[事前に準備する]

 アウトドアでは、水も自由に使えないし、使いやすいシンクやレンジもありません。まな板もなければ、ナイフは小さく使いにくい……そんな制約の中で、無理して野菜を刻んだりするのは面倒だし、時間の無駄というものです。
 そこで、何か本格的なメニューを考えているなら、事前にプレカットや仕込みを済ませておくのがセオリーです。そうすれば、現地では最小限の手間で調理でき、効率的だし、現地でもたもたやるより味も間違いなく美味しく仕上がること請け合いです。
 野菜の場合はプレカットしてしまうと、痛みやすくなってしまうので、当日か2日後くらいまでに消費することを目安にします。また、トマトやキュウリのような果菜はプレカットするわけにはいかないので、これは洗っておいて調理の際にカットすればいいだけにしておきます。
 肉や魚は、やはり事前に食べやすい大きさにカットして、塩、コショウし、味噌や酒粕などにつけて持っていくといいでしょう。もちろん、エキスが染み込んだ味噌や酒粕も有効活用します
 最近では、家庭用の薫製セットなども出回っているので、こういったものを使って事前に加工しておくのもいいでしょう。
●追記
 シチューやカレーといったメニューのときに、あらかじめ冷凍しておいたものを持参して、夕食時に火を入れて食べるといった方法もあります。オートキャンプなら、クーラーバックに冷凍食品を入れておけば2,3日は問題ありません。ザックに入れていく場合でも、最近は、性能のいい保温保冷バッグがあるので、これを活用すると丸1日は持ちます。

[行動食]

 運動の途中、糖分のあるものを口にすると、疲れがとれて活力が甦ります。トレッキングの途中や、テントの設営などで疲れを感じたら、チョコレートやビスケット、あるいはカロリーメイトなどの栄養補助食品を口にするといいでしょう。甘い飲物でも同じ効果が得られます。
●追記
 新田次郎の小説『孤高の人』では、主人公の加藤文太郎が、ポケットに甘納豆をたっぷり入れておき、それを歩きながら食べるシーンが出てきます。これは、実際の逸話だそうですが、カロリーが高く、消化のいい甘納豆は、行動食としては理想的なものの一つです。ネイティブアメリカンは、木の実や野菜を動物油で練り合わせて固めたペミカンという極めて合理的な行動食を使ってきました。モンゴルの遊牧民は、お茶にバターをたっぷり入れて休憩のときに飲みますが、これも合理的な行動食の一種と考えていいでしょう。シャリバテに陥ってしまうと、体力が回復するまでにそうとう時間がかかります。アウトドアで力を十分に発揮して、思う存分エンジョイするためには、行動食を適時摂取して、シャリバテを事前に予防するのがポイントです。

[調味料]

 塩、コショウ以外にも、パック入りの醤油やマヨネーズ、ジャム、バター、それに好みのハーブなどを用意しておくと、ただのスープやレトルト食品にほんの少し加えるだけで、変化がつけられ、美味しく食べられるものです。
 ジャムやバターは中味の入れ替えが可能なスクイーズチューブに必要量を入れておくのがいいでしょう。ハーブは乾燥したものをジップロックのような密閉できるポリ袋に入れておくと香りが長持ちします。
●追記
 ぼくは、塩、コショウを35mmのフィルムケースに適量が振り出せる蓋をつけたものに、砂糖はφ15cmほどのプラスチック製密封容器に、乾燥したタイムやパセリなどのハーブをジップロックに入れて常備しています。他の調味料は、メニューに合わせて、適時スクイーズチューブや密封容器に入れて持参します。炒めものなどをする場合、油が必須ですが、普通の液体オイルを携行するのは、けっこうやっかいなものです。今までは、小型の燃料用ボトルに普通のサラダオイルを入れていましたが、使っているうちにゴムのパッキンが劣化して油を浸潤させてしまうのが難点でした。最近スプレー式のオイルを使っています。これは、ザックに入れて振り回しても漏れる心配がないし、手軽だし、油を使いすぎる心配がないのもメリットです。

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