寂然法門百首 83
2023.8.13
此日已過命即衰滅今日すぎぬ命もしかとおどろかす入逢の鐘の声ぞ悲しき
半紙
【題出典】『往生要集』大文一
【題意】 此の日已(すで)に過ぎぬれば、命即ち衰滅す
今日の一日が終わったので、命は減少する。
【歌の通釈】
今日は過ぎ去った。命もやがて終わるのだと目を覚まさせる入相の鐘の声は悲しいよ。【考】
入相の鐘に命のはかなさを悟るという歌の発想は、『栄華物語』(巻一八・一九三・片野の尼君)の歌、「今日暮れて明日もありとな頼みそと撞きおどろかす鐘の声かな」に倣っている。(一部略)
(以上、『寂然法門百首全釈』山本章博著 による。)