外傷の手当は、出血をおさえること(止血)と、二次感染を防ぐために傷口を清潔にすることの二点が重要です。
まずは、傷口とそのまわりをきれいな水や消毒薬で十分に洗浄します。その上にガーゼや清潔な布を当て、しばらく圧迫をくわえます。傷が深くなければ、これだけでほとんど出血は止まるはずです。出血が止まったら、化膿予防に抗生物質を配合した軟膏などを塗り、バンドエイドや包帯で患部を保護します。
もし圧迫するだけでは止血できなければ、傷口より心臓に近い部分を止血帯(ロープや布など縛れるものならなんでもOK)で縛l、患部を心臓より高い位置に保ちます。この状態で安静にし、救助を要請します。この方法を取る場合は、止血した先の細胞の壊死を防ぐために、止血帯を30分おきくらいに緩めるて、血液をある程度循環させてやる必要があります。
頭部に傷を負うと、たいした傷でもないのに大量に出血することがあります。こんなときは、焦らず、患部に包帯を巻いて上から圧迫していれば、ほとんどの場合はすぐに止血できるはずです(ただし強い打撲で、脳へのダメージが考えられる場合は、強く圧迫してはいけません)。
骨折をしたときは、その箇所の前後の関節から動かせなくなるほどの激痛をともなうか、もしくは感覚がなくなってしまいます。
骨折の場合は患部での内出血を防ぐために、まず冷やし、さらに患部が動かないように副木を当てて固定してやります。骨が皮膚を突き破って飛び出した開放性骨折の場合は、最初に傷の処置をしてから、骨折の処置をしなければなりません。
副木は骨折した部位の前後の関節を含めて固定するのがセオリー。副木には、枝やポール、ストック、厚紙、身近にあるものを利用します。もし、直接副木を結びつけるのが痛ければ、テントマットや衣類をクッションに利用するといいでしょう。
また、骨折の際は、ショック症状をともなうことが多いので、その処置も同時に行う必要があります。
外傷が大きかったり、病気の症状が突然現れたりしたときに、それが精神的なストレスとなって、ショック状態に陥ることがあります。顔面蒼白で、手足が冷たくなる。冷や汗をかき、吐き気に襲われる。呼吸と脈が早くなる。といった症状が典型です。「血を見たぐらいで貧血を起こして、だらしない奴」なんて、高を括るのは禁物です。ショック状態から意識混濁に陥り、命を落とすことだってあるのです。
ショック症状を押さえるためには、とにかく、傷や病気のことを深刻に考えないこと、考えさせないことが大切です。まず、患者をリラックスさせること。衣服を緩め、毛布などで保温します。内蔵へのダメージの心配がなければ、水、あるいは気付けの酒などを小量口に含ませるのも効果があります。