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われわれがなぜ芸術をやるかっていうと、男も女も同じだからですよ。しかし現実はそうなっていないですよ。そして男と女の次は、若者と老人ですよ。オリンピックは全部若者のためにあるわけですよ。これはしょうがないですね。人間ってのは、子どものときは教えないとわからない。でも、二〇歳になると、老人よりも走るのが速い、頭脳も老人よりいいと思う若者もいる。けれども、やっぱりだめだと思って頭脳の方は従う人が出てくる。それでも従うのは四〇歳までで、それ以上はだめだっていうふうになって、どこまで老人が尊重されるかってことはこれから大変ですよ。あなたにしても、二一世紀にきんさん、ぎんさんみたいになったときに、老人がいいと思われなきゃだめなんですよ。
埴谷雄高「カメラの前のモノローグ 埴谷雄高・猪熊弦一郎・武満徹」集英社新書・2000年刊
埴谷雄高へのインタビューは1992年8月22日自宅にて
聞き手 マリオ・Ａ