−2日目−
とか言っているうちにチェックアウトである。フロントの前まで行って、ふと後を振り返る。そこにおいでおいでしている物体が…。大山乳業の自販機だ。えぇとね、鳥取といえば大山乳業なんですよ。牛乳とか生クリームとかが美味しいの。思わずコーヒー牛乳を買う…のだが、この自販機、ビン入りのを売ってる。コンビニのペットボトル棚みたいに手前に若干傾斜していて、ボタンを押すと一本手前に出てきて後ろが詰まるという方式。その時にコトンという音がする。実はこの音、ビンが前面の扉に当る音。取り出すにはこの扉を開けなきゃならないんだけど、ビンは斜めに出てきてるから扉を開けるとそのまま下にゴロンと落ちそうで非常に怖い。でも絶対に落ちない処がミソ(落ちたら割れますって)。ちなみにこれ、ボタンにはコーヒー牛乳と書いてあるのに、出て来たビンにはカフェオーレと書いてある。飲んでみるといわゆる駅売りのコーヒー牛乳ではなくて、確かにカフェオレの味。これは美味です。さすが大山乳業!(回し者ではないけどね) さて、宿を後にして再び鳥取駅に向かう。実はこの鳥取という場所、若干一名にはいささかの縁の地であるのだ。この地を離れる前に懐かしの場所を訪れたいというのが本日最初の予定である。駅前から昨日とは違う100円均一の循環バスに乗る。鳥取の100円循環バスは2系統あって赤と青で色分けされている。バス停もちゃんと赤と青だからどっちのバスが止まるのかすぐにわかって便利だ(ちなみに麒麟獅子号は200円です)。感心しながらバスを降りるが、目的の場所がなかなかわかりづらい。なにせもう何十年も前の話だ。一直線にはたどり着けない。霧雨に毛が生えた程度とはいえ風が強く傘も煽られびしょびしょになりながら、ようやっと目的の場所を見つける。いやぁ、良かった。記憶も不鮮明なその場所で記念写真など撮って、これで鳥取も思い残す事はありません。
城崎といえば湯の街で、宿のお姉さんも早速温泉に…と思っておられるご様子。嵐も近付いているしねぇ。でもこちらは忙しい身。実は城崎近辺に一番予定が詰まっているのだ。チェックイン時間も待たずに荷物を預けてタクシーを呼び、一路城崎マリンワールドへ。大荒れの海を見ながらも、タクシーの運転手さんは「明日は晴れるそうですよ」と言うけれど、どうなることやら。とりあえず水族館なら嵐だろうと屋根の下。各種アトラクションも終りつつあるなか、滑り込みで飛び込みます。 実は水族館には結構行っている方である。九州でも行ったしあの海遊館にも行っている、他にも旅行だのなんだという度にあちこち覗いているのだ。だから、水槽の大きさとか思わずどうしても比べてしまう。どこそこは天井も水槽だったとかどこそこはもっともっと広かったとか。でもまぁ、そんなものは比べてもしょうがない。水族館も数あれど、どこもみんな何かしら特色がある。このマリンワールドは水槽群より外の方が広い。アシカ、オットセイ、セイウチ、トド、ペンギン、イルカ、そんな海獣たちの宝庫なのだ。ちょっとした岬の突端という立地も手伝って、各種プールやアトラクション会場が完全に海に面している。その海が、今日は凄い波飛沫を上げて迫って来るのだ。遊覧船は当然欠航、フィッシング(アジを釣って食べさせてくれるらしい。釣らないと食べられないらしい)も閑散としている。かなり時間が押していたのでトドのダイビングも見損なってしまった。でもイルカとアシカのショーは残っている。飛沫が降り注ぐ岩場を抜けてイルカのステージへGO!。 ちなみに、ここ城崎マリンワールドで一番芸達者なのは、イルカでもアシカでもトドでもなくてイルカのトレーナーのお兄さんと思われます。このお兄さん、岩の上から登場するといきなり水にダイビング。暫く水面に出てこないので一瞬心配していると、なんとイルカと一緒に泳ぎだすのだ。もちろん水中でイルカと同等である筈はなく、実はイルカが後ろから押しているのだが、イルカが潜るとお兄さんも潜る。イルカがジャンプするとお兄さんもジャンプする…というかイルカに足元から放り投げられている。そしてイルカが頭から潜ってシッポだけ水面に出すとお兄さんも潜って足だけが水面に仲良く並んでいる。