<佐渡 裕 特別レッスン>
'03.11.29,朝から雨模様。
今日は佐渡練の日。早くから並ばないとダメなのに…
今回は,11/30の大阪市長選挙のあおりをくらってか,梅田の体育館ではありません。
大阪は天満橋にある「エル・おおさか」にある「エル・シアター」。
場所は知っているのもの,初めての行くので要領がわかりません。雨の中,外で待たされるとやだなぁ。
ということで,10:30開場というのに,○:30頃に到着。当然,誰もいません。事務局のスタッフどころか
ここに勤めている方すらいません。(^^;;)
ま,いいんですけどね,好きでやってる苦労ですから。
しかし,そうこうするうちに,○時○分頃になって(これでも早い!)知った顔がちらり,ほらり。
#みんな,お好きですね…(爆)
仲間内でだべってると,事務局の方々がいらっしゃる。
「10:30開場なので,いま待たれていても…席は十分にありますから,どこかで時間を潰されては」
との言葉。いえ,席があるのは承知しています。その席がどこになるかが問題なのです。
開場の頃には,100人も並んでなかったような…昨年に比べると,少なかったですね。
そして,ほぼ定刻かな,開場です。
<それはないやろ!(怒)>
当然,最前列のテノールとバスの境界に陣取ります。
体育館と違って座席があるのですが,ちょうど中間は,はて,テノール?バス?
事務局の方に問うと,「開けておいてください」とのこと。男声と女声の境が通路ですから,それに合わせて
隙間を空けるってことでしょうか。
場所も確保したことだし,お手洗いに行き,楽譜を眺める。今日は楽譜を開く暇などないでしょうから,
今の間に一応,形だけでも(^^;;)復習です。
さて,そろそろ練習開始かな,ってときに,ささっとテノールとバスの間の一席に人が入って来ます。
え?ここ,空けておくんでしょ?なんで?ゲスト?事務局関連の人?
ぎりぎりに来て,最前列の最高の位置に入って来ますか,普通…
#小生らは,なんのために早く来たんだ?最前列を確保するためですよ?!
#後に来て,それはいかんでしょ!常識的に考えても…(--;;)
そして,定刻になり練習開始となります。
<毎度おなじみの…>
いきなり言訳ですが…楽譜をほとんど開かなかったので,メモが取れてません。
ホントに記憶だけで書いてますので,間違いはご容赦のほど。
まずは事務局から挨拶と注意事項。
このレッスン(11/29,11:00〜の枠)は,大阪FとG,グループ参加の方々,合計800名ほど。
12/4,18:30〜 補習レッスンがあり,出席日数が足りない人は受講可能であること。
同じく,12/4,15:15〜中央公会堂でTV収録特別佐渡練があり,山本太郎氏も参加され,
希望者は後ほど申し込みを受け付けるとのこと。
#い,いきてー!けど,これは無理だ…12/5が大分出張が決定しており,資料作りその他もろもろで
#15:15なんて時間に中央公会堂なんて行けません…
あと,レッスン中の写真撮影,録音はお断りしますとのこと。
#演奏会ならいざ知らず,練習のために録音するくらいはいいんじゃないかな?
さて,注意事項の説明が終わり,発声練習です。誰が担当するんだろ?
と思ってたら,花月先生&山本先生でした。
大阪Gの人以外は,花月&山本両先生は初めてですね。どう映るんでしょうか?
発声練習は,いつもの「ま」からです。
まー
まー まー
まー まー
まー まー
まー まー
高い「ま」は通過点,終わりの「まー」が目標で,高い音がでなければ出てるような顔で!
「声が出なくてもいいから,TV映りのいい顔して!」
ぱ
ぱ ぱ
ぱ ぱ
ぱ ぱ
ぱ ぱ ぱ ぱ
ぱ ぱ ぱ ぱ ぱ ぱ
ぱ ぱ ぱ ぱ ぱ ぱ
ぱ ぱ ぱ ぱ ぱ ぱ
ぱ ぱ ぱ ぱー
首を上下に振らない,軽く軽やかに,楽しげに歌う!
