あの日の冒険の続きを (後編)
――「また会おう」その後。

◇◆◇◆◇


再び山道を登り出す。左手にずっと見てきた渓谷は、進むごとに深さを増していた。覗き込んでも既に水の流れは木々に隠され、見えぬ事のほうが多い。ただ聞こえてくる水音だけが、その流れの速さを我々に教えてくれていた。
太陽が傾き、影が長くなり、次第にあたりが暗くなる。
丁度、休憩に良さそうな開けた空間に至ったところだったので、道を見失う危険を冒すまえに、ここで野宿をしようと歩みを止める。私の提案に、少年も頷いた。
ここらの山に獣が出ると聞いたことはなかったが、暖と明かり取りのために、火を焚こうと試みる。 平らで土の出ている場所を選び、集めてきた大小様々な枝を組んでから、持っていた着火機で火を付け ―― ようと、努力した。
努力したのだが。
湿気を含んだ枝が、もくもくと煙を立てるだけでなかなか火はつかない。どうやら、この件に関しては二人とも役に立たないようだった。圧倒的に経験値が足りない。
「昼間はすごいと思ったけど、案外、使えないね」
「お互い様だ」
少年の嫌みに言い返したはいいが、互いの年の差に思い至り、かえって精神的な墓穴を掘った。
それから少年はしばらく、何事かを考えているように首をひねってから、おもむろに私に向き直る。
「僕は実物を知らないけれど、あなたならわかるかな?"スギ"の木の葉っぱは、この辺に落ちている?茶色く枯れて乾燥しているやつ。それを集めたいの」
それならば、そこらにいくらでも落ちている。
足許にあった杉の葉を見せる。鋭く尖った葉は、乾燥していると指を刺すことさえある。
「これだな。油断すると、指を刺す」
彼は気をつけるよ、と言って杉の葉を集め出した。私もそれを手伝う。
ある程度集まったところで、彼は先ほど着火に失敗した組み枝の下に、それらを置いた。
「これに、火を付けてみて?」
着火機を近づけると、杉の葉はまるで紙の如く容易に燃えた。
勢いよく燃えた炎が、組んだ枝を炙る。
「すごいな、君は」
やった、と小さくこぶしを握ってから、少年は私を見上げる。
「でも、スギの実物を知っていたのは、あなただ。それに、キャンプの時にこうやって火を付けたんだって教えてくれたのは ―― にいさまだ」
彼の兄は、かつての冒険譚を、弟に細微に渡って語って聞かせたのだそうだ。
「昼間の空き地でキャンプしたときにね、鼻眼鏡をかけた黄緑の髪のユカイな商人さんが、そうやって火を付けてくれたんだって。にいさまが、話して聞かせてくれた」
予想しないところで登場した人物に、私の心がほろ苦い哀惜を含んで痛んだ。
―― チャールズ。
その名を思わず呟いてから、少年の視線に気付き私はあわてて相槌を打った。
「そうか、いい兄さんだ」
「うん、大好きだった」
深い意味はないのかもしれないが、過去形でいった彼の言葉がひどく切なく聞こえた。
「今でも、大好きなのだろう?」
余計なお世話と知りつつも、遠くにあっても幼馴染みとの変わらぬ絆を信じていたい私には少年の言葉を聞き流すことはできず、問いかけた。
ところが少年は私の問いには答えず、違う問いを私に発する。あえて、はぐらかしたように私には思えた。
「あなたは、兄弟はいないの」
「いない。十二のときに両親が逝ってから、ずっと一人だ。友達がひとりいたが、彼ももう ―― 遠くへ、いってしまったな」
「ふうん」
炎は無事、一番大きな枝に燃え移り、いよいよ強く盛って辺りに光を放っている。
「それは、むかし一緒に冒険できなかった友達?」
「ああ」
火に向かい腰掛け、頬を赤く照らされて少年が言う。
「……僕、あなたが何故、真っ先に僕の居場所に気付いたのか、ずっと考えてた」
「ほう……?」
私も並んで腰掛けた。
「あなたの友達と言う人が、三年前、にいさまと一緒に冒険をした仲間だったから?」
―― 白き極光の惑星から白銀の環の惑星を経由して主星へ。
彼は、随分いい勘をしている。
それとも、勘などではないのか。靴とスーツの例えの如く、気付かぬうちに私が与え続けた細かな情報を、注意深くあつめ分析して、彼なりの解答を導き出した、ということかも知れない。

辺りはすっかりと暗くなっている。 見上げれば、そこには美しい星空が広がっていた。
木が燃えて熱くはぜる音。遠くに、渓谷を流れる水音も聞こえる。
炎と、水と。そして、宇宙と。私は、何かこの宇宙の深淵を覗いた気がした。

