撤収の項で紹介したように、テントを長持ちさせるコツはよく乾かしておくことです。でも、長く使っている間に性能はどうしても低下してきてしまいます。初期の性能をできる限り維持しておくために、メンテナンスは欠かせません。
まずはじめに低下するのは防水性です。とくに、フライシートやグランドシートの縫い目のシーリングが劣化し、そのままにしておくと、そこから浸水がはじまります。
メンテナンスの最初のポイントは、再シーリングすることです。
シーリングには樹脂状のシームシーラーを塗って縫い目を潰してしまうものとテープ状のシームシーラーを縫い目の上に張りつけてあるものの2種類あります。樹脂タイプの場合は劣化したシーラーの上から新たなシーラーを塗り重ねるだけでOKです。テープタイプの場合は劣化して剥がれかけたテープを全部剥してしまい、露出した縫い目に新しいテープを張りつけます。いずれのタイプも登山用品店などで購入できます。
また、フライシートやグランドシートの生地自体の防水性も経年変化で劣化してきます。フライシート表面に丸い水滴がついてすぐに流れ落ちるようなら、まだ問題ありませんが、水が少しでも染み込むようになったら、フライシート表面にまんべんなく撥水スプレーをかけてやります。グランドシートも、ときどき外側全体に撥水スプレーをかけるようにします。撥水スプレーで処置することにより、防水性が復元すると同時に、汚れがつきにくくもなり、寿命を延ばすことにつながります。
焚火の火の粉がとんでできた焼け焦げなどをみつけたら、後で紹介するリペアテープなどで補修しておきましょう。そのまま放置しておくと、裂け目が広がってテントそのものが使いものにならなくなってしまいます。
それから、ポールも経年変化で金属疲労が進むので、4、5年も使ったテントは、ときどきチェックしたほうがいいでしょう。曲がっていたり、ジョイント部にクラック(裂け)があったら、メーカーやショップに依頼して、その部分を交換しておきます。
●追記
ぼくが初めて購入したテントは、ダンロップの吊り下げ式のアルパインテントです。もう20年以上使用してますが、一度ポールにヒビが入ったので交換したのと、フライシートのかぎ裂き、グランドシートの焼け焦げを補修したくらいが大きな修理で、いまだに現役でがんばってます。セルフスタンディングタイプのテントは、分割式のポールがドローコードでジョイントされてバラけないようになっています。よく、ジョイントされたポールを端のほうから外している人がいますが、そうすると、反対の端のほうではドローコードが極度に引っ張られて、外れたり、切れたりすることがあります。ドローコードの寿命も当然短くなってしまいます。ポールを畳むときは、ジョイントされたポールの真ん中で外して左右同じ長さに二分割し、さらに真ん中で外して二分割……というふうにしましょう。
ちなみに、ポールが破損したら、メーカーに直接問い合わせるか、アウトドアショップに相談してください。ぼくは、知り合いのアウトドアショップに持ち込みました。一週間あまりで破損していた二本を新しいのに交換してくれました。費用は1000円程度でした。
それから、シーリングするときは、風通しのいいところで、テントのゲートを広げて作業しましょう。シームシーラーは強い有機溶剤を使ってますので、締め切って作業していると中毒を起こします。フッ素系の撥水スプレーも、吸い込むと有害なので、これを扱うときも換気に十分注意してください。