[究極のソフトハウスはビバーク]

 究極のキャンプといえば、ソフトハウスさえもかなぐり捨てて、大地に直接横になって夜を過ごすビバークでしょう。肌で直接風を感じ、目を開けばいきなり星辰が飛び込んでくる。これ以上自然との一体感が味わえることはありません。
 夏の終わりから秋口にかけての空気が乾燥して爽やかな頃、テントの代わりにゴアテックスのシュラフカバーをザックに詰め込んで、人のいない乾いた河原を探して横になる。食糧は軽いドライフーズとちょっとした酒のつまみ。ナイトキャップ片手に星を眺めながら眠りにつくなんて、おつなものですよ。
●追記
 オートバイツーリングで有名な賀曽利隆さんは、野営ということではかなりユニークです。彼の寝床はグランドシートただ一枚だけなのです。世界中どんな場所でも、厳寒のパタゴニアだろうが、灼熱のサハラ砂漠だろうが、30年間愛用のグランドシート一枚を広げて、その上に着の身着のままで横になり、たちまち熟睡してしまいます。最近はゴアテックス製のウェアを愛用しているので、少々の雨なら打たれながら眠っているようです。新田次郎の小説、『孤高の人』のモデルとしても有名な加藤文太郎は、厳冬期の北アルプスで、ハイマツの下に雪洞を掘って潜り込むと、油紙一枚にくるまって眠ったそうです。人間、慣れれば、そうとう環境に適応できるみたいです。

before
next
step6