私の沈黙を、少年は肯定の意と受け取ったようだった。
少年は、私が真実を知っている前提で己のことを、語り出す。
「覚悟をね、決めてるつもりだったよ。なによりも、にいさまのために。にいさまに、悲しい顔をさせないために。でも、このあいだ、ふとした拍子にね。 ほんとうにふとした拍子に ―― にいさまに、見せようって思ってしまったんだ」
思わず、天を仰ぎ、きつく目を閉じた。
あまりその先の話を聞きたくはなかった。
具体的なエピソードはまだわからない。だがそこにある感情を私は知っている。だから、 その話を聞いて、私は泣かずにいる自信がなかったのだ。
だが、私の様子には気付かずに、少年は語る。
少年は、かつて、兄の大切にしていた小さな素焼きの壷を割ってしまったのだそうだ。彼は、笑って許してくれた兄のために、代わりになる似たような壷を、必至になって探したらしい。
「結局はよく似た壷を、にいさまを連れて行ってしまった女の人がくれたよ。だから、壷はもう必要なくなったんだ。でも、ついこの間、勉強のためにお忍びで行った市場で、そっくりな壷をみつけた」
勉強とは、まさに国王に即位するためのものだったのだろう。
だから、彼が市場に行ったのは、彼の兄がすでに国にいないことが、前提の出来事だった。
「にいさまに、見せなくっちゃって。思ってしまったの。きっと喜んでくれる、いつもの笑顔で、僕にありがとうって言ってくれるって、そう思ってしまったんだ。
―― もう、にいさまは …… いない、のに」
彼は、声を詰まらせた。このまま泣くだろうかと思った。
泣かれたらどう対応すべきか。おそらく私に、子供をあやすスキルはない。
それどころか、一緒になって泣いてしまう可能性のほうが高いのだ。事実、既に私の目に見えている夜空は、ぼんやりと滲んでいた。
だが、長い沈黙を要しはしたが、彼は結局泣きはしなかった。ただ少しだけ、かすれた声で

「それで、たまらなくなった。たまらなくなって ―― 逃げ出した」

そう言った。

彼の気持ちはわかる過ぎるくらいにわかる、だが、"私にもわかるよ"これを言ってしまったら(しま)いな気がする。
それでいて、"それは辛かっただろう"などという言葉も、彼に何ももたらしはしない。
大切な人を失う痛みというのは、 生きている人間ならば、多くの者が一生に一度は抱える機会があるであろう、ありふれた痛みだ。
だが、その思いは、それぞれが抱えるものであって、まったく同一なものなど存在しない。
そして、同一などではないが、それと同じくらい特別でも、ない。
だからこそ、それぞれがそれぞれに。乗り越える以外の方法など存在しないのだ。
もらい泣きしているのがばれぬ程度に落ち着いてから、私はようやく口を開く。
「私如きが、君に伝えられることなど多くはない。ただ、ひとつだけ」
長い間、たったひとり。誰も信じられぬまま、あの薄暗い部屋の中で膝を抱え思い続けたことがある。

「少年。自分が不幸なのだと思ってしまったら、その時点で負けだ」

自分で自分を哀れんだら、負けなのだ。
元来の負けん気の強さが煽られたのか、うつむいた彼に、ほんの僅かにだが鋭く眼光がともった。
かつての自分自身は、はたから見れば逃げたように見えたかもしれない。けれどあの部屋は、己を外からの攻撃から守り挫けず戦い続ける為の最後の砦だった。
負けないための、防衛線だったのだ。外敵と、なによりも自分自身とに。

沈黙が降りた。
穏やかな闇の中に、火の粉のはぜる音と、せせらぎだけが聞こえている。話は、これでついたのだろう。
私は鼻をすすってから、言い訳のように、寒いな、と呟いた。夜風は春のものであったし、焚き火のおかげで実際は寒くなどはなかったから、もしかしたら少年にはもらい泣きしていたことが、ばれたかもしれない。

◇◆◇◆◇

携帯食料と水で、忘れていた食事を終えて、それぞれ防寒具にくるまり仰向けに転がる。
満天の星だった。
いま見上げている星空は、少年のあの日にできなかった冒険の続きだろうか。
弁当を持って、歩き疲れるまで川の上流を目指したその先で、自分は友人と共に、この星空を見つけたのだろうか。
答えはわからなかった。仕方がないので、
「君の星もみえているかもな」
ロマンチストぶって言ってみた。”うん、どこにあるかな”などという返答を僅かに期待した。が。
「恒星じゃないから見えないよ」
冷静に返された。もっともだ。
瞼が重くなり、次第に睡魔が訪れる。
明日はあまり筋肉痛になっていないといい、そう考えていると。
「翌日でるくらいなら、御の字じゃない?」
そんな声が聞こえたから、私はもしかしたら、口にだしたのかもしれない。
それほど、年寄りではない、そう反論する前に、どうやら本当の眠りに落ちたらしかった。
せせらぎの音を遠くに聞きながら、私は楽しい夢を見た。
夢の中で私は十二歳の少年だった。
十二歳の私と、一つ年上のやんちゃな幼馴染みと、その幼馴染みと同じくらいの年頃の利発そうな少年と、彼の弟の七歳の少年との四人で。
夏の風に背を押されながら、弁当を持って川沿いを上流に向かって歩く、冒険の夢だった。