これって、ほとんどシンクロでない? 女子のシンクロはプールだけどお兄さんは海水の中だ。イルカと一緒だから波も高い。浮力と波のきつい中、ノーズクリップも付けずにあれだけの演技ができるお兄さん、あなたはシンクロ日本代表より芸達者だよ。 ひとしきり見てまわるとぼちぼち閉館の時間も迫ってくる。帰る前にグッズも見て行こうとてお土産売り場へ。そこで見たものは関西テレビ“カンテーレ”のマスコットそっくりの不可思議な造形のオリジナルキャラ。これどうも、個人的にはペンギンなのかオットセイなのかセイウチなのか、可愛いのか可愛くないのかもさっぱり判らないのですが、どうなんでしょう。そんなこんなを見回っていると、おぉ!なんと感動の再会です! それはあの九州の水族館に居られた という訳で、セイウチさんに後ろ髪を引かれながら水族館を後にする。風なお強く海も大荒れだが、雨はかなり小降りになって来ている。帰りは温泉街へ向かうバスに乗ることにする。このバスが全丹バスというのだが、実はその後何度もお世話になることとなる。駅前で降りれば良いのかなぁ…などと言い合っているうちに、それより手前でカップルが降車ボタンを押す。と、運転手さんが妙に横柄な口調で「本当にここで降りるの?」と聞いて来る。何なんだ? そして周囲の景色を見渡すと、こちらもお宿の近くではないか。結局カップルと一緒に降りて上手いこと帰れました。が、運転手さん、あの言い様は何だったんだろう?
街の中心にでっかい外湯があったぞ、という訳で、取り敢えずそこに行くのだが、この外湯には見覚えがある。いつぞやローカルな旅番組で紹介していた場所なのだ。建物はもちろん目の前の小川のほとり、ほらその場所にレポーターが立っていたよ…と、そんなことまで思い出す。異国の地で、TVで見たままの風景の中に自分が居るというのは、やはり不思議な体験だった。 入り口で入浴券を渡しのれんをくぐると、そこは脱衣所というよりプールの更衣室の様。お風呂に向かう扉もどことなくシャワー室への扉に見える。番台がないのと風呂場への扉が小さくて脱衣所から中が一望できない、というのがいわゆる銭湯と決定的に違う処か。今は知らないけど昔の銭湯の脱衣所は、鍵の掛るロッカー式ではなかった様な気がするしね。体重計はデジタルでコーヒー牛乳もフルーツ牛乳も売っていないのが残念。そして中は普通に温泉です。ここの露天は洞窟風でした。 取り敢えず汗を流して帰る段になると、出入り口のタタキに下駄を並べてくれる。浴衣の柄で宿が判別出来るので、その宿の下駄がちゃんと判るのだ。が、男女とか子供連れとかで下駄の形状がそれぞれ違っていてもちゃんと出て来る処が、流石は商売人と感心する。そして傘を取って帰ろうか…と思ったら、お宿の傘が無かった…。こっちは下駄と違って外の傘立てに無造作に入れてあるだけだから、誰かが間違えて持って行ってもわからない。仕方が無いので傘無しで戻ったお宿のお姉さんの言葉が、今回一番印象的だったかもしれない。 風呂から戻るとやっぱり夕餉の支度はできていた。今回はお櫃とお茶以外全部テーブルに乗っている。おぉ、今日はなんとか食べきれるかも〜と思っていたら、後半になって天プラとデザートが追加になった。だから、そんなに入りませんて…。旅館の夕飯というのはやっぱり考え物、というのが今回一番の反省点ですな。 風呂好きな人はここからが本番で、数件ある外湯を次々回って満喫して行くのだが、こちらはあまりそこまでの気はない。それでも雨の上がって来た街を少しは散策してみたい、という訳で、浴衣着てカランコロンと繰り出してみる。お宿では外湯の入浴券以外にも協賛店のサービス券なんかも配ってくれているせいか、ソフトクリームの専門店だの店頭でビールを振る舞ってくれる店だの、あちこち盛況である。中でもこの街独特に思われたのが遊戯場。良く縁日で見かける射的やスマートボールが明るい店内にぎっちりと置いてある。ごく普通のゲームセンターなんかは無いけれど、こんなお店で遊ぶのもなかなかレトロで面白い。こうして湯の街の夜は更けて行く。でも明日の行程はなかなかハード。ぼちぼち寝る事にいたしましょう。 |