大阪Gではおなじみの発声練習でしたが,他のクラスの方にもかなりウケていたようです。
<まずは心構えから>
セータを肩にかけTシャツ姿というラフな格好で佐渡さん,登場。ピアノは藤沢麻子先生。
いきなり声は出さずに,取り組む姿勢についてお話がありました。
「東京クラスでは山本太郎さんが参加された。参加するにあたってちゃんと練習してもらうことを条件にした。
個人指導もしたが,ずっとCDを聞くなど,皆と同じく忙しい中,頑張ってる。2重フーガではちょっと下を向くけど…(^^;;)」
「音楽には正解はない。だから何をやってもいいんだ。身振り手振り,そんなのがあってもいい」
「本番までまだ一週間ある。絶対に変われます」
「毎回毎回,挑戦している。一人一人が一万人の第九というのを作り上げているんだという意識を持って」
こういったこと以外にも,もっと時間を割いて話しがありました。そして,
「初めて参加される方,どれぐらいいます?…うゎ〜結構いるね。大丈夫かな?(笑)」
「ボクがそんなことゆうてたらあかんのやけどね!(笑)」
「花月先生,声を出さなくてもいい,テレビ映りのいい顔してって…なんちゅうボイストレーナや?!(笑)
けど,それも大事やから」
声が出なくていいはずがないんですが,きばって変な音を出すよりかはずっとマシですし,それよりも,
シラーの詩に曲をのせた,ベートーベンの思いを咀嚼し,一人一人がここで音楽を造り出していくことの方が
大事です,ってことなんですよね,きっと。
<ビートを効かせて>
「じゃ,男声,Freude ! から」
もっと大きく,巻き舌で。レッスンでも毎度毎度いわれましたが…この単語ひとつだけでも,かなりの時間を割きます。
Freude はここだけでなく他にもありますが,全てにいえることです。同様に重要な単語である
Bruder も一緒ですね。
D です。
「流さないで。そのまま大阪城ホールで歌うと,何が何やらわからなくなるよ」
ここはビートを効かすこと。
単語毎にアクセントを効かすんですが,単にアクセントを置くのではなく…ん〜…文字で表すのは難しいなぁ…
レスポンスのいいエンジンをブリッピング(”ふかす”に近いイメージかな)するように,
ゥヴァァァンン が Deine であり,Zaubr であり,binden であり,wieder
になるようにするんですね。
こうやってビートを効かせると,一万人が合わせられるし,合うとこの上もなくかっこいい,と。
werden は「ヴぇーるでん」でなく,「ヴぃーるでん」ぐらいの発音にして,とのことでした。
E です。
バスから始まる,Ja ! が弱い。
「さーって,どうしよっかな〜,そうしよっか…?」じゃなく,「そうだ!そうだ!そうだ!」っていう感じを
出さないといけないんですね。そして,今度はビートが
D の部分の半分になる。
ゥヴァァァンン ゥヴァァァンン ゥヴァァァンン ゥヴァァァンン =Deine Zaubr binden wieder となっていたのが
ゥヴァン ゥヴァン ゥヴァン ゥヴァン … = Ja wer auch nur …
で,Ja で一旦切ること。決して「やーヴぇるあうふぬー…」と平たくならないように。
weinend で息継ぎしないように,とのお話もありましたが…ん?seinennt でしたっけ?
