100 第7期も終了してしまった

2011.5.6


 今回の大震災以来、非常に落ち着かない気分の中で、それでもものを書いていると気が静まる気がして、10年以上にもわたって、週1回、1回につき1000字以内という規則を一度も破ることなく続けてきた「100のエッセイ」のその規則をとうとう破ってしまい、「書きたい時に、書きたいだけ書く。」と宣言してしまった。

 週1回を守るということも、それなりの苦労はあった。何しろ、更新の日の土曜日が近づくと、さて何を書こうかと思い悩むことが多かった。すぐに題材が見つかることもあったが、パソコンに向かっても、まったく書くことが見つからないこともしばしばあった。それでも何か書き始めてみると、何となく文章が出来上がり、こんなんでいいのかなあと思いつつ、時間切れで、エイやっとばかりアップしてしまうということがほとんどだった。

 しかし、週1回ということよりも、難しかったのは1000字以内という制約だった。別にこれはどうでもよかったのだが、自分で勝手にきめた規則で、こうすることで「すぐに読み終わる」という読者側のメリットがあると思ったし、1000字以内で書くということで、自分なりの文章修業になるとも思ったのだ。しかし、書き始めるとたいていは1000字を超えてしまう。1500字ぐらいだと楽だなあと何度思ったかしれないが、とにかく1000字以内を厳密に守って、涙をのんで200字も削除したり、1字オーバーのために読点を削除したりということを繰り返していた。短歌や俳句と同じで、こうすることで「おさまった!」という達成感はあったのだが、どこか言い足りないなあという気分も残った。

 そんなふうにして、超のつくほどのマンネリで、しかもマンネリこそ偉大なのだという居直りもあって、週1回、1000字以内というエッセイを700編近くも書いてきた。目標は1000編で、それが達成されるまで生きているのだろうかと以前には思っていたのだが、ひょっとしたら1000編書いたあとも生きているかもしれないなどと最近では思うようにもなり、まあ、先のことはともかく、しばらくは十年一日の如く書き続けていくのだろうと思っていたわけである。

 そこへ大震災が起きた。地震、津波、原発事故、停電などといったことが、これまでの予想を遙かに超えた規模で日本に襲いかかった。大変な衝撃だった。日本の社会にも大きな変化が起こるだろうと思った。そしておそらくこの大震災は、日本や世界において、さまざまなことの転機となるだろう。そればかりではない。ぼく自身にとっても大きな転機となったことは間違いない。

 ちょうど、この4月から、専任教諭から非常勤講師へと身分が変更になったということも重なった。これが転機でなくて何だろう。

 それでは、このエッセイはどうしたらいいのか。書きたいだけ書いていたら、あっという間に、100になってしまった。第7期も終了である。このまま、第何期などという区切りもやめてしまって、延々と書きついでいこうかとも思った。いや、それじゃあ、何だかナマコみたいでしまらない。やはり第8期と区切って、更新時期も字数制限も、すべて元の形に戻そうかとも思った。

 いろいろ考えたが、やはり第8期として再出発ということにした。しかし、週1回、1000字という制約は解除することとした。週に2回書くかもしれないし、月に2回かもしれない。何曜日にアップするかも特定しない。2000字かもしれないし、500字かもしれない。

 こういういいかげんなことにしてしまうと、怠惰になって、月に1回も書かないなんてことにもなりかねないが、まあ、それはそれでいいだろう。もうそろそろ、自分を縛って自分を鍛えるなんてことからも卒業していい頃ではなかろうか。

 そういうわけで、これで第7期は終了です。次回からは第8期に突入です。これからも引き続き、よろしくご愛読のほどをお願い致します。


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