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 読書雑記 2002.9〜12 

西洋骨董洋菓子店1〜4(漫画) 以前、これがTVドラマ化されたのを観ていて、なんだってこんなにイカガワシい出来なんだ〜!と思っていたものだけれど、なんだってもへったくれも、そもそも原作がこうだったのねιι。で、あの頃もドラマ観ててケーキを食べたくてしかたなかったけれど、この時期に読んでしまうと、やったら高級で超豪華なケーキが食したくなってしまって、困るではないか…。  2002.12.22
よしながふみ
新書館
NARUTO 巻ノ十五(漫画) 我愛羅vsサスケです。我愛羅vsナルトです。我愛羅もやっぱり孤独です。本当の仲間が得られるかどうか…、それって、自分だけの力で何とかなるのか、運命…みたいなものなのか…。  2002.12.21
岸本斉史
集英社
ブレーメンII 4(漫画) 無気味だった筈のヘルツォークが、不気味っぽいままに妙に整ってしまっていた。でもやっぱり孤独なんだね、ヘルツォーク。だって自分で孤独を作り出してるんだもん。という訳で、笑いの王道川原泉が、物悲しく物語を締めくくった。いや、笑いは続くんだけど、ね。  2002.12.21
川原泉
白泉社
おせん 其之五(漫画) この漫画、表紙やら各章の口絵やら、料理人漫画とは思えないほどエロいんですが、今回はまた、屏風に浮世絵風の書き文字で何ゾ書いてある。余りにエロくって、ここには引用でけまへん。それにしても、マネの出来ない料理漫画ってのも多いけど、忙しいLOのためのスピーディー料理は、ちょっと真似してみたかったです。  2002.12.19
きくち正太
講談社
スリー・アゲーツ 三つの瑪瑙 「プラチナ・ビーズ」の続編。北のエージェント物は、タイムリーなのかもしれないが、実名がバシバシ出てくるフィクションは、どこまでが本当なのか判断に苦しむ。瑪瑙は半貴石といわれ、そんなに高価な物ではない。しかし、だからこそ、そこに込められた想いには意味がある。そして葉山は、少しは強くなれたのだろうか?  2002.12.19
五條瑛
集英社文庫
君の夢はもう見ない 短い手紙から始まる8つの連作短編。スパイ物の常かもしれないが、どの物語も何が真実で何が偽りなのか読後ですら解らない。そこにあるのは、騙し騙されるそれぞれの人間達の思惑と、表面的な事実だけだ。燃え盛る業火の中に、それと知りつつ身を投じて行く者と、その業火を、目の中に焼き付けたまま踵を返す者。自分は何の夢を見るのだろう?  2002.12.8
五條瑛
集英社
DIVE!!ダイブ 4
―コンクリート・ドラゴン
オリンピックを目指して宙を舞う、3人の少年達。10本のダイブでたった一人の勝者が決まる。僅か1.4秒の演技が10回。彼らは、今までの過去、柵、傷、苦しみと悲しみと嫉妬と、それら全てをその長い一瞬だけは忘れて、身体を虚空へ投げ出す。美しく、力強く、高らかに、完全に飛翔できた者だけが見る事のできる何か。彼らはそれを目指して飛ぶ。  2002.12.8
森絵都
講談社
写本室 <スクリプトリウム> の迷宮 構成として三重構造の入れ子になった物語…ということで、最初から一気に読まないと、全体の姿がどうにも掴めない。もう少し頭が良かったら、ちゃんと解るんでしょうけれど。未だに写本室なんて単語に釣られてしまったりする処が情けないのだが、そういうアイテムもしっかり入っていて、それなりに楽しめる部分はある。  2002.11.30
後藤均
東京創元社
熊の場所 (私的に)少しだけ気持ち悪い中編が三編。人は何かの弾みで何かに囚われ、そこから動けなくなる事がある。そこから何としてでも抜け出ないと、一生囚われたままだ。そこから抜け出す強さ…というものが良い事なのか悪い事なのかは解らない。あまりミステリに徹してない分、妙に生々しいのが気持ち悪かったのかもしれない。  2002.11.23
舞城王太郎
講談社
サイコロジカル 上
兎吊木垓輔の戯言殺し
サイコロジカル 下
曳かれ者の小唄
今回は戯言遣い「ぼく」の内向思考が少なくて良し。やっぱり、戯言遣いくんはしっかり動いてた方が良いね。しかし最後までオチというかトリックというかが解らなかった。そして零埼たんは、ちょっと残念だったなぁ。  2002.11.18
西尾維新
講談社ノベルス
ドミノ 世界はいろいろな人間の、いろいろな思惑で構成されている。誰もがその世界のひとつひとつの構成要素で、あなたが今朝蹴ったあの小石が、明日どこかで何かを大きく動かすかもしれない。最初に主要登場人物の紹介が、なんとイラスト入りで載っていて、趣味や人となり、そしてそれぞれからの「一言」が出て来る処が面白い。  2002.10.29
