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− 2001.05.26 −_

 

 “ ここに彼らの音楽性が、他のバンドと際立って異なる個性を発揮している点があった。いわゆるふつうのロック=バンドがボーカルとギターという2枚看板なのに対し、印象に残るのはボーカルのみならず、まるでギターのようにフレーズを弾きまくるハデなベース(中略)という点だ。歌のバッキング、という点から見れば完全に歌の領域を侵していることになるわけだが、その侵し具合がとてつもない快感につながるという、独自のサウンドがそこにあった。”

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 サウンド=プロデューサーを決定する場合、選択肢は2つある。その1、バンドのカラーに沿ってより魅力を引き出せる人を招く。その2、バンドのカラー自体をプロデューサーの個性で作っていく。
 ラルクは前者である。アルバム「True」にひしめく6人のプロデューサーは、そうして選ばれた。その後、次作の「HEART」からラルク編曲市場は岡野ハジメのほぼ独占状態に入るが、これは何によるものか? なぜ6人の中から岡野ハジメが選ばれたのか? 昨年からずっと気になっていた疑問が今年になってやっと解決した。

 サイトを開設して2ヶ月後、30代後半の方が「ボーカルのタイプは違うが」とお断りのうえ「PINK(1983 −1990)」を薦めて下さった。拙レコメンドをお読みになって薦めて下さる音楽とはどういったものか興味深々、復刻盤の「DAYDREAM TRACKS」を購入。この1枚ですっかり惚れ込んでしまい、その後も中古屋・オンライン中古屋・ネット=オークションと、さまざまな手段を使い「PINK」「光の子」「PSYCHO DELICIOUS」「CYBER」「RED & BLUE」と、すべて購入した。

 復刻盤にはライナーノーツがついていた。ありがたい。その一部が、冒頭の一文である。tetsu ベースについて、ラルクについて書かれたものだと思ったでしょう? ここで「ハデなベース」と評されている人こそ、岡野ハジメなのである。岡野ハジメは「歌うベーシスト」だったのだ。

 というと、あの tetsu ベースは岡野ベースに影響を受けているのではないか、と思うであろう。渡辺は思った。しかし。
 2人のベースはまるでタイプが異なっていた。岡野ハジメは鋼鉄の指先で、引き絞った強弓をかきむしるように叩きつけるように爪弾く。太く鋭く力強く、男っぷりの良いゴリッゴリのベースであった。tetsu にくらべ、硬派で渋い。抱く楽器がベースであることを時おり忘れる tetsu のごとく、高音でソロを歌い上げることもない。
 tetsu ベースに顕著な影響は見られない。tetsu は別の人間から影響を受けているのである。

 さて、なぜ6人の中から岡野ハジメが選ばれたか、だ。

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【文】 岡本 明



















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