著者と読者がほとんどリアルタイムでダイレクトに結ばれるというメディアは、今まで存在しませんでした。単行本一冊分の内容をここで公開するという試みも、当時はほとんど成されておらず、どんな反響が返ってくるか、楽しみでした。
 まず反応したのは、インターネット関係の動向を紹介する雑誌やネットニュースでした。それらで、ぼくのサイトが紹介され、一気にアクセスが増えました。そのうち、記事を読んだ方からE-mailが寄せられるようになりました。叱咤激励から内容に関するアドバイス、中にはずっと音信の途絶えていた旧友からの便りまでありました。本や雑誌の記事に対する反響ももちろんありました。しかし、インターネットでの反響は量からいっても、内容からいっても比較にならないくらい濃いものでした。ぼくは、その声に励まされて、コンテンツのブラッシュアップを続けています。また、同じようなコンテンツを提供している個人の方ともホームページを通してたくさん交流ができ、互いにリンクを張ることで、互いのコンテンツにない要素を補い合う関係を築き、それがまさにWWWの有機的なクモの巣として広がりつづけています。
 そのうち、今年の1月に、出版の打診をE-mailでいただきました。
 声をかけてくださったのは、出版システムを徹底的にデジタル化して効率を高めている舵社でした。
 E-mailをベースに話を進めて、すぐに出版の話がまとまり、ぼくは、活字向けにコンテンツをリライトするという作業を進めて、早くも、夏を前にして出版できることとなったわけです。
 今でこそ、ホームページを作るなんてことは誰でも簡単にできることですが、ぼくが"Outdoor Basic Technic"を立ち上げた当時はまだ一般には敷居の高いものでした。ぼくにとって幸いだったのは、SEGAで最先端のデジタル環境を経験していたことで、たいして難しいものに思えなかったことです(実際には立ち上げまで、けっこう苦労しましたが)。そのSEGAでずっと取り組んでいたタイトル「シェンムー」も、この夏、正式に発売となります。ぼくとしては、一度に二つの仕事を世に送り出せて、とても晴れがましい気分です。
 これからも、新しいゲームの制作に取り組みつつ、"Outdoor Basic Technic"ホームページの更新を続けていこうと思っています。そして、折りをみて、改訂版を出版していきたいと思います。
 余談が長くなってしまいましたが、"Outdoor Basic Technic"の序論を以下に記します。
 それでは、本編のほうをお楽しみください。

 

1999年3月16日

内田一成記

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