華やかに展開する舞台のなかのキーポイントに、
それぞれにふさわしいアクセントを与えてもいるんです。
物語がうまく流れるようにするだけじゃなく、かき混ぜたり、風をおこしたりして
観客をドキドキわくわくさせてくれるってわけ。
その構成力ったらすごい。
要所々々のメリハリが絶妙。
それは全編通してそうで、おそれいっちゃうのだけど。
顕著に分かるのがこのあたりなんです。
しかも説明役でありながら、小粋でセクシー、
冷たい死の影と熱い狂気をもつルキーニという男に、
魅力的な存在感を持たせてる。
お歌も最高ここのとこ。
戴冠式で、民衆から皇帝、皇后、トートと歌い継ぎ、
最後にルキーニの「つかの間の女王・・」になるところ。
もお、よく皆ふつうに呼吸できるのね。私ハクハクして意識が・・。
お歌って言えば、一幕めの「バート・イシュル」のとこもだーいすき。
あーつ、つ、つってステキな地声も聞けるし、
「バート・イシュルの夏は暑い。今年はとーくべーつ」は特別よーく聞いて。
だいたい、母音がきれいに響く声質だし、
呼吸器の構造が人間レベルを越えてるんじゃなかろかと存じます。
「ばんくーるーわーせー、おもしーろおーいっ」って真似したんさいませ。
あんなふうにド迫力で軽快に歌えるひとって他にいるとも思えない。
すごく男っぽいけど、ほんとはとっても女性らしい方なんじゃないかな。
しなやかで繊細な感性となみなみならぬ努力が、
まさにプロのお仕事を成功させていました。