寂然法門百首 6
2019.4.8
唯除楊柳以其柔故
行く水にしたがふ岸の玉柳かけても波のいかがをるべき
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【題出典】
唯除楊柳以其柔故(『六妙法門』)
唯だ楊柳を除くが如し。其の軟なるを以ての故なり。
【歌の通釈】
行く水にまかせて流される岸の玉のような柳を、波をかけてもどうして折ることができようか。(菩薩の柔らかい心を、どうして迷いの大水で流すことができようか。)
【考】
菩薩の心は柔軟であり、迷いに翻弄されることはない。それを柳が水に流されても折れないことに比喩したのが題の句。その比喩を春の柳の歌として詠んだ。
(以上、『全釈』による)
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老子も、「柔らかいこと」を生命の印とみて、讃えている。
強固な信念よりも、柔軟な心にこそ、救いはあるということだろう。