GARMIN e-Trex Vista日本版


2 July 2002

●ツーリングからMTB、トレッキングまで

 Vistaを使い始めてからまだ日が浅いので、インプレッションといっても表面的なことしか伝えられないが、これからじっくりとこのツールと付き合っていく中で詳細は伝えていくとして、とりあえず主な機能を使用感を交えて紹介してみよう。

 まず、地図表示。これは、標準搭載の20万分の1スケールのものでも、十分に実用的だ。主要なランドマークや道路、鉄道などのデータも入っていて、必要に応じてデータの表示数を変えることができる。もちろん自分で入力したウェイポイントのデータも地図上に表示される。

 特筆すべきは、やはり2万5千分の一の詳細地図が搭載可能となったこと。これは、別売りのマップソースとしてCD-ROMメディアでリリースされている。日本詳細地図の他、これにTOPO(等高線情報)を組み込んだ「日本地形図」も発売されている。日本地形図は、登山道データなどは収録されていないが、国土地理院の2万5千分の一地形図と同様の使い勝手で、登山、トレッキングに最適だ。登山道のデータは、PC上で自分で書き入れるなり、WEB上に公開されているデータを利用するなどできる(製品についての詳細は「OBT Select」へ)。

 今回は、夏至の日に伊勢から元伊勢を辿る旅で使用するために、近畿と北陸エリアをインストールしてもらった。詳細地図がカバーしているエリアまでは高速道路と主要国道を経由していったので、20万分の一の地図で、まったく問題なくナビゲーションができた。近畿エリアに入ってからは、レイラインという直線になるべく沿う形で進むために市町村道レベルまでカバーした詳細地図が非常に役立った。これは、トレッキングなどでもとても重宝しそうだ。

 ナビモードは、e-Trexの十八番ともいえる機能で、目的地の方向がコンパス上に、さらに直線距離と、速度、方位が表示される。表示は、コンパスを大きくするのと小さいものが選べるが、ぼくは、この機能をオートバイやMTBで使用することが多いので、視認性を重視して、大型コンパスを表示させている。

 そして、Vistaの大きな特徴は、電子コンパスを装備したことだ。停止状態で、GPSを向けた方角が、そのままディスプレイのコンパスに表示される。写真は、この電子コンパスをオンにした状態。ちょっとわかりにくいが、液晶の外側の黒い枠部分の上下に白いポイントが打ってあり、GPSを目線の高さに掲げて、二つのポイントを合わせて目標物に照準を合わせると、その方位が正確にわかる仕掛けになっている。そこで照準を合わせた目標をフィックスして、そこまでのナビモードに入ることもできる。

 気圧高度計もVista独自の機能(Summitにもこの機能がある)。GPSは、もともと衛星信号をキャッチして高度まで正確に計算、表示することができるが、この気圧高度計は、アナログ高度計と同様に、衛星信号が拾えない環境でも機能する(それは電子コンパスも同じ)。

 気圧は天候の変化によって変動するので、その様子から天気を予測することもできる。Vistaでは、その変化がログとして記録されるので、一目瞭然なわけだ(写真は、ほぼ平坦なところを移動した短時間のログのため、平坦になっている)。

 GPSは、せっかく高機能でも、GPS衛星の電波をキャッチできなければ十分な機能を発揮できない。だが、このVistaはあえてアナログ機能を盛り込んで、従来のコンパスや高度計と同様にも使用でき、ますます登山やトレッキング用途でも強い味方になってくれる。唯一の問題は電源。ニッケル水素電池とソーラーチャージャーを組み合わせて、予備電池を常に充電しておけるようになれば、長い山行でも荷物が重くならなくていいのだが...。

 MTBでは、以前は前輪の回転をマグネットでセンサーが拾って速度などを割り出す「サイクルコンピュータ」を使っていたが、e-Trexではトリップコンピュータ機能があるので、必要なくなった。走行距離、走行時間、最高速度、平均速度などが表示され、走行状況が一目瞭然。サイクルコンピュータのように、マグネットとセンサーの位置を調整したり、タイヤ径を入力したりする手間が要らず、ただハンドルにマウントするだけで機能するので、とても手軽だ。

 本格的にMTBに乗る人なら、この機能だけでもe-Trexを購入する価値があるだろう。ちなみに、ベーシックなモデルでもトリップコンピュータ機能を装備している。

 写真は少々見辛いが、ログ(軌跡)モードの設定画面。メインメニューの「軌跡」から設定画面に入り、ONにしておけば、自分が辿った軌跡がログとして記録される。トラックバック(軌跡ナビ)機能を使えば、その軌跡を辿って出発点に戻ることができる。ヘンゼルとグレーテルもGPSを持っていれば、トラックバック機能を使って、家へ帰れたというわけ(笑)。

 このログは、人気のファイル名がつけられてメモリが一杯になるまで保存されている。そのファイルの中から必要なものを保存したり、不要なものを消去することもできる。VistaとLegendは、このログを地図上に表示させることもできて、非常に便利。そういえば、アメリカでは、このログ機能を使って、実際に自分で道を辿って地図上に動物の絵を書いたりする遊びが流行っているらしい。ジオキャッシュといい、GPS一筆書きといい、こうしたツールを遊び道具にする発想にならって、何か面白い遊びをオリジナルで考えてみたい。

 それはともかく、ログの話だが、今回は2日半で1500kmも移動するツーリングの間ずっとログをオンにしておいたが、当然のごとく、全てのログを記録しておくにはメモリーが足りなかった。かろうじて残っていたのは、終盤の300kmだけ。これは、WindowsCEマシンのような他の記録メディアを持ったデバイスを使って、メモリが一杯になる前に転送しておきたいところだ。

●今後の課題

 とりあえず、今回はファーストインプレッションということで、Vistaの機能の概略とMTBやオートバイへのマウント方法などを紹介するに留まったが、次は、トレッキングや登山での使い勝手と、PCとリンケージさせたデータ管理の方法などを試して報告してみたい。

 

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詳細地図を300mスケールで表示。トラックアップで、これから天橋立に向かうところ。ランドマークとともに町道のレベルまで表示されていて、ルートを辿りやすい。
 

MTBへの取り付けは、専用のマウントを使って簡単にできる。このマウント専用の裏蓋に換装して、ブラケットにワンタッチで着脱する仕掛け。

ハンドルマウント用のリッド(左)とノーマルリッドの違い。ハンドルマウントリッドは、総プラスチック製で、右のラバーコーティングされたノーマルリッドと比べると、振動や防水の点で、若干不安がある。そのあたりも、今後テストしてリポートしていく予定。ちなみに、右の黄色いのがベーシックなe-Trex。サイズはまったく同じだ。

 

クリップで簡単にベルトに装着できるキャリングケース。ケースに入れたままで操作できるように、ボタンは全て露出するデザインになっている。
 

これは衛星の補足状況を表す画面。海や山などの開けた場所なら、30秒もかからずに、現在位置を割り出す。誤差は数m以内。ビルの谷間のようなところでは、この画面を表示させて、GPSを向ける角度を変えて、もっとも信号を受けやすい方向を探す。