恩田陸
角川書店
時の誘拐 「時の誘拐」にも、「メトロポリスに死の罠を」と共通する様なある種の主張がある様に思えてならない。それが、単にネタ・トリックの為のものなのか、本当にもっと社会派的何かがあるのか、ちょっと読み取りかねたけれど。芦辺の作品にはロマンがある。世界は全然バラバラなモノの様に見えて、実はどこかで繋がっている。単純なモノに見えても、その側面は全部違う色形をしている。何かを追いかけて行ったら、思いもよらない景色が目前に現われるような、そんな不思議さと、わくわくする面白さがある。  2002.10.26
芦辺拓
立風書房
黒と茶の幻想 恩田陸というのは、つくづく人間を書かせると上手いと思う。いや、人間ではなく、人間関係なのかもしれない。であるからこそ、主人公の居ない小説…とでも言うような物語を描く事ができるのであろう。登場人物達それぞれの目線から、まるで数学の集合の図のように一部分ずつが微妙に重なり合う、過去の経緯とそれぞれへの想いを、どれか一つ…という事なしに、端正に並べてくれる。そこには、他人故に知り得なかった他者の営みや生き方考え方が、あぁ、こうすればああなるのか…と妙に納得させられるような、見事に説得力ある描写で書かれている。  2002.10.24
恩田陸
講談社
陰陽師 鳳凰ノ巻 例によって、怪異と晴明がそれを片付ける過程が、淡々と語られる。毎度どれを読んでも同じである。いわゆる言うところのワンパターンものの気楽な安心感。30分そこそこで読める気楽さが何よりである。  2002.10.22
夢枕獏
文春文庫
DIVE!!ダイブ 2
―スワンダイブ
DIVE!!ダイブ 3
―SSスペシャル'99
個人スポーツというものは怖い。頂点に登り詰める為に、ひたすら孤独に闘っていかねばならない。しかし、その怖いスポーツであるから故に、何の為なのか…というのは大事なのだろう。行き着く先は、ただ、自分だ。自分が自分である事が、何よりも大切なのだ。自分にとって、何が一番ポイントなのか…それを見極められた人間は、どこまでも飛翔できるに違いない。  2002.10.14
森絵都
講談社
木曜組曲 一年振りの再読。一人の女流大御所小説家と、それに連なる五人の女達の物語。最近周囲に物書きさんが多くて、たとえ世に大々的に出ていなくても物書きさんの本音なるものを聞きかじったりしていて、そんな中でこの物語を読んでいると、また一年前とは違った目で読める。物書きの性…とでも言うのか、それが凄く現れていると思えるのだ。  2002.10.11
恩田陸
徳間書店
メトロポリスに死の罠を これは何なんだろう?ミステリかな?冒険活劇かな?SFかな?サスペンスかな?はたまた、ギャグかな?。怪盗ルパンとか二十面相とか、あーゆーのの楽しさってこんな感じだったのかも…と思ったり。ただ今回のはちょっと社会派っぽい要素があって、その辺の説教臭さがちと鼻に付いたかも。  2002.10.11
芦辺拓
双葉社
時の密室 目眩の様な感覚というのが芦辺拓の作風なのかもしれない。「時の密室」という物語の中で起こる事件の中にある目眩と、そのアイテムの持つ目眩と、そしてそれら全てを包含する物語全体から感じる目眩の感覚が最大の魅力である。今回のアイテムは相当にお気に入りです。出て来る事件の、どこまでが創作でどこまでが史実なのか、ちょっと知りたくなりました。  2002.10.2
芦辺拓
立風書房
地底獣国 <ロスト・ワールド> の殺人 今回も舞台設定がなかなかに凝っているのだが、私的にはその凝り方がちょっと辛かったかも。ノアの方舟絡みのトンデモ説の予備知識があったなら、もう少し別の楽しみ方が出来たかもしれない。  2002.9.27
芦辺拓
講談社ノベルス
水に眠る 帯に「現題ミステリの成果を示す〜」云々と書いてあるが、あまりミステリという感じはせず、どちらかというとSFちっくなファンタジックな短編集である。強い想いが形になると怖い。物や事柄に想いが宿ると、有り得べからざる事も起きる。そして、淡々した語り口の中に、怖さがある。  2002.9.24
北村薫
文春文庫
