寂然法門百首 44
2021.4.30
病即消滅不老不死
舟の中に老いを積みけるいにしへもかゝる御法(みのり)をたづねましかば
半紙
【題出典】『法華経』薬王菩薩本事品
【題意】 病は即(ただち)に消滅して、不老不死ならん。
(病に冒された時、法華経を聞くことができれば、)病はすぐに治り不老不死となる。
【歌の通釈】
(海中にあるとされる蓬莱山を目指して)舟の中で老いを積み重ねたその昔も、このような『法華経』を求めたらよかったのに。
【考】
題の「不老不死」は祝部の題としてふさわしいもの。不老不死といえば、中国神仙思想がまず思い浮かぶが、『白氏文集』新楽府の「海漫漫」に、蓬莱山を求めることの愚が説かれ、これを踏まえて、『法華経』による真の不老不死を求めるべきといったもの。
(以上、『寂然法門百首全釈』山本章博著 による。)