サウンドレスノベルツクール
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作:怪盗エクシール (EXEELE THE MASTER THIEF)
僕は一瞬で居心地の良かった潜伏生活を捨てることを決心すると、奴らの監視の間をついて学校から脱出する方法を考え始めた。
そう、かの高家筆頭、吉良上野介 …の子孫のそのまた分家末流の僕は、毎年この季節になると常に、刃傷沙汰で名高い浅野内匠頭 …の子孫のそのまた分家末流の者どもに命を狙われるのである。 遠い先祖の代には『討ち入り』と比較的大っぴらに行われていたこの『浅野(の子孫の分家末流もろもろ)一族狩り』も、いよいよ今年は学校の下駄箱の中でこっそりと告知されるまでになってしまったようである。
(…そろそろテレビの取材も打ち切りかな…)
それというのも、テレビ番組製作会社がこぞって『忠臣蔵』をあれこれと脚色し、アレンジした結果、僕たちのかかわっている「史実本来」の『討ち入り』の方がストーリー負けしてしまったからに違いない。
『小説は事実より奇なり』 本来、こんなこと、許されて良いハズはないのだが…。
数年前までは年末時代劇ラッシュと並び、『ドキュメント番組』として僕らはブラウン管にたびたび登場してきたのだが、吉良一族に有能な脚本家が現れなかったことが災いし、近年とみにお茶の間をガックリさせているそうだ。たとえは少々悪いが、『週間少年ジャ●プの長期連載』に似たものを感じないではない。 …そうだ、僕たちがドキュメンタリーもあの雑誌のような打ち切り方をされるなら、いっそのことここで死んだ方がマシってもんだ。
しかし、僕がそんな思いにかられている今も、奴らは僕をどこかで監視していることだろう…。 …一体どうすれば…。
もう吉良一族に任せてはいられない。僕は残りわずかな時間で、とにかく斬新奇抜なシナリオを練ることにした。
(この逃亡劇はきっと朝のワイドショーを賑わすことになるな…フフッ…)とちょっぴりよこしまな思いにかられながら退路を探すことにした。
参.「もとよりこの首、差し出す覚悟…いざ!」
粉骨砕身の思いで最期の闘いに身を投じることにした…