Mac改造大作戦
8.私のMac近況報告!

 フォント管理ユーティリティExtensis Suitcase 8J

 仕事場のDTP環境は業務として安定した環境を構築しているが、自宅では今後を見据えた最新環境をさまざまな方向から検証、実験を行う目的でDTP実験工房を構築してある。

 最新OSのMac OS8.5、8.6は仕事場で使っているSuitcase 3Jを使えない。対応していないのだ。しかも開発元のSymantechがこれを身売りしてしまったので、すぐに対応版が発売されるとは考えられなかったのでしかたなくしばらくAdbe ATM Delux 4.0Jを使っていたのだが、起動が遅いのと慣れないインターフェイスでどうも使いにくい。やはり慣れたSuitcaseの日本語版を使いたい!

 先日ニュースでExtensis Suitcase 8Jの発売を知り、早速購入して使用してみた。なかなか便利な機能が追加されているので追加機能レポート、及び私の体験したトラブルレポートをご紹介する。


Extensis Suitcase 8J レポート

インストール
 しばらくAdbe ATM Delux 4.0Jを使っていたので、このままExtensis Suitcase 8Jを入れるとコンフリクトを起こしてしまうはずだ。また、Extensis Suitcase 8Jには新しくフォントメニュー機能も追加されているので、ATRも未使用にしておく必要がある。
 この辺の対策はきちんとマニュアルに書かれているので、まずはAdbe ATM Delux 4.0Jを Delux版ではないATMに入れ替える作業を行った。
 方法は、Acrobat Readerをインストールして作成されるATMを、今まで使っていたATM Deluxに上書きしてしまうという方法である。
 ただし、このままではATM Deluxのインストール時に作成される起動項目フォルダ、アップルメニューフォルダ内のエイリアスは削除されないので、きちんと取り除いておいた方が良いだろう。

 次にExtensis Suitcase 8Jのインストールだが、インストーラを立ち上げてインストールするだけなので簡単である。この時、QuarkExpressがあると自動的に検索してバージョンに合ったSuitcaseXTをインストールしてくれるのは大変手間がかからず便利である。
 インストール後、Extensis Suitcase 8Jを立ち上げてパーソナライズを行えば使用できるようになる。その後フォントセットをフォントフォルダ外に作成して、これをExtensis Suitcase 8Jに登録すれば便利なフォント管理が行えるようになるのだ。(私のフォントセット作成方法を紹介したページ作ったので、セットの作り方が判らない方は是非参考にしてほしい。)

追加機能
 Extensis Suitcase 8Jは、今までのSuitcaseの機能をそのままOS8.5以上でも使えるようになった事はもちろんだが、独自に新しい機能が追加されている。

 最も優れた機能としてQuarkXpressのフォント自動オープンエクステンションがあげられる。これは、QuarkXpressのドキュメントに使用されているフォントをSuitcase 8JXTが事前に調べて、Suitcase 8Jで管理されているフォントであれば自動的に開いてくれるという機能である。そしてSuitcase 8Jの管理外のフォントで置き換えが可能なフォントを列挙、あるいは報告し、ドキュメントを開く前に置き換えが出来るといった機能である。
 さらに素晴らしいのがQuarkXpressのドキュメント内に配置されたEPSファイル(Illustrator EPS)の中まで調べて管理フォントがあれば自動的に開いてくれる点である。
 たぶん外部制作ドキュメントの出力を行ったかたは経験があると思うが、QuarkXpressで使用フォントを調べあげてフォントをオープンしてからいざ出力しようとしたとたん、「EPSファイル中にシステムに存在しないフォントが使用されています。」のアラートで出力を一旦中止して、さらに不足フォントを立ち上げてから「アラート出るな!」と祈りながら出力した方も多いと思う。でもこれからはSuitcase 8JXTのおかげでこの手間が不要になるのだ。
 本当に出力関係ではこの機能は手放せなくはずである。多少ドキュメントのフォントを調べるのに余計な時間はかかるが、フォントを立ち上げていなかった場合を想定すればほんのわずかな時間で済む。願ったり叶ったりである。

