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　途中、うっかり１曲飛ばしてしまったかと思った。誰が、渋い低音ロックで始まった曲が高音裏声バラード調で終わるなどと想像できよう。歌伴とともに低音で歌っていた hyde は、前半、影も形もなかったキーボードとコーラスを産み出し、低音歌伴たちを置き去りに中音域・高音域へ徐々に分離していく。声音の変化は毛虫が蝶になり地上から天上へ飛翔するごとし。なんと美しい変態を見せる歌唱であることか。「トリオ・ザ・豹変」とは、変態の過程が長く演じられている点で一線を画す。

　R 指定の歌詞に興奮・発奮した3人が、かつてない音密度の演奏を繰り広げる。しぶきを上げるシンバル、ギターへドラムへ自在に絡み合うハイテク tetsu ベース。やっと抜きおったと思たら左右いっぺんに抜いて曲から溢れ出そな伝家の宝刀 kenのゴリゴリ＝ギター。えらい勢いでかっ飛ぶ歌伴とエロティックな歌詞によろめくことなく低くどっしり構えた歌唱。4人の怪演と緊迫感にほかの楽器が立ち入る隙もない。ただひとつ妙な音が聞こえると思ったら、思わず出していた自分の唸り声だった。うーん、これは白眉ですよ白眉。

　結成10年、メンバーの年齢も年齢につき、技巧的にも編曲パターン的にも成熟期に入る１枚、と思いきや耳新しい編曲がてんこ盛り。yukihiro を筆頭にまだまだ発展を続ける気満々の1枚。

−2004.06.25（Lover Boy）2005.01.08（接吻）−