[ロープワーク]

 ロープワークというと、何か高等技術のようで気が引ける人が多いのではないでしょうか。たしかに、ロープワークを突き詰めれば、無数の複雑な結び方があって、それぞれに適した使用法が存在しています。
 でも、ふつうのキャンプ生活の中では、ロープの結び方に人の命がかかわるようなことはほとんどありませんから、ロッククライミングでのザイルワークのように、複雑なロープワークをいくつも覚えておく必要はありません。
 ロープワークに慣れた人でも、キャンピングの際に使うのは、ほんの2、3種類、それもごく簡単な結び方だけで、あとはそれを応用しているのがほとんどなのです。
 しかし、まったくロープワークを知らなくても、何かと不自由なものです。ここでは、最低限これだけ覚えておけば、キャンプ生活が快適になるというロープワークを紹介しておきましょう。イラストを見ながら何度か練習すれば、すぐに覚えられるはずです。
・クリンチ結び
 木や柱などにロープ端を結び付けるときに使います。力が加わるほどきつく締まるので、ハンモックの支点をとるときなどに最適です。
・テグス結び
 太さや素材の違うロープを普通に結ぶと結び目がほどけやすいものです。その点、結び目どうしが圧迫しあう、このテグス結びならしっかり結びつけられます。木と木の間にロープを渡して物干しにするときなど、一本のロープでは長さが足りないことがよくありますが、そんなときにロープどうしを結びつけるときに使います。
・プルージック結び
 メインロープやポールなどの途中にループ状(輪)にしたロープを引っかけて支点をとるときに使います。ロッククライミングでは、懸垂下降の途中で停止しておくときのブレーキとして使ったりします。
●追記
 ぼくは、キャンプするときは、φ6mm×10mのロープ1本と、φ3mm×5mほどの細引き4本を必ず用意していきます。どきらもザイルと同じくナイロンを撚り合わせたもので、かなり丈夫にできています。6mmφのほうは、非常時にザイル代わりに使ったり、場合によっては、束ねて車の牽引に使ったりします。3mmφのほうは、テントの張り綱や物干し、短く切ってループにしてランタンを吊るすフックにしたり、場合によってはシューレース(靴紐)代わりにしたりと、非常に重宝しています。

[ハンドクラフト]

 自然の中にある素材を使って、あるいはアウトドアで使う自分のオリジナルの道具を自作してみるのもフィールドでのアミューズメントとして面白いものです。
 例えば、自然が形作った石や流木を拾い、それをベースに多少の加工をくわえ、意匠を凝らした動物や道具を作ってみる。子供連れのキャンプなら、積極的にナイフを使わせるなどして、情操教育にも最高です。
 毛布とロープ、それに木の枝を利用してハンモック作り、あるいは大物に挑戦して、ティピ(ネイティブアメリカンのテント)の自作なんてのも、実用も兼ねた一石二鳥でいいかもしれません。
 遊び心があれば、フィールドはまさにワンダーランドなのです。
●追記
 マタギは、雪山に入るときでもテントは持参しないそうです。彼らは、木の空を見つけて塒としたり、雪洞を掘ったり、あるいは木の枝を組んで小屋がけしたりと、現場に手に入る材料だけを使って、そのときどきの休息場所を自作します。彼らの手法を参考にして、自分で小屋がけしてみるのも面白いですね。

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