1997年9月上旬

<9月1日>
 ◇ 昨日は一杯飲んで帰宅したら、墜落睡眠で気がつけば出勤時間。そういえばPG。そそくさと出かける。仕事は仕事でそそくさと終わり、誘われて飲みにでかける。

 □ 某所で、なんつーか、戦争責任についての議論に巻き込まれて萎え萎え。要は、戦争を体験していない世代に責任はあるかどうかっつー、千古万来の話題。こんなめんどくさい話(だって、生半可な知識では論じれない<らぬき表現>でしょ)やるつもりはなかったのだが、なりゆき上発言してしまった。やれやれ。僕の基本姿勢は、少なくともあの戦争について僕は「知っている」とは言えないので、「責任がある」と責任を持って言えない、ということである。ただ、この趣旨がなかなか通じなくて苦労した。
 あの戦争について語るというのは、もの凄く難しい問題だし、体験していない人間が、それについて態度を決めるのはさらに難しいということを最近痛感している。好き嫌いに毛が生えたような議論だったら簡単なんだけど、そんなのは、生き方の問題であって、責任を情緒で回収しているだけのような気がするのだ。<まあ、それはそれで人が勝手にやるぶんには構わないのだけれど。

 ○ 歴史を知ることの難しさ、を痛感したのは、昨日購入した板倉聖宣氏の「近現代の学び方」を読んでいたせいもある。ここでは、「事実」をどのように捉えるかという視点から、善玉/悪玉的発想から逃れることが脱却するべきだ、ということが力説されている。「政治的な行動をせざるを得ない時は、一時的にある判断に基づいて、二つの勢力のどちらかに加担しなければいけない場合もあるが、それを「無限定」な正義と理解してしまってはいけない」(大意)というスタンスは理性的で、現実的なもので僕は大きく共感する。こういう本がもっと読まれるといいのにと痛切に思う。

 △ 帰宅したのは、日が昇るころ。酔ったし、結構疲れた。 

<9月2日>
 ◇ 結構酒が残っているかもしれないが、とりあえず起床して日記の更新なぞを済ませて、出勤。途中の書店で「EYE-COM」を購入。つらつらと読むと、「仰天新聞」というページの記者に、こんな方の名前が。芸風から推察するにトップ記事を書かれたのであろうか、日記を拝見するところ「タニマニア」だそうだから間違いないだろう(最近はエコエコロジストとも名乗ってらっしゃるようだが……)。都市伝説ぽくって笑わせてもらいました。そういえば、同社から出ている週刊誌はアウトだそうだ。(べつに青磁ビブロスとは関係ない)。

 □ テレビニュースを小耳に挟む。サッカー日本代表が、ジュビロ磐田に0−1で負けたとか。大笑いすべきか、眉間にしわを寄せて苦悩すべきか、1秒ほど迷ったけれど、結局「大笑い」することに決定。試合の詳細は分からないので、なんとも言いようがないが、しょっぱい展開だなあ。
 そうそう、静岡オタク県データ追加。鶴田謙二のスピリットオブワンダー「広くすてきな宇宙じゃないか」では浜松市が登場。遠鉄、御給、遠州浜小学校なんてローカルなタームが炸裂している。同様な設定の「潮風よ縁があったらまた会おう」では、静岡市が登場するも、具体的な地名は特に発見できず。ただ、静岡大学病院(?!静大には医学部はない・為念)がでてきて、そこの関係者(医師)が出演している。
 そういえば、この設定ってエヴァと似てる。水没し、常夏(厳密に言うと夏が長い)となった世界、だもんなあ。庵野監督は編集に鶴田謙二作品集の編集にタッチするぐらいだから、関連有りと見るべきかも。

 ○ 「ふるほん文庫やさん」に注文していた、「限界芸術」(鶴見俊輔、講談社 260円)が届く。半年ぐらい前から気になっていた本だけに、やっと届いてうれしかったりする。ちらとページをめくると、前の持ち主が引いたらしいアンダーラインがあって、本の持つ年輪を感じて感無量。ちなみにお値段は1280円と、絶版になっているだけに少々高め。                  

<9月3日>
 ◇ 週刊新潮。現代音楽の芥川賞の審査員を、東方の三賢人になぞらえた記事が載っていた。しかし、写真のキャプション部分になんの説明もなく賢人の名前(メルキオール、バルタザール、カスパー)、が書かれていたが、普通の人にはなんのことだか分からないのではないだろうか? やはりエヴァの風潮にのっかって書いちゃった、と見るべきなのだろうか。<そんな、大げさな話じゃないだろう。

