寂然法門百首 99
2025.6.21
当知池水為清濁本
にごりなく池の心をせきわけて玉もあらはにすましてしかな
半紙
【題出典】『止観輔行伝弘決』一・四
【題意】 当に知るべし、池水は清濁の本と為ると。
【歌の通釈】
濁りのなりように池の心(水)を堰き止め分けて、珠も顕に澄ましたいものだ。【考】
澄んだ水も濁った水も元は同じ水。同様に迷いも悟りもすべて同じ心から生ずるものなのだ。迷いに満ちた心も澄ませば悟りの本となる。このように悟るのを別教の発心という。池の水が濁ることのないように、水を堰き止め、そこに悟りの珠を澄ませたい、つまり心が濁らないように声聞・縁覚の心を堰き止めて菩薩の心を澄ませたい、と詠んだ。
(以上、『寂然法門百首全釈』山本章博著 による。)