寂然法門百首 48
2021.6.27
如来常住無有反易
澄みやらぬ心の水に沈めども仏の種は朽つるよもなし
半紙
【題出典】『涅槃経』二五
【題意】 如来は常住にして反易有ることなし。(洋三注・「反易」は「変易」に同じ。「へんやく」あるいは「へんにゃく」と読む。)
如来は永遠で変化することはない。
【歌の通釈】
澄み切らない心(迷いの心)は水(生死の世界)に沈むけれど、仏の種(仏性)は朽ちることもない。
【考】
この歌の「〜ども〜よもなし」という形は、「冬さむみこほらぬ水はなけれども吉野の滝は絶ゆるよもなし」(拾遺集・冬・二三五・よみ人しらず)の歌に倣ったもの。衆生は迷いにより生死の世界に沈むが、衆生に備わる仏性は変化せず永遠であるということを、水に沈んでも朽ちない種によって表現した。
(以上、『寂然法門百首全釈』山本章博著 による。)