Cinemaなおしゃれ・1

色のバランスがおみごと

オードリー・ヘップバーン

Audrey-Hepburn

 長い首に四角い顔がのっている。オードリー・ヘプバーンは容姿にコンプレックスをもっていたそうですが、そんな彼女を世界の恋人にしたのが、デザイナーのジヴァンシーでした。

 『シャレード』(64)でオードリーは未亡人。戦争のどさくさまぎれて夫が仲間と隠したという大金のせいで、3人の男につけねらわれます。ハンサムで親切なケーリー・グラントが近よってきて守ってくれますが、この男も、実のところは正体不明。

 この映画のオードリーの衣装は、やせた体型をカバーするだけでなく、本当に上品でチャーミング。

 国連で同時通訳をしているオードリーの、黄色いワンピースとお揃いの黄色いコートの組合せが印象的です。ワンピースは半袖ですっきりした丸首ですが、アクセントに黒いボタンがついたコートは、首をやさしくつつむハイネック。ボタンもハイネックも、オードリーの長い首をカバーした上に、スタイルをきりっとひきしめます。

 ポイントは、小物がすべて黒ということ。黒と黄色はともすればインパクトがつよいのですが、分量のバランスがよく、黒いバッグと長めの黒手袋をあしらって、いっそう知的に見えます。オードリーは男たちに追われ必死に走って逃げますが、黒い靴にはきちんとヒールがありました。


イラストの画像をクリックすると、より大きな画像でお楽しみいただけます。

ただし、営利目的での無断転載・複製を禁じます。