 一方、制作側ではSuitcase 8JXTよりもSuitcase 8J MenuFontsが大変便利だ。従来のSuitcaseにもWHYSIWYGメニュー機能はあったがほとんど使われていなかったのではないかと思う。私もそうだったのだが、細かい設定が出来なかったからなのだ。ようやくSuitcase 8Jでコントロールパネルが独立し、フォントを自由にグループ化出来るようになった。さらにフォントタイプが判るようになったのは大変嬉しい。。
 フォントタイプが判るようになったというのは、フォント名の後に「Ps」「Tt」等のフォントのタイプが表示されるのだ。これは誠に便利である。間違えてトラブルの発生するフォントで制作してしまう事を未然に防ぐことが出来る。
 欲を言えばドキュメント中のOCFとCIDの区別もつけばと思うが、混在御法度の現在、ここまでSuitcase 8Jに認識させる必要はやはり無いか!

 最後にSuitcase 8J本体の改良された点であるが、OS8.5、8.6に対応した事。これはおそらく丸漢フォントをフォントフォルダ外で管理出来るようにした事が大きな要因だと思う。
 OS8.5からは丸漢フォントの扱いが大きく変わり、従来の方法ではトラブルが発生する。PSフォントの丸漢は、OSに付属の丸漢アップデータにかけるとさらに問題を引き起こす結果を招くようだ。そこでフォントフォルダ以外に丸漢フォントを置いて管理出来れば問題は発生しない事になるが、2バイトフォントというのはそう簡単ではないはずである。さまざまな検証を繰り返し、ようやく日本語版に漕ぎ着けたのではないかと考える。

 AppleScript対応。AppleScriptでスクリプトを組んで、さまざまな自動化を実現出来る。残念ながら私はAppleScriptに疎いので詳しいことは不明だが、うまく使えば様々な自動化が図れそうである。

 Extensis Suitcase 8JXTがドキュメント中のフォントを開くので、起動時フォントを最小限に抑えられる。って事は、システムヒープを減少させられるという事で、システムの安定には願ったり叶ったり。けっこうフォントってシステムメモリ占有していますヨ。マシンの起動もメチャクチャ遅くなるし、出来れば起動時フォントは減らしておくにこした事は無いのだ。

トラブルレポート
 自宅のマシン用に新規購入したのだが、使用してみて気に入ったので事務所にも導入申請を出して購入してもらった。自宅ではATM Deluxからの切り替え、事務所では旧Suitcase3.0Jからのアップデートとなり、大変貴重な検証結果が得られた。まだ発売されたばかりのソフトである。何度かトラブルに遭遇したのでレポートを紹介させていただく。

 旧Suitcase3.0Jからのアップデート(OS8.1)

1)旧Suitcase3.0Jからのアップデートを行った再、従来のセットはそのまま維持されるが起動時セットフォルダが消失してしまうトラブルが発生した。起動時セットフォルダの名前が旧Suitcase3.0J同様の「起動セット」になってしまうため、ただのフォルダとして認識されてしまうようだ。フォルダ名を「起動時セット」に変更して再起動したら直った。

2)一時フォントを追加して開こうとすると、意味不明のエラーコードが出て追加できないトラブルが発生。Software Tooのサポートに連絡して解決を求めるが、「同じ環境を再現出来ないので対応しかねる。」と逃げのお決まり文句を陳べだしたので多少カチンとなり徹底的に原因を追及。
 結果としては旧Suitcaseから引き継いだフォントデータベース(初期設定ファイル)に問題があり、これを削除して新しくセットを組み直したら問題が起こらなくなった。後からTooのサポートでも旧Suitcaseからのアップデートで同じトラブルが再現したとの事なので間違えは無いはずである。なお、このエラーコードは開発向けのエラーコードで、すでに解決済みのはずだとの事だ。

3)上記トラブルを回避するため別のマシンに旧Suitcase3.0Jと初期設定ファイルを削除してからインストールを行ったところQuarkXpressが立ち上がらなくなってしまった。これも再度初期設定ファイルを削除して新しくセットを組み直したところ解決したが、どうもフォントデータベース初期設定ファイルがらみでのトラブルが発生しやすいようだ。ただし、この時は新たにフォントセットを組み直しながら何度かセットを入れ替えているので、もしかしたらこの辺が原因かもしれない。

