「インターネットが出版を変える」
(第8回:'98年2月24日掲載)




インターネットのホームページはHTML(ハイパー・テキスト・マークアップ・ランゲッジ)というテキスト(文章)にタグを挿入した形式で書かれる。見出し文字を大きくしたり、文字の一部や絵をマウスでクリックすると指定したページを表示したりすることができる。HTMLを使うと、絵と文字を組み合わせて絵本を作るようなことが簡単にできてしまう。

HTMLは世界共通の形式なので、WWWブラウザーを使えば誰でも見ることができる。ただ、HTMLにも少々困ってしまう点がある。それは、見る側の画面の大きさが違っていたり、見る側が表示する文字の大きさなどを設定できるので、必ずしも作り手側の意図どおりに表示されない場合もあるからだ。また、日本語の縦書きを表現することも難しい。

「エキスパンドブック」は、電子的な本のこと。日本語の縦書きにも対応しているし、絵や写真を文章中に貼り込むことも可能。こうして作った本は、フロッピーディスクやMO(光磁気ディスク)、インターネットなどで配布することができるわけだ。「エキスパンドブック」をパソコンで読むための専用ソフトはインターネットで無料で入手することができる。紙に印刷された本は大量の部数を一度に刷らないと一冊あたりのコストは高くなってしまうが、電子的な本は、その都度、複製を作ればいいだけなので、非常に安上がりだ。

もうひとつ、電子出版の新しいかたちとして注目されているのが「Adobe Acrobat」(アドビ・アクロバット)だ。こちらは紙に印刷をするように電子的に印刷(?)してしまう方法。「Acrobat Writer」というソフトを使うと、ワープロソフト、表計算ソフト、グラフィックソフトなどで「印刷」を実行するだけで、PDF(ポータブル・ドキュメント・フォーマット)という形式のファイルにしてくれる。PDF形式は画像ファイルとは違い、ファイル容量を小さくできる。また、見る側の設定に影響されない。ポータブルとあるのは、使用するソフトの壁を超えて運ぶことができることを意味している。PDF形式のファイルを見るためには「Acrobat Reader」というソフトが必要だが、こちらもインターネットなどで無料で入手することができる。

インターネットは、これまでの出版というイメージも変えつつあるのだ。


Expanded Book(Voyager Japan Home Page)
http://www.voyager.co.jp/
Adobe Acrobat
http://www.adobe.co.jp/