皆が一斉に息継ぎすると目立ってしまう,っとことですしょうか。
nie が一番強く。楽譜には sf がありそのように指定されています。言葉の意味も「決して〜ない」という強い否定の意味。
#確か,この第九は最初に歌詞ありきで,それにベートーベンが曲をつけたと記憶してますが…歌詞に合わせた
#曲なので,やはり歌詞の理解は必要ですね…(^^;;;;)
#毎年,ドイツ語を勉強しなおそうと思うんですけどね…ようやく最近になって,学生時分に使っていた辞書を
#引っ張り出しました。(^^;;)
der stehle weinend sich aus diesem Bund は「我らの集まりから涙しながらひそかに去れ」なわけで,
毅然とした態度で,かといって感情的に「おまえなんか,あっちいけ!」というのではなく,ある意味では
格好よく語りかけるようにしなければならないところ。ですから,weinend
あたりは強くうたってはダメとのこと。
#芝居がかってるところでもあります。目を瞑り,weinend sich aus diesem Bund をそのような気持ちを込めて
#発音することを何度もやりましたね。
G です。
D のところで ゥヴァァァンン,E のところで ゥヴァン ,ここ G ではヴァヴァヴァヴァヴァヴァ…という具合に
ベートーベンは,ビートの刻み方を段々に変えていってます。
アルトは Kusse gab sie uns und Reben までは縁の下の力持ち,einen
Freund からは短いビートに参加となります。
バスは,ずーーーーっと縁の下の力持ち(笑)。けど,
「Cherub steht vor Gott のところでスポットライト当てるから!照明さんにもゆうとくし!」
ですって。
この Cherub steht vor Gott で短いビートが一転して,パンチを効かせていく。
最後の vor Gott はすっっっっっっごく長く伸ばします。
「みんな,息,継いでますか?息継ぎしないと…死にます。(←きっぱり(笑))」
「(伸ばして)…っとぅ,ではなくて,…おっとぅ
と言い直して。すっと音が消えるんじゃなくて,オーケストラもコーラスも
一斉にやめる。けど,ホールに音が残るように。(vor
Gott を歌いなおして)ほら,これ,この感じ。」
<残念!>
マーチです。
「このマーチは,ビシッと揃わない方がいい。そう,軍隊みたいに
いっち,にっ!いっち,にっ!って感じで いち に
アクセントを置くんじゃなくて,にっ!の方にアクセントを置いて」
「Bruder と Freudig ,これは最初の Freude
と一緒。ぶるんっ!って感じを筋肉に染み込ませて,体で覚えて!」
「Bruder ,兄弟です。歳もなにも関係ない。(ちょいとお歳を召された方に)おいくつですか?…73歳との声…兄弟で
いいですよね!」
「一万人の第九では,もう,恒例になったけど…」
といって,佐渡さん,壇上から降りてきます。
#このために早出してきたんですよね〜。
ところが,その73歳の方の隣に行く…二人分,横…(--;;)…テノールとバスの間じゃないの…??
男性全員で肩を組んでマーチの合唱!
毎度のことながら,これはいいですよね。
#それにしても残念!73歳に負けました。そういえば,その方,去年も佐渡さんと肩を組んで歌ってました。
#これって,絶対,狙ってるよな…
このあとは,オーケストラが忙しないところ。小生の好きなところでもあります。
コーラスが”行進”し,オーケストラが”戦っている”んですね。
527小節の”た〜らら”では,この戦いに「勝ったのか?!」,535小節の”た〜らら”では,「…負けたのか?!」という
不安が入り混じり,M の手前 2小節で勝利を確信し,Freude ! と続くドラマがあるということです。
もちろん,この Freude の発音,意気込みも最初と一緒。そしてビートを効かせて。
2度目の Deine 〜は,初めの Deine よりももっと元気よく。
<じ,時間が…>
次の男声,Seid からですが,
「威厳をもって,Seid の ”(ざ)あ(いとぅ)”よりも,むしろ”(ざ)お(いとぅ)”ぐらいで。そして,流れないで」
Ihr sturzt nieder では,
「Ihr のところ合図をだしますから,そこから
sturzt に入ってください。次の nieder は,ぽよん,ぽよんとした感じ。
”しゃおろんぽう”(小龍包ってかくんでしたっけ?所謂,肉まんですね)みたいに,ほわん
としたものが,くっつくか
くっつかないかって感じで」
「Millionen は,”みーりーおーねん”と平たくするんじゃなく,”みーり,おー,ねん”と問い詰めるように。そして(休符で)
答えを聞く。Ahnest は愛情が降ってくるように,滲み出して行くように,そんな気持ちで」
「Such' …音が大きい。」
何度も”ぞーーー”を繰り返しますが,OKがでません。みな,息が切れてきて歌えなくなったくらいのときに
「そう,これくらいが欲しい。言葉を出さなくてもいい。その前の
Welt ! との落差が欲しい。
これを一万人でできたら,スゴイで!一番の聴かせどころや。ぜひ,やりたい!」
「uber sternen muss 〜 のところ,pp だけど,弱く,細くならないこと」
フーガです。
アルトが何か注意されたはずなんですけど…なんでしたっけ?
