[シュラフ]

 シュラフはインシュレーター(中綿)の復元力が命です。厚く膨らんで、デッドエアーをたっぷ溜めるシュラフは安眠を約束してくれます。これもやはりメンテナンスを怠ると、収納袋から出してもほとんど膨らまず、万年床のせんべい布団のように、湿気て寒く惨め名な思いをすることになります。
 ダウンでも化繊綿でも水分を含むと復元力が低下してしまいます。また、汗や脂も大敵です。シュラフを長く快適に使うためには、まず、ふだん使用するときに、汚さないことと、陽に干して十分乾燥させることが大切です。
 それから、インシュレーターは圧縮し続けても復元力が低下してしまうので、家で保管するときは、大きめのスタッフザックに移して、ゆったり収納しておくようにします。
 インシュレーターは、細かい繊維の集まりですから、使っているうちに汚れを媒介にして繊維同士が絡みついて塊になり、バッフル(キルティングされたそれぞれのボックス)の中に隙間ができるようになります。こうなったら、洗い時です。化繊綿なら中性洗剤を薄めたぬるま湯でつけ洗いし、十分にすすぎをして乾かします。ダウンの場合は専用の洗剤を使わなければなりません。干すときには、はじめはインシュレーターが片寄らないように、なるべく平に置いて乾かし、湿気がほとんどなくなってから仕上げに吊るし干しするようにします。
●追記
 ぼくが使っているのは、モンベルの一世代前のタフバッグシリーズというシンセティック(化学繊維)インシュレーターのシュラフです。標準のバックは、カサを減らすために、かなりギュウギュウに押し込むようになっているので、保管するときは大き目のバックに移して押し入れの中に吊っておきます。モンベルでは、それぞれのシュラフの合わせて大き目の保管用バックが用意されているので、これを使っています。

[ザック]

 ザックは直接地面に置いたり、汗が染み込んだりして、汚れがつきやいものです。そこで、つい丸洗いしたくなってしまうものですが、これは禁物。ザックの内側は全体に防水コーティングされていますが、丸洗いすると、乾くときの生地の収縮によってそのコーティングが剥離してきてしまいます。汚れが気になりだしたら、中性洗剤を染み込ませた布などで拭き洗いしてやりましょう。ハーネスのパットに染み込んだ汗が気になりだしたら、部分洗いします。
 また、ザックは畳んだり積み重ねたりせず、なるべく吊るして保管しましょう。ザックの内側には防水のためのウレタンコーティングが施されていますが、ザックを折ったり畳んだりを繰り返すと、これが剥がれてしまいます。中をゴシゴシ洗ったりするのも禁物です。
 また、防水コーティングは経年変化によって劣化しますから、ザックの寿命は4,5年と考えたほうがいいでしょう。ぼくは、昔、シュイナードのザックを長いこと愛用していましたが、終いには、内側のコーティングが日焼けした肌のようにボロボロと剥けてしまいました。それでも愛着が深くて、捨て切れずにおりましたが、雨の中を歩いて、中に入れた衣類がビショビショになって、ついに泣く泣く捨てた思い出があります。

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