 □ ここのところ、風邪でもないのにひたすら眠い。先週にけっこう睡眠時間が減っていたことの影響だろうか。ほっとけば無限に眠っていそうな勢いである。肩もなんだか凝ってるしなあ。こんな調子だから日記もあまり書かなかったりして……。ちょっと、日記に関しては弛緩モードかも。
 仕事はつつがなく進行しているが、9月は忙しくなりそうな予感に満ちている。 体力回復のために、にんにくとビールで燃料補給。

 ○ 板倉聖宣氏の「近現代の学び方」を読了した勢いで、同氏の「日本史再発見」を読み始めたら、これまた勢いですぐに読了。前半は、乗り物の変遷について、後半は江戸時代そのものを題材に、科学的視点で歴史を読み解いている。特に、江戸時代は1720年前後で大きく変質している、という答えを導き出すプロセスは説得力に満ちていた。
 そうそう、近現代の学び方では、自らの発言を「誤解を招くような形で引用している」ということで、藤岡信勝氏について批判を展開しています。しかし、藤岡氏を教育者という視点で批判するというのは珍しい意見だろう。」
 うーん、その板倉氏のほかの本も購入すべきかなあ。仮説社の本てあまり書店にないんだよなあ。

<9月4日>
 ◇ 今日もビールとニンニクで燃料補給。部屋の近くにある居酒屋の「ニンニクの五右衛門」にハマっている今日この頃です。これ、油の中にニンニクととき卵が入っている料理なんですが、時々無性にニンニクが食べたくなる僕としては、大歓迎の料理であります。ただ、ここの居酒屋は、一品の料理がちょっと多めなんで、一人で注文すにはちょっと難点があるかも。「ニンニクの五右衛門」は、一人分に手頃な量なんですが……。ちなみに、僕の好物であるカレーは、「時たま食べたくなる」一品ではなく、「常に食べたい」食品です。
 とにもかくにも、酔った勢いで熟睡するために日本酒も2杯ほどたしなむものの、意外に酔いがまわらなかった。そういえば、平日なのにPG。  

<9月5日>
 ◇ ここのところ弛緩モードに突入していて、日記の更新もトド小売り勝ち(<滞りがち、のタイプ&変換ミス)です。今日もあわてて過去3日分を書いてます。
 まあ、欠番つくってもいいんですが、生活の記録としてある程度残しておこうという気持があるもんですから、原則「毎日」書いているという体裁を維持していこうということになってます。

 □ 週末はちょっくら気楽な出張なぞするかも。大阪かあ。1年ぶりぐらいかな。前、関西に出かけたときは、安倍清明ゆかりの土地を尋ねるという超ミーハーな一人旅でした。諸般の事情で、この時購入した京都・清明神社のお守りは、チュニジアにいっているのだった。
 それと、国立民俗博物館にもいったなあ。民博は、ニューギニアのお面なんて定番の展示だけでなく、もろもろさまざまなものが並んでいて、その存在感に圧倒された。すばらしい博物館だった。
 ゆったり見て回って、昼にはやはりエスニック料理風のカレーを民博のレストランで食べたのでした。

<9月6日>
 ◇ 徹夜明けで帰宅。昼過ぎに宅配便が届く。なんじゃこりゃと思って、包みを開けると、おっと「ポケモン」の緑が、ゲームボーイポケット(シルバー)とともに入っている。どうやらこの世の中には、季節はずれのサンタさんがいるらしい。というわけで、寝足り無いなあと思いつつも、ポケモンを始める。手持ちぶさたなことが嫌いな僕にとっては、なかなか手軽に出来て、恰好の暇つぶしになりそうなゲームである。

 とりあえず、攻略本でも購入してと思って、八重洲ブックセンターへ出かける。当然、山手線の車中でもゲームをやり続けていたのだが、なんと、僕の隣に坐っていた幼女もゲームボーイポケット(赤)を持っていた! しかも、僕のポケモンが気になるらしく、ちらちらとこちらの手元を覗いてくる。ここで僕がケーブル持っていたら、とりもなおさず「おじょうさん、僕とポケモンで遊びませんか」と優しく声をかけるところであるが(ヲイヲイ)、残念ながらケーブルは持っていなかったために断念する。
 もっとも、解説読まずに30分プレイしただけのオジサンなんて、その幼女のポケモン歴(?)に比べれば、初心者過ぎちゃって話にならなかっただろうけれど……。