何かが「合ってない」って,言われたようなんですけど。
途中,バラけたりしましたが,不思議と持ちなおし,おしまいは結構ぴったり合ってたように思います。
「フーガでもビートを合わせて」と言われてましたよね。最初の方でビート効かせる練習をした成果でしょうか。
R です。
バス,テノール,アルトとバトンタッチしていくところですが,バスとテノールはクレッシェンドしないこと。
ここらで定刻の12:30になったのですが,まだ,S
と Prestissimo からが残ってます。
「(事務局の方へ)時間が来てるんやけど,もうちょっとええかな?このクラス,ちょっと危ないんで!」
#はっはっは,大阪Gが,ですか?(笑)
ということで,延長戦です。
<延長戦>
S です。
「もっと息,入れて,楽しそうに。」「Alleの入り方,よかったよ。ちょ〜っと危ないけど」「4つ目の
Alle Menschen は,
Menschen に入ってからテンポが遅くなるから,Alle
で遅くならないように」
Alle の入り方の練習として,何かのきっかけで
「あっ」とでるように。(^^;;)
炊飯器のスイッチを”ぴっ”とおしたら「あっ」
照明のスイッチを”ぱちっ”と入れたら「あっ」
”ポン”「あっ」
これも,体に染み込ませないと,そして,集中しないとダメですよね。
最後の Prestissimo です。
「最後の funken ! ですけど,これはいやな思い出があるんですよ。合唱やってた頃にね…”fun
/ ken”って(間を空けて
歌うように)覚えてた。で,実際は”funken”って早く歌うでしょ。そやから本番で”ken”が歌えなかったんですよ」
確かに最後は Prestissimo になりますもんね。
#いくつかの第九を聴いてますが,間を空けて歌ってるのもありますね。
#でも,最後はスパッと funken ! の方が好きです。
予定の時間を15分もオーバーし,今年の佐渡練がおわりました。
「このクラス,危ないっていいましたけど,そうではなくて,どんどん変わっていく,よくなっていくのがわかります」
というような言葉を戴きました。そして,
「本番は一度きり。いまやったことも,本番にできなければ何の意味もありませんから,よくさらっておいてください。
まだ1週間あるけど,あと1週間しかありませんから」
楽しくもあり,厳しくもあった練習でした。佐渡さんにしてみれば,まだまだやりたいところがあるんでしょうけど,
このクラスが初日,1回目だそうで,このあと,10回近く同じように練習をつけなければならないわけで…
最初だったからこそ,時間を延長してまでやってくれたんでしょうね。ある意味,ラッキーでした。
#昨年の大阪Gの担当枠は,8回目か9回目だったそうで,もう何回目かわからん!なんて仰ってました。
それにしても,今回も”佐渡マジック”でしたね。みるみるうちに声が変わるんですから。
おまけに,いつものレッスンでは「だめ〜〜〜〜〜〜!」と一喝されると思われるズレ方をしても,すっ
と
持ちなおすし。いつもながら,びっくりです。
さて,あとは今日の練習をしっかりとさらって,リハと本番に望むこととしましょう。
あと僅かしかありません。練習もそうですが,体調管理の方も大事ですよね。
仕事をサボってでも(←おい!),しっかり食って,しっかり寝て,本番を目指します。
…しかし,12/5の出張はつらいなぁ…これがなければ12/4の特練も申しこんだのに…(--;;)
12/4の特練,だれかレポートお願いしますね。