。


<2月17日・火>
◇ 疲れているためか、無限に眠りそうである。そんな誘惑を退けず、惰眠をむさぼった後、サクっと出社。途中で、「レディ・ジョーカー 下」(高村薫、毎日新聞社 1600円)を購入。年末以来ご無沙汰だったMDで川本真琴を聞きながら、センチメンタルな気分で会社のフロアに到着。今日はコレといった大hしごとはなく、先週以来ちょっぴり余裕のある日である。

○ でもって終電で帰宅。ところが、まっすかえればいいのに、やはり居酒屋に寄ってしまう。ここ2週間ぐらいは完全にこのペースにはまっており、そろそろ禁酒モードに入ろうかなあとちらと反省もするのだが、ちょいと一杯のつもりで、しっかり日本酒まで飲んでしまい、一応これで当分居酒屋通いは辞めようという誓いの証として、最後は雑炊で締める。これじゃあ「てくてくエンジエル」で、運動するように気を付けているふりをしても、無駄無駄。

△ 深夜の居酒屋は基本的に読書タイムである。レディジョーカーは、かなりのところまで読み進めることができた。うーん、気になるがもう寝なければ……。


<2月18日・水>
◇ 仕事で幕張メッセまで出向く。「マックワールドエキスポ」を覗きに行ったのだ。ボクは98ユーザーなんで、基本的にリンゴマークとは全く無縁なので、思い入れも全くない。気になるのは、フォレスト・ガンプがアップルに投資していたこと。昨今のあの投資はどうなったのだろうか? 一緒に開場を回った人によると、そんな心配をするぐらい年々規模が小さくなっていているそうである。アスキーやインプレスのブースの周辺をさははははーと動き回る。しかし、さすがパソコン関係のイベントだけあって、道行く人がみんなデジカメを持っている(大げさ)というのは、あたりまえだが新鮮な驚きがあった。オレなんて、デジカメ買ったけど使ってないもんね。相変わらずこのページもテキストばっかりだし←自慢じゃないって。

○ 「マックワールドエキスポ」の隣では、「アミューズメント・エキスポ」が開催中。こちらは仕事とは関係ないのだが、ちょっと覗いてみる。カプコンのブースには、おなじみのキャラクターたちのコスプレをしたモデル(?)たちが勢揃い。でも、あの細いおみ足ではあまり格闘家というリアリティーは感じられないなあ、などと思いつつ、まあそういう問題じゃないだろうと、もう一度考え直してみたりして、隣のブースに目を転じると、こちらはタイトー。ミニスカポリスの車掌バージョンともいえる恥ずかしい恰好をした若いおねいさんたちが立っている。仕事とはいえ、この恰好を見たときに、彼女らもきっと笑ったであろうなどと想像し、心中深く同情する。そのあとは、セガで「オラトリオタングラム」をちょろっと覗いて、一路東京へと戻る。(本日は”裏”日本工業新聞と思いっきりネタが被っているようです。うーむ。ちょっと予想された事態では会ったのだが……)

△ 東京までの帰路はひたすら「レディ・ジョーカー 下」を読み進める。そして、あと10ページというところで会社のある浜松町に到着。あああ、いいところで会社についちまったじゃないか! と思いつつも仕事をすすめ、手が空いたときにサっと読了。うーん、なんといいましょうか。還元主義的とでもいうのか、リアルなデティールを積み重ねていけば全体がリアルになるという感じがちょっと強すぎた、というのが正直な印象。新聞記者の根来、久保が合田、城山ほどキャラが立っていないのも、ちょっと物足りない感じはある。でも、これだけの筆力、テーマというのとがっぷり四つに組めるというのはたいしたものだと感心する。そういう意味では十分楽しめる傑作のうちでしょう。ラストシーンは鮮やかの一言。

○ 続けて仕事の待ち時間に「音の後進国日本 純正律のすすめ」(玉木宏樹、文化創出社 1500円)を斜め読み。何章かにわかれて雑文をまとめた本なのだが、一番筆者が指摘したいことは、平均律を基準にした音楽教育とそれから発生する音楽的常識の誤り、ということらしい。そこで、純正律が出てくるわけだが、それを「ミネラル・ミュージック」というのはなんだかダサイぞ。 JASRACの騒動についても辛口の意見が収録されていた。さらに「映画秘宝 ベストテンなんかぶっとばせ!!」を斜め読みしする。つづいて、「絶対音感」を読む予定。

◇ さて、仕事の合間に日記を書いているのだが、すでに午前6時を回った。あああシンド。


<2月19日・木>
◇ 午後5時から渋谷で仕事をして、直行直帰。たまにはこういう日がないと、やっぱりカラダが消耗してしまうよなあ。カラダの消耗は軽いアルコールで補充し、ココロの消耗は読書とアニメということなので、帰り道の途中でポケモンのビデオを借りてきて見る。うん、ピカチュウ可愛すぎ。これはピカチュウに人気が出るわけだ。主題歌も直球勝負でいい感じ。1話は湯山・首藤のミンキーモモ・コンビによるすごくオーソドックスな作りで、自分を小学生モードにチューニングしてみると、ついつい燃えてしまう。まあ大人モードでみると、マンガちっくにルーズな演出はちょっと気になるんだけど、それ以上に各ポケモンキャラの立ち具合がココロを燃えさせる。特に、ロケット団のニャース気球はイイ。
 あれ、アニメ監修が小田部羊一氏だ。小田部氏はかなり早い時期にゲーム業界に転身したはずだが、どこの会社だったかまでは覚えていないなあ。その会社の関係なのかしらん。まさかアニメ業界に戻ってきたっていうのは……ちょっとかんがえにくいかなあ。

○ 昨日から読み始めた「絶対音感」(最相葉月、小学館)を読み進める。面白い情報はたくさん乗っていて興味深いのだけれど、グルーヴ感がない。現場がないタイプのノンフィクションだからなのか、迫ってくるものがちょっと弱いような気がする。普通のノンフィクションのスタイルでやるより、科学ドキュメンタリーみたいなスタイルのほうが良かった気もするが、辛口な表現ばっかりになってしまったが、一読の価値があるユニークな本ではある。  


<2月20日・金>
◇ 待っても待っても、取引先から全く連絡がこない。こっちから努力して連絡をとろうとすると何とか連絡はとれるけれど、一度も向こうから連絡が来ないというのは、かなりいらいらするものである。待てどくらせど来ぬ人を、宵待草の……、といった感じで宵を待つどころか、朝が開けてしまう。やれやれ。それでも予定より早く進行した仕事もあって、まあ、それはそれでよしとするか。

○ 内紛劇のあった松竹本社におもむく。入り口には「社内でのテレビ撮影お断り」という張り紙が貼られているあたり、あの衝撃の大きさが伝わってきておおいに笑える。「いつまでも大船調でもあるまい」と、トミノセリフになるのもむべなるかな。文春は上手い具合に奥山和由のインタビューをとったなあ……、と思いつつ、今回の訪問はそんなお家騒動とはぜんぜん関係ないのであった。本題はタランイティ−ノの「ジャッキー・ブラウン」の試写会なのである。面白い。3作目というところで、今までの映画小僧風の演出よりずっと”大人っぽい”演出で、それはそれで感心してしまった。逆に言えば、これまでの演出力はフロックではないことがよくわかる1本。主役のパム・グリアーは言うに及ばず、なんとなくいい人みたいなイメージが強かったサミュエル・L・ジャクソンがイヤなヤツを好演。デ・ニーロもただのオヤジでよろしい。


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