カレーライフ カレーは、あらゆるスパイスのコラボレーションである。ひとつひとつのスパイスは、いろんな性質や効能を持ち、独特の風味や香りを放つ。カレーと言うのは、それらがひとつの鍋の中で溶け合い、影響し合い、より深まって出来上がったひとつの世界だ。「カレーライフ」は、世界を創り出すための旅の物語だ。最初の基点は同じでも、その同じ物事に対し皆違った捉え方をする。その別々の人々が、新たに新しい世界を創り出そうとした時、それらはひとつの世界の中で溶け合い、影響し合い、より深まって、大いなるカレーができあがる。  2002.9.18
竹内真
集英社
MAZE[めいず] 『存在しない場所』『有り得ぬ場所』と呼ばれる、不思議な構造物のある場所。そこへ調査に向かう何人かの人々の思惑と、“それ”の正体…。相変わらず、SFと神秘を纏ったミステリといった感のある恩田独特の物語なのだが、読みやすくまとまりを持っている。テーマは謎解きであり、最初から最後まで脱線せずに謎解きを続け、最後は綺麗に謎が解き明かされ、しかし、恩田らしさをちゃんと残して終っている。  2002.9.17
恩田陸
双葉社
DIVE!!ダイブ 1
―前宙返り3回半抱え型
分類としては児童書である。“dive”という単語には、潜水するという意味と、飛び込むという両方の意味がある。このDIVE!!は高飛び込みの事で、高飛び込みの選手の事もダイバーと呼ぶらしい。まだ物語の全容は見えてこない。しかし、スポーツというもの…ことに個人競技の孤独感…というものは、ひしひしと伝わって来る。小学校高学年から中学高校という極めて多感な時期に、たった独りの闘いを続ける彼らは、全てをそこに賭けるだけの価値を見出すことができるだろうか?  2002.9.15
森絵都
講談社
グラン・ギニョール城 山の上にある古城の中で巻き起こる、人々の思惑。そして虚と実の揺らぎ。こんなに面白いと思えたのは初めてかもしれないミステリ。前半と後半の端境部分で、ちょっとノリきれなくなってじたばたしたが、それもすぐに解消。身近な単語なども相まって、更なる虚実の揺らぎにハマって行くようでなかなかに怖かった。しかしミステリとしては、これだけ複雑なのにどうして?というほど解りやすくて不思議である。  2002.9.11
芦辺拓
原書房
朝霧 円紫さんと私シリーズ第五弾の中編集。ここに至って、ミステリというより主人公の成長物語的要素が強くなった。「六の宮の姫君」が一大巨編だっただけに、また戻った日常の小さな謎と人間の機微的中編が、やや弱く感じるのかもしれない。「本当に良いものは太陽の方を向いている」というセリフが心を打つ。  2002.9.9
北村薫
東京創元社
六の宮の姫君 円紫さんと私シリーズ第四弾の長編。『六の宮の姫君』というのは、芥川龍之介の作品である。卒論を控えた《私》は、今回この『六の宮の姫君』の謎に迫る。昔良くあった、写楽の正体を追え!とか、百人一首の秘密とかいう謎解きミステリーと同じような路線である。日本文学の基礎知識が無いと難しいのだが、それでもお構いなしに読ませてしまうのが、北村薫の凄いところか。  2002.9.6
北村薫
創元推理文庫
クビシメロマンチスト
人間失格・零崎人識
戯言シリーズ二作目。今回は《戯言遣い》が主役。人間失格・零崎人識は古都京都に舞い降りた連続殺人鬼。そして、もうひとつ別の事件も進行する。他の2冊と比べて、精神論とか観念論的な部分が冗長過ぎ。で、零崎(ゼロザキ)たん、面白いキャラなのに影薄い感じなのが残念。  2002.9.5
西尾維新
講談社ノベルス
クビキリサイクル
青色サヴァンと戯言遣い
戯言シリーズ一作目。青色サヴァンは欠陥を持つ天才で、戯言遣いはその付添人。常に天才の脇に居て、戯言遣いは自分というものに苦悩してる。最初から読んでも肝心のいーたんは相変わらず謎だらけ。ミステリの方は、こっちは初心者なだけにバシバシと簡単に背負い投げ連発状態。最初からどう考えても「なんでやねん?」だった巨大な疑問も、最後はしっかり納得させられるしで、天才というものはやはり余人の想像を超えるものなのだねぇ。  2002.9.4
西尾維新
講談社ノベルス
秋の花 円紫さんと私シリーズ第三弾で、今回は長編。初めての壮絶な北村。日常のちょっとした、どこにでもありそうな事件(?)すら物語にしてしまう北村の、壮絶な話はエグかった。どきつい暴力やスプラッタでは感じない様な、ある種、本当に身近にある恐怖感…そんなものを切実に感じた。甘えでも逃げでも無い結末が、それを何より感じさせる。  2002.9.2
北村薫
東京創元社
Heaven?4(漫画) 墓地の隣のレストランのお話、4冊目。相変わらずオーナーが横暴である。シェフもスランプだったりする。挙げ句、幽霊が出たりする。この世の果てと名付けられたレストランに、繁栄はあるのか。  2002.9.1
佐々木典子
小学館