毛色



聖獣の宇宙。
のんびり、穏やかな日が続いています。
無事、両宇宙守護聖親睦紅白対抗運動会も終わったみたいだし。
(註:クラスがえ参照)
っていうか、本当にやったのか。
親睦の深まらなかった人達もいれば、逆効果の人達もいれば。
あ、なんか、ちょっと効果のあった人達もいたのかな。
ティムカとメルと、ユーイ。
聖獣の宇宙お子様トリオ。
お子様というには一部微妙だが。
それはともかく、仲良くお茶を飲んでいるようです。
どんな、会話をしているんだろか。
ちょっと気になるな。

◇◆◇◆◇

「俺さあ、実は気になってることがあるんだ」
何やらユーイよ、悩んでいるみたいだな。
「何が、ですか?」
ティムカ、既にお兄さんモード。年齢逆です。
「僕たちに話してみてよ」
おお、メルもちょっとお兄さん。いつかパスハのようになってくれ。
「レオナードってさ」
あ、その名前に、ティムカ、今、顔引きつったろ。
苦労してるみたいだねえ。
ユーイ、それに気付かず続けます。

「なんで、胸毛ないんだ?」

「ごふっ」
だめだよ、ティムカ。元品性の教官がお茶吹いちゃ。
でもその反応は気になっていたと見た。
「そういえば、そうだね」
メル、おまえは、気付け。
でも、よく言った。ユーイ、そのツッコミを待っていた。
「だって、不思議だろ。あいつ聖地に来た時無精ひげはやしてたよな、確か」
よくチェックしてるな。
「そ、それは。あっ、そうだ、きっとあの真ん中の飾りの下にあるんではないでしょうか。あはっ」
想像すると、すごく変だって。それ。
昔の必殺技、あはっ、が復活してるし。
「わかった!きっと、オリヴィエ様に剃られちゃったんだよ、きっと。『その、むさっくるしいの、許さないっ』とかって。僕は、そう思うな」
何気にむさっくるしいって、言ったな。オリヴィエの台詞にかこつけて、言ったな。
「さすが夢の守護聖同士だな、口真似、似てたぞ」
ユーイ、そういう問題じゃ、ないから。今。
「他にも、気になっててさ」
まだあるのか。というか、レオナードはさっきので解決なのか?

「リュミエール様や、エルンストって脛毛も水色なのか?」

うわあ、きたよ。直球だよ。誰もが目をそらしていた真実だよ。
「リュミエール様に脛毛なんてありません!エルンストはともかく」
「うん、そうだよね。エルンストはともかく」
何故、エルンストはともかく、なのだ。
しかしこのふたりは何やらリュミエールにドリームを持っているらしい。
「それにさあ」
ちょ、ちょっとまて、次はアレだな?アレはやばい。

「オスカー様の鼻毛は赤いのか?」

うわー、きちゃった。
ティムカ、硬直してるよ。
メル、メル、頑張れ、耐えるんだ。ああ、震えてる。
「…… 赤いよ。少なくとも僕は」
いい子だ、メル。よく頑張った……。
「そうなんだ。胸毛は?」
容赦ないな、ユーイ。
「あれ、そういえば、ない。一族、みんなないよ」
だから、レオナードの胸毛の謎に気付かなかったのか。
かわりに背びれがあったりしてな。
「背びれは、赤いよ」
あるんかい!
「へえ、そうなんだ」
「そ、そうなんですか」
あ、ティムカ復活。
「まあなー、黒とかさ、濃い色の人はそんなに不思議じゃないけどさ。あと、金髪とか、銀髪もまあ、想像の範囲内かな」
よかったな、ティムカ。
君は興味の対象外だ。クラヴィスも安全圏。
ランディ、フランシス、ヴィクトール、ジュリアス、マルセル、オリヴィエ、ゼフェル、アリオスも安全圏か。
「ねえ、そういえばティムカ、覚えてる?」
今度はメルか。何思い出したんだ、いったい。
「アルカディアでさ、ランディ様ノースリーブだったよね」
だから、なんだ。

「腋毛、なかったね」

「そういわれてみると……」
そういわれてみると……。でも、メル、君もノースリーブじゃなかったか?
胸毛同様、もともと無いのか?
「それも、オリヴィエ様がそったのか?」
ユーイ、それじゃオリヴィエ、変態だよ。
っていうか、やっぱり、君の中でレオナードの胸毛はオリヴィエに剃られたということで解決なのか。
「いや、オリヴィエ様説はただの僕の想像で……」
メル、弱気だ。
「んじゃ、補佐官様に剃られたとか」
「……!」
ティムカ、ティムカ、なに赤くなってる。
なんか、別のこと、想像してないか、君。

「こんど、本人に聞いてみよう。セイラン、ルヴァ様、チャーリーも気になっててさ」

やめれ!ユーイ!
それだけは、やめれ!
ルヴァとチャーリーはともかく、セイランにはまだ君はきっと叶わないから!
命が惜しかったらやめとけ!
「セイランはやめておいた方がいいとおもうな。僕」
「私も、セイランはやめておいたほうがいいかなって思います」
ほーら、ふたりだって同意見だ。

「僕が、なんだって?」

うわああああああ。
セイラン!
メルとティムカ、凍っちゃった。
「あ、セイランちょうどよかった。聞きたいことがあってさ」
ユーイ、命知らずにもほどがあるぞ!
「その前に、実はさ、僕もちょっと気になっているんだよね」
な、なんでございましょう、セイラン様。

「ユーイ、君の場合は、やっぱりまだらなのかい?」


―― オシマイ
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すみません、すみません、すみません。
……アホなもの読ませてすみません。
彩雲の本棚でドシリアス連載してる反動でっ!