 Adbe ATM Deluxからのアップデート(OS8.6)

1)Adbe ATM DeluxからのアップデートはATM Deluxから普通のATMに入れ替える作業から始まるが、ATM Deluxで作成された起動項目とアップルメニューに作られるエイリアスは自分で削除しなければならない。どうも再起動するたびにATMが立ち上がると思ったら、起動項目にちゃんとエイリアスが残っていてこれが起動させていたのだ。

2)Adbe ATM Deluxに付属するATRは、Suitcase 8J MenuFontsと同じ機能を持つのでコンフリクトを起こす。Suitcase 8Jのインストーラではこれを使用停止にしてくれないので、機能拡張マネージャ等で事前に使用停止にしておく必要がある。

3)フォントセットはATM Deluxから引き継ぎされないので、新たに作り直す必要がある。ついでにフォントセットを見直そうと何度か入れ替えを行ったところ、Suitcase 8J MenuFontsがトラブルを起こして久々に爆弾マークを拝見。
 この機能拡張を外して起動後、初期設定ファイルを削除したら直ったが、フォントセットを何度も入れ替えると簡単に初期設定ファイルが壊れるようだ。しかし爆弾マークまで出しちゃうとは!もう少し開発段階で何とかならないものだろうか。

トラブルシューティング結論!

 Extensis Suitcase 8Jでトラブルが起きたら、まずは初期設定ファイルを全て削除して再起動し、新たにセットを組み直せばたぶん解決出来るはずである。この部分が一番あやしい!これでも解決しない場合に初めてコンフリクトを疑ってみれば良いのではないだろうか。
 Tooに問い合わせたところしきりにコンフリクトを疑っていたが、しまいにコンフリクトテストを行ったコンフリクトキャッチャーが原因ではないかと言い出す始末である。しかし結果は初期設定ファイルの破損が原因だったのだ。

 ただし、同じフォント管理機能やWHYSIWYGメニュー機能を持つユーティリティが入っている場合にはコンフリクトを起こしやすいので注意が必要だ。

事前にフォントセットを作っておく事が Suitcase 8J 活用の早道!
私のフォントセット作成方法、紹介します!

 Mac OS 9 で Suitcase 8J を使用する際、「メニューフォント」をオフにしておく必要がある。これをオンにしておくとシステムがフリーズする。ただし他の機能は問題無く使用できる。

 最近、Suitcase 8J が Suitcase 8.2J にアップデートした。これは OS 9 に完全対応しているので「メニューフォント」をオフにしておく必要は無くなった。また、オープンフォント数も「1,026フォント」と OS 9 のインストールフォント数「512フォント」の2倍に拡張している。さらにバグフィックスが行われているので、レポートに書いた問題はすでに解決されているかもしれない。

 アップデータの入手先は、以下のHPを見てほしい。

ソフトウェア・トゥー製品購入者専用
 http://www.swtoo.com/product/extensis/application/stc/stc.html

 メディアヴィジョン
 
http://www.mvi.co.jp/

2000/10/9追記

 Suitcase8.2Jのオープンフォント数が拡張されていると聞いただけで、実際にどこまでオープン出来るかを試していなかった事に気が付き、さっそくテストを試みてみた。

 以前の256フォントスーツケースを遙かに越え、スーツケース数で670。実際のフォント数で、何と512の約3倍の1,490フォントをオープン出来たではないか。
(Suitcaseには使用中のフォントを一覧表示する機能があり、スーツケース数ではなく実際のオープンフォント数を数えた数字である。)

 という事は、以前にテストしたのはスーツケース数で484なので、実際のオープンフォント数は512を遙かに越えていた可能性が十分にある。システムが重たくなって当たり前だったのかも。(^。^;)

 今回は忘れずにちゃんとアラートのスクリーンショットを撮っておきました!


注  意
 当ホームページの掲載内容により発生した問題、事故などの利害関係に関しましては当方では一切責任を負いませんので、是非お気を確かに持った上でご覧下さいませ。 ( ^)o(^ )


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tomokazu@venus.dti.ne.jp

(1999/2/1より.or.jpドメインは上記.ne.jpドメインへ変更されます。)