◇◆◇◆◇


翌朝、私は寒さで目を覚ます。防寒具の外側に、うっすらと朝露が降りている。日の出前だが、あたりは薄ぼんやりと明るくなっている。
そして、気付いた。少年の姿が見えない。
慌てて身を起こすと、彼が寝ていた平らな岩の上に、炭で文字が書かれていた。


先に行ってる。心配しないで。

急ぎ荷物をまとめ、焚き火の跡の始末をし、炭で書いた岩の文字を消す。
”来たときよりも美しく”。これぞ、キャンプのマナーだ。
心配していた筋肉痛は、さほどでもなかった。明日以降に出るのではないかという不安が頭をかすめたが、とりあえず、今は気にしないことにした。

十分も坂を登ったところで、視界が変化し風景が一気に広がった。
どうやら私たちは、頂上のほんの少し手前で、キャンプを張ったらしい。
頂上は切り立った崖になっている。少年は、崖の淵に佇んでいた。
少年の後ろから遙か下方を見おろすと水の流れがあった。流れは崖下に広がっている森を蛇行する。朝靄(あさもや)のたゆとう森の奥には深い青を湛えた湖があり、さらにその向こう、白い雪を頂いた険しい山々が連らなって荘厳な姿を見せている。
湖と、そこから生まれる川の流れは、きっとあの山々の雪溶け水なのだろう。
霊峰の端が、美しく東雲(しののめ)に染まりはじめた。日の出が近い。
私が踏んだ草の音に、少年が気付いた。
「突発的な冒険の結末には、丁度いい光景かな」
振り向きもせず、そう言った。
彼は虚空を抱くように両の腕を大きく広げた。
冷静な状態であれば、危ないと言って彼をたしなめたかも知れない。しかし、その時私は彼の姿にある種の幻想を見ていた。
まるで、このまま翼を得て飛び立っても不思議ではない、そんな幻想だ。
彼が大きく深呼吸を終え、手を下ろし、私を見ぬままに言う。
「僕はね、ずっと許せなかった」
誰を、だろうか。昨夜彼は、今でも兄さんを好きなんだろう?と聞いた私の質問をはぐらかした。許せないのは、彼を置いていった兄のことだと言うのだろうか。
だが。
「だれも、にいさまの代わりになんかなれない。かわりになんかなって欲しくない。そんなの許せない。だけど ―― 周りは、僕に、その『代わり』になれと言う。それが、ずっと許せなかった」
そうか、彼は。
己が「代わり」と評されたことに不満を持ったのではない。不可侵であったはずの兄。その領域に、己が踏み込めと強いられたことこそを、厭うたのか。
彼の声は震えていた。泣きだすのではないかと私は昨夜と同じように不安になった。

―― ごめん、ごめん。チャールズ。約束の場所にいけなくてごめん。
―― ええんよ、怒ってへんから。怒ってへんから、泣かんでええ。

両親の通夜のあったあの日、私の友人はそういって泣いている私を慰めた。
言葉とは裏腹に、彼は私が泣くのを本気でとめようなどとしていなかったのは、きっとこの先弱みを見せることを許されない道を歩む私に、最後の涙の機会をくれたのだろうことを、私は知っている。
今、傍らに立つ少年に対し、同じことをしてやりたい、できることなら思いっきり涙を流させてやりたいと思いながらも、ただ(たま)さかすれ違っただけの赤の他人である自分に、その役割はできそうもない。
だがそんな必要ははじめからなかったようだ。この少年が私の予測の遥か先を、しっかりとした足取りで歩んでいることに次の言葉で思い知らされたのだから。
「でもあの時ね。枝が折れたあの時ね。大げさかも知れないけれど、ぼくが死んだり大きな怪我をしたら、白亜はどうなるんだろう、そう思った。真っ先に、そう思ったんだ。
―― だから、助けてくれて、ありがとう」
彼は己の身が危険から救われたことそのものよりも、故国のために、私に礼を言ったのだ。
「正しく務め上げられる自信なんか、まだない。でも僕は少し、だけ ―― 僕を許せるような気がした。ほんとうは、まだ怖いけどね。泣きたいくらいに」
私は、ようやく私の言える言葉を見つけた。
「それでもいかねばならない場所があるなら、行くべきだ」
私の友がそうしたように。そしておそらくは、貴方の兄君がそうしたように。

