(第10回:'98年3月10日掲載) 「押してもダメなら引いてみな」というのは男と女の恋の駆け引き。でも今、インターネットで注目されているホットな話題は「引いてもダメなら押してみな」なのだ。 インターネットでは自分の望む情報をあちらこちらから探し出し、引っ張ってくることが可能だ。これをプル(Pull)型サービスという。まさにこれがインターネットの醍醐味であり、魅力なわけだけれど、情報を効率よく引き出すには、検索エンジンの使い方など、ある程度、インターネットに対する知識や習得が必要になる。 これに対して必要な情報が向こうから勝手に押しかけてくるのがプッシュ(Push)型サービスだ。つまり電源スイッチを押せば、映るテレビのようなもの。ユーザーは見たいチャンネルを選ぶだけ、という手軽さがウリ。あるいは毎日配達される新聞のようなもの。どちらにしてもユーザーは自分から進んで情報を取りに行かなくてもすむわけだ。 ひとくちにプッシュ型サービスといっても、その形態や種類はいろいろあるが、その中でも草分け的存在として有名なのは「PointCast」(ポイントキャスト)と「Castanet」(カスタネット)だろう。インターネットを新たな広告メディアとしてとらえている企業や、IPと呼ばれる情報提供業者にとっては、このプッシュ型サービスは魅力的で大きな可能性を秘めている。ユーザーにとっても、楽して情報が得られるなら、こんなありがたいことはない。 プッシュ型サービスの利用法としては、各新聞社の提供するニュースやスポーツの結果、新製品情報などなど、あらゆる情報が含まれる。また、ソフトウェアのバージョンアップに利用するなど、さまざまな利用法が考えられる。 インターネットエクスプローラやネットスケープコミュニケータなどの最新ブラウザは、このプッシュ型サービスをブラウザの機能として取り込むことに力を入れていることからも、今後プッシュ型のサービスが増えていくことは間違いないだろう。 プッシュ型サービスは使い方によっては非常に便利なものだ。でも、それだけだったら、インターネットもこれまでの一方的な押し付け型のメディアとたいして変わらないことになってしまうような気がする。やはり押したり引いたり、いろいろやってみるのが肝心ってことかな。 PointCast http://www.pointcast.ne.jp/ Castanet http://www.tk.hitachi-it.co.jp/ |