階段裏の住人〜その頃の神鳥


■彩雲の本棚にある「階段裏の住人」のコネタで、
某所御礼用ミニ創作でした。既読の方はもうしわけありません。


◇◆◇◆◇


こちら、神鳥の聖地。

「ジュリアス様、お願いがあるのですがよろしいでしょうか」
ある日リュミエールがダンボール箱を抱えてジュリアスの元にやってきた。
改まって願いとは何であろうかと、ジュリアスは不思議に思う。

「申してみよ。そなたが頼みごととは珍しい」

リュミエールは安心したようににこりと笑って。
「マルセルに里親探しの手伝いをお願いされたのです」
そしてジュリアスに見せるようにダンボールを差し出した。
中には愛らしく眠る二匹の仔犬。
「二匹とも、よく眠っているようだ。愛らしい」
つい頬が緩むジュリアス。存外犬好きのようだ。
「犬はお好きですか?それなら、ようございました」
微笑むリュミエールにジュリアスは頷く。
「一匹程度なら、私が育ててもかまわぬ。どちらを選んでも良いのか?」
リュミエールはふとためらって。

「ああ、その黒い毛の仔犬はできれば私が飼おうかと思っていたのです。でも、ジュリアス様のお好きな方を選んでいただいてもかまいません」

などといいながら、黒い方を選んだら恨めしそうな顔をするのではないか、などと想像してしまう憂いた表情をする。
何か引っかかるものを感じながらも、ジュリアスは、では、と、金に近い淡い茶色の毛の仔犬を抱えてダンボールから取り出す。
そのひょうしに、起こされたのを怒ったものか、金の仔犬は恨めしそうに目を開ける。
その色は青。
自分の瞳の色よりは淡いものの、その金と青との組み合わせは自分と似ているような気がしてジュリアスは微笑んだ。
「わたしは、こちらでかまわぬ。しかし少々寝すぎではないか」
言っているそばから仔犬はまたも昼寝をし出した。
「ええ、この二匹は他の仔犬たちの中で1,2を争うほど。でも寝る子は育つと申しますから」
答えるリュミエールに、そういうものか、と納得してから、 ふと脳裏に190cmの某闇の守護聖と、192cmのどこぞの某光の守護聖を思い出し、ちょっと不機嫌になる。
―― あやつらは、寝すぎだ。
だがその考えを追いやって、言う。

「名を、決めねばな」

そのときリュミエールが少し慌てて謝った。
「ああ、もう名は決まっているのです。マルセルが早々につけていて」
「そうか、ならばかまわぬ。なんという名だ」
リュミエールはにっこりと微笑んで。

「『レオナード』です」

「何故だっ!」(ジュリとの初期親密度 レオ:33)

思わず放り出しそうになってしまったジュリアスから慌ててリュミエールは子犬を受け取る。
「ああ、そんなに嫌わないでさし上げてください。名はともかく、犬に罪はありません。ええ、たとえその名がどこぞの品がなくて粗暴な人物を髣髴とさせたとしても」(リュミとレオの親密度 32)
微妙な黒さをかもし出しつつ、それでもリュミエールは微笑む。
「それと、もう、仔犬たちも自分の名を覚えてしまっていますから、変更は」
もういちど、美しい微笑で。
「不可です」

軽い眩暈を覚えつつ、ジュリアスはふと、やはり眠りこけている黒い方の犬を見やり考える。
こちらの方がまだましであろうか。
だがしかし、この黒い色といい、リュミエールが飼いたがっていることといい。
そのとき黒い仔犬が目覚めてちらりとみやって欠伸をした。
そのやる気のなさそうな紫の瞳。

「念のため、聞いておこう。こちらの黒い犬の名は」
「『クラヴィス』です。ふふふ」
(一応書く。ジュリとの初期親密度 クラ:31)

脱力してジュリアスは聞く。
「2択、なのか?」
「ええ、2択です」
にっこり。

苦虫を噛み潰したような顔で。
ジュリアスは『レオナード』を手にとった。
(ジュリとの初期親密度 レオ:33 > クラ 31)
それでも飼おうとする、律儀なジュリアスに拍手。


―― オシマイ

◇ 「虚無の本棚」へ ◇

まあ、聖獣の光と水と闇犬+神鳥光犬があんなかんじなら。
神鳥の光と水と闇犬+聖獣光犬はこんな感じと言うことで(笑)

2005.01.17 佳月拝