「うん、僕、帰るよ。白亜の星に。そしてあの星の王位を継ぐ」

彼は力強く頷き、真っ直ぐと、生まれたばかりの朝の日の光に相対した。
その隣に、私は並ぶ。
「そういえば、今更だけど。僕はあなたの名前を、聞いてない」
少年の問いに、普通に口をついて出てきそうになった己の名前。
マックニコル・セティンバー
けれども、この場で姓を名乗るは無粋な気がした。 いずれまた、別の場所で、顔を合わせることがきっとある。 その時は、おそらく互いに――彼は国の、私は一族の―― 名を背負っての対面だろう。だから、今はこれだけでいい。
「マックニコルだ」
彼の表情が、いきなり変わった。
「あれ?それって。もしかして、もしかして、マコやん?そうだ、マコやんだ!あはは、色々お話を聞いてたよ!」
どんな、話だ、どんな。しかも、何故笑う。何故腹の底から爆笑する!
「ママママママ、マックニコルだッ!」
大人げなく私は慌て、名を訂正する。彼の反応はあきらかに、チャールズから彼の兄を経て、なんらかの私の話が彼に伝わっていたからに違いない。

―― マコやんの昔の武勇伝?もぎょーさんしたで。
    ティムカちゃん、笑って、一度会ってみたいゆーてたわ。

何を話した、チャールズ!何を話した、白亜の前国王!
やり場のない怒りで頭から湯気が出そうになっている私をよそに、少年はしばらく楽しそうに笑った後、ようやく一息ついた。
目の端に、涙が浮かんでいた。こんな形で、彼を泣かせることができるなどとは思っていなかった。ああ、まったくもって。
「マコやんの冒険は、どうなった?これで終わった?」
マックニコルだ。ああ、終わったよ」
おそらくは、もうとっくの昔に終わっていたのだ。いい年をした大人になった今に、ようやっと気付いただけで。
周囲の大人を信じられず、己を守るために砦にこもった子供はもういない。いるとすれば、自分の足で立つことのできるいい年こいた男が一人だ。その足に履いている靴が、たとえ上げ底だったとしても。
「そう、それなら、よかった」
子供らしく愛らしい笑みを私に向かい見せてから、再び朝日を望み、眩しそうに目を細めて

―― 僕の冒険も、もう、終わったんだ。

と、小さく呟いた。
彼に関して言うならば、本当は終わってなどいないと、私は考えていた。だが口にする事はせず、黙って少年と同じ朝日に相対した。
彼とても、きっとわかっている。これからが長く険しい道のりのはじまりなのだと。
かつて両親を突如失い十二才の自分に降りかかった重荷よりも、はるかに膨大な何かが、この少年の肩に乗る。
山道で立ち往生したときのような安易さでは、私には、もう手を貸すことも出来ない。
けれども差し伸べた手を振り払ったあのときのように、持ち前の負けん気の強さで、彼は自らの道を切り開いていくのだろう。
さほど遠くない未来に、きっと幼い(ほう)は目を覚ます。
力強い翼を広げ、森と湖とを飛び越え、遥か霊峰の頂き ―― ここまで沿って歩んできた流れの本当の源に。いつかたどり着く日が来るのだろう。
その時を楽しみにしようと思いながら、私は早朝の冴えた空気を、胸一杯に吸い込んだ。

◇◆◇◆◇

こうして私に、歳の離れた友人が出来た。
長いこと、もう自分にはあの幼馴染み以外の友人などできないと予測していたはずだった。
だが意図せぬところで、損得関係なしに育まれる絆こそを友情と呼ぶのなら、そもそも予測などできるはずがなかったのだ。

幼なかった"友人"が子供から少年へ、さらには青年と呼んでも差し支えないくらいの時がたった今も。
遠く離れた惑星から宇宙空間を飛び越えて、プライベートラインの回線が繋がり彼の姿が映る。彼はモニタ越しにに―― かつては少年らしかったが、今は王たる風格と少々皮肉を含むようになった―― 笑みを浮かべて、最初に言うのだ。
「息災でいるか、マコやん(・・・・)
私は僅かな怒りと、僅かな苛立ちと、僅かな苦笑と、さらには僅かな喜びの入り混じった大層複雑な心持ちで、こう答える。

マックニコル、だッ!」




―― 終

◇◆◇◆◇


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【追記】
この話の続編を書きました→「鼻と手袋と靴底と」
【追記ここまで】

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
あとがきは別途書こうかと思っていましたが、現状 2009/03/08 日付けのブログが該当になるかと思います。
この物語を書く切欠をあたえてくれた、沢山の人達とアンジェに感謝を。

2009/03/08 佳月 BGM:Stand By Me