[パッキングの実際]

 ザックのコンパートメントはメインが上下二つに分かれるわけですが、それ以外にも、トップポケット、サイドポケット、カンティーン(水筒)ホルダーなど、たくさんのコンパートメントを持っています。行動中に多用する小物類はそれぞれのポケットに収納するように設計されているわけです。例えば、トップポケットにはマップ、コンパス、ビノキュラーなど。左右のポケットには、雨具、ファーストエイドキット、シェラカップ、ちょっとした行動食、ナイフ、細引き、軍手、汗拭き用のタオルなど。カンティーンは、ポケットに収納するかカンティーンホルダーにといった具合です。
 下部のコンパートメントには、先にも説明したように主に衣類を収納します。これは畳んだ衣類をここに直接入れるよりは、下着、インナー、アウターそれぞれをいったんスタッフバック(衣類などを入れる丈夫なゆったりした袋)にまとめ、それからコンパートメントに入れるようにすると合理的です。こうすれば、着替えるときにわかりやすいし、メチャクチャに詰めた衣類が膨らんでファスナーが締まらないといった失敗も犯さずにすみます。
 上部コンパートメントの最下部にはシュラフを入れる(下部コンパートメントに収納しきれればそれでもOKです)。その上にコッヘル、予備のガスカートリッジまたは予備燃料、ストーブ、ランタン、食糧を収納します。それらと、背中との間に二つ折にしたテントマットなどの柔らかいものをクッション代わりに収納します。サイドポケットに入りきらなかった小物類は、コッヘルやストーブの隙間に押し込んで、ザックの中で荷物が暴れないようにします。そして、最上部には、キャンプサイトに到着したら真っ先に広げるテントを収納します。
 といったところがパッキングの代表的なスタイルです。パッキングで大切なのは、背中への当たりや重量のバランスで不具合を感じたら、面倒がらずにザックを降ろし、パッキングし直すこと。だいたい上記のようなセオリーを守っていれば、微調整を二度も行えば、背負い心地がグッとよくなるはずです。
●追記
 ザックの外側のストラップにカラビナやナスカンを使ってシェラカップなどを吊るす人もいますが、こういったスタイルは、あまりお勧めしません。背中で暴れてうるさいし、やぶこぎなどでは、引っかかって邪魔になるし、なにより衛生的でありません。
 また、最近のザックでは腰の横にカンティーンホルダーが装備されているものが多くなりましたが、ものによっては、深さが十分でなかったり、収納するカンティーンのサイズが小さかったりすると、ザックを背負って俯いた拍子に落としたりすることがあるので注意が必要です。

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