 □ そんなこんなで、八重洲ブックセンターでは攻略法以外の本を購入(橋本治の新作や大塚英次の本など)。そのまま、京葉線に乗る。目的地は「海浜幕張駅」……ではない。「舞浜駅」で下車するのだった。

 目的は東京ベイ・NKホールの「パンクラス」の試合。全くの格闘技素人だが、諸般の事情で試合を見ることになった。
 関節技へ持ち込むまでの、内部に巨大なダイナミズムを孕んだ静けさが非常に印象的だった。その時は観客も固唾をのんで沈黙している。そして、技の掛け合いになると、堰を切ったようにかけ声がかかるのだ。素人としては、寝技になるとすごいことが起きていることは分かるが、具体的なデティールがつかめないため、まるで何かの神事に立ち会っているような感覚すらあった。

 僕の前の席に坐っていた家族は、母親が鈴木みのる選手のファンらしく。さかんに声援を送っていた。声援を送るだけでなく、自分の席の近くから鈴木選手へ声がかかると「ありがとー」と返事までする熱の入れよう。オバちゃんはツヨイのだった。

 ○ 帰宅して、W杯最終予選の結果を知る。韓国3−0カザフ。大丈夫か? 日本代表は。 

<9月7日>
 ◇ 午前6時半に起床。旅に出る。東海道新幹線に乗る旅に思うのだが、僕のこれまでのささやかな人生において、重要な地点と呼べる場所のほとんどが、東海道新幹線沿線にあるのだった。
 出生の地にして、前務めた会社のある静岡市を眺めつつ安倍川を越え、地元・藤枝市を通りかかれば、かつて市内の駅伝大会で走った中外製薬の工場が見える。3年弱勤務した浜松では、バブルの遺物にである某巨大ビルを右手にしばし感慨にふける(ウソ)。
 愛知県西部に入れば、「まー、いろいろあったなあ」と感興は深まるばかり。ネクステージ知立とか、トイザらス岡崎店とか。で、予備校・学生時代と5年間を過ごした名古屋に到着。

 ○ 名古屋で1時間ほど仕事の話をした後、再び新幹線に乗り換えて大阪へ。新大阪で乗り換えて、JR大正駅へ。今日の目的地は、大阪ドームなのだった。

 大阪ドームで「K−1グランプリ」を観戦。ドームは3万8000人の大入り。一言でいうなら、昨日のパ。ンクラスと比べて、フォトジェニックな競技だった。打撃系はやはり、パンピーにも分かりやすいし、なにろテレビ向けには恰好の素材であろう。知人が夜のテレビ放送を見ていて「格闘ゲームみたい」と感想を述べていたが、その通りの派手さがある。

 試合の詳細については、ファンでない僕は何も語るものを持っていない。が、8試合目については少々。カードは、96年K−1王者「アンディ・フグ」×テコンドー世界チャンピオン「ピア・ゲネット」。ゲネットは、篠山紀信のメール・ヌード写真集「マキシマム」のモデルだけあって、肌こそちょっと肌理が荒い感じがするが、甘いマスクと引き締まった肉体はフォトジェニックである。彼のドレッドを見て「アレクサンドライト」のアレクを思い出したのは俺だけではあるまい。
 試合は、フグがゲネットを寄せ付けず1RKO勝ち。ゲネットは準備不足と、ウエート不足(他の選手よりあきらかに体が細いし、体重差が10キロほどある)が敗因だろう。わざわざこの試合について書いたのは、なんてことはない。ゲネット×フグっっていう「K−1やおい本」ってあったら面白い(?)よなあ、と妄想を膨らめ、それを共有したいがために試合について触れたまでである。(←バカ)

 ○ 帰りの新幹線ではビール700mlで、寺田寅彦の本(うーん、板倉聖宣って彼の正統な後継者といえるかもしれない)を読み進める間もなく熟睡。気がつくと熱海であった。帰宅してカレー。  

 ☆ 懺悔。先日記述した大阪の博物館は、国立民族学博物館が正式な名称であった。

<9月8日>
 ◇ このところ3日に一度まとめて更新するペースになっている。一方アクセスカウンタは、未更新の間もやや数はへるものの増えているところを見ると、どうやら日記猿人新着リスト以外の読者が多いということが予想される。みなさん、新着リストで更新しているかどうかを確認してからジャンプした方が、ストレスがたまらないのではないでしょうか。老婆心ながら。

 ○ 某所でドクター中松の新商品に関する情報をゲット。(いや、カス情報だけど)
今回はどうやら、モテモテ系液体を「発明」したらしい。なんでも、特殊性液体「ラブジェット」というそうで、フェロモンを遙かに超えた特殊化学物質「ホレモン」(なんじゃこりゃぁ?)を配合。これはフェロモンの効果を謳うようなようなホレ薬(性的誘因臭)ではなく、香りにより感度上昇(無線とはあまり関係ないらしい)、持続力(電池とはあまり関係がないらしい)の効果があるという、まあ、その手のアイテムである。つまり、ホレさせるのではなく、「試して分かるこのすごさ」というお試し期間におけるアピール用アイテムなわけだ。

 しかし、その説明文には矛盾や疑問点が多々ある。例えば、「ホレモンは香りそのもので効果が得られる」と書いておきながら、使用方法は「スプレーで直接局部に吹き付ける」となっていたり、なにしろポイントである「ホレモン」の機能について何にも説明がないのである。
 唯一関係があると思われるのは「「ドクター中松ラブジェット」の理論波及ホルモンDHEA(デヒドロエピアンドロステロン)は、米仏研究所では肌がきれいになり」と、いう部分だが、DHEAとホレモンの関係は一切書かれていない。まあ、既製品と同様の製品を、いかにも新しいように見せかけるためのこけおどし、と言ってしまえばそれまでだけれど。それにしても、米仏研究所なんてあまりにアヤシ過ぎる。なんでも、ドクターは人口減少を憂えてこのアイテムを開発したという。一つの発明が国を救うという、前世紀の遺物みたいな発想の持ち主であることよ。まあ、それは個人の自由だが。

 それから、ラブジェット CDという9800円の関連商品まであって、なんでも「行為における事前の手当」から「本質的行為」、そして世の男性が苦手とされる「事後のフォロー」までがCDになっているらしい(下品にならないため言葉を言い換えました)。おそらく、場面にあった音楽が流れるんだろうけれど、もし予定より早く終わってしまったら、どうすればいいんだろうと悩むのは俺だけか?

<9月9日>
 ◇ 仕事がちょっと忙しいかなあ。某掲示板でご指名受けたりしているんだけど、材料不足なんです。もうちっと余裕があれば、お答えもできるのに、なぞと思いながら書き込まないでいると、話題はどんどん流転していくのだった……。まるで、縄跳びに入り損ねた子供のようだ。やれやれ。(←ここに書くなっての)

 ○ 実はだいぶまえに「ダウンタウンの理由。」(伊藤愛子、集英社)を読了。2人の軌跡を丁寧に追った「基本図書」。とはいうものの、爆笑問題土下座事件や周辺の芸人さんとの関わり合いがあまり書かれておらず、スキャンダルやプライ。ベートに関する記述も「普通」だ。もうちょっと、生々しい風景を見たい、と思った読者は僕だけではあるまい。そういうのがあってなおかつ2人をほめるコメントがあると、内容ににダイナミズムが生まれるのになあ。

 □ 1日1回は映画、舞台もしくわコンサートに足を運んで15年以上(推定)になる人とお目にかかる。すごすぎる。ちょっと自分を振り返り反省。

<9月10日>
 ◇ 最近テレビアニメを見ていない。一度戦略をたてなおして、状況をウオッチできるようにしておいたほうがいいかなあ。ウテナもだいぶご無沙汰だし……あ、ハイパーポリスはなぜだか見てるなあ。今日発売になったアニメ雑誌を読みながら、そんなことを考えた。しかし、999の新作かあ、どうすんだ? 企画が貧困であることは否めないだろうなあ。

 □ なんだかんだで帰宅して、うだうだとテレビをみながら眠りにつくのだった。最近、また内容が濃いい夢ばかり見るので(人が死んだり、悪魔的呪術師と戦ったりするよーな奴)寝るのが結構楽しみのような怖いような……。
 学生時代の先輩に客観的に夢を見る人というのがいた。映画を見るように夢が進行し、自分は観客としてその「映画」を見ているのだという。これを聞いたときには驚いたけれど、けっこう羨ましいかも。こちらはドラマチックな夢になればなるほど、体感マシーンに乗ったみたいに心がシェイクされていて、けっこうヘトヘトになったりするからなあ……。


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