2000年3月のある日。
庭にほおってあった、MR2スーパーチャージャー(部品取り用)のカバーを久々にめくったら、持ったところからぐずぐずに砕け散ってしまった。
安物のカバーだったため風化していたのである。
新たにカバーを買おうと思ったのだが、どんなに安くても1万円ぐらいする。1年でだめになることを考えると、屋根をかけた方がいいのではないか。ここにきて初めて建設的な意見が芽生えた。
そう、ここへ引っ越してきてからすでに3年。ガレージを建て、囲炉裏を作り、庭ではバーベキューをしているはずだった。
しかし、今、庭はコスモスとススキに覆われ、人の気配が感じられないらしく、国勢調査の調査員すら来ない。空き家と思われているようだ。
MR2は野ざらし、バイクはかろうじて形を保っているビニール製のガレージの中。(しかも床はない。土の上に置いてあるだけなので、さびが・・・。)
さすがの私もどうにかしなくてはと重い腰を上げたのだが。
ガレージを建てるためにはいくつかの難関があった。
一つ目。
MR2が、ガレージを建てるべき場所に鎮座している。ここにきたときは自走できたのだが今は無理。しかも下がでこぼこの土のままなので、押しても引いても動かない。
二つ目。
予算がない。何とか10万円以内に納めないと生活が・・・。イナバのカタログを見ると、私が必要としている広さの既製品は80万円もする。
三つ目。
隣との境界線の問題で、いずれ壊さなくてはならなくなるかも。よって、本格的な基礎が組めない。
以上の事を鑑み、ホームセンターで見つけた、建築用の足場パイプをクランプで組み立てて骨組みとし、床や屋根や壁はあとから張る事にした。
サイズは一番長いパイプのサイズに合わせ、6000x5000とした。
敷地にはもう少し余裕があるが、先ほどの境界線問題を刺激しないため、隣との間を2メーターほどあけたため、このサイズがいっぱいいっぱいとなった。(これでも町に住んでいる人から見たら贅沢だといわれたが。だが最終的には欲が出てパイプを継ぎ足し、敷地いっぱいの8000x5000となった。どうにかなるさ。)
高さは低い方が2000,高い方を2500とした。これで計算すると、骨組みが約20000円、屋根に張る浪板等が30000円、壁が30000円ぐらいとなった。あと床があるが、これはあとから張ることにした。なにせ、MR2を雨ざらしから解放するのが先決である。
床材が30000円、床の骨組みが40000円、総額で約15万円あればできる計算だ。


さて、実際作るに当たって、通常では考えられない手順を踏むこととなった。
ガレージの主であるMR2が、ガレージ建設予定地の真ん中に居座ったまま動かせないのである。
通常だったらまず基礎を作り柱を立て屋根を乗せる。
そういう手順が無理な上、その他の方法を考えるのがめんどくさかったので、結局真ん中にMR2を置いたまま、屋根の枠となる四角形を地面の上で組み、それに柱をクランプし、一本ずつ持ち上げることにした。しかも一人で。
運動会のテントのように、地面から、できあがった屋根を持ち上げたのである。これで、基本的な骨組みはできてしまった。なんて便利な代物なんだろう。
あとは屋根に浪板をつける垂木をいれ、柱と梁の間に45度の角度で補強を入れていくだけだ。・・・・。だったのだが。
基礎がないため柱の位置が決まらず、それぞれの柱がまっすぐ立っていない。
そこで、補強をちょっとゆるめ、柱をまっすぐにしようとしたのだが。
ぐらっ。
私の目の前で、ゆっくりと柱が傾き始め、屋根が低くなっていく。
もう真っ青である。倒れたのは道路側。
私のうちは道路から2mぐらい上にあるため、倒れた固まりが道路の上にかぶさってしまったのである。
パイプといえ、組んでしまった物は数百キロはあり、持ち上がらない。
私は、こうして恥を忍び、車に止まってもらって、半日かけてせっかく組み立てた骨組みを、スパナ片手にもう一度バラバラに分解する羽目になってしまった。(車が走ってきていたら、しゃれにならなかったねえ。ほんと運が良かった。)
ちょうどこのとき友人が、ガレージの進行具合を見にやってきた。
「ガレージは????」
私は力無く、一度はガレージになった地面のパイプ達を指さした。


真ん中に堂々と鎮座するMR2スーパーチャージャーをかばいながら、必死になって組み上げたパイプ。
ここまで、結局2日かかってしまった。すでに、2回目の組立である。
さすがに一人でやるのはつらかった。
ここまでの材料費は、写真に見えている部分だけなら約20000円である。これに、材木、波板、釘、ベニヤ等が必要となる。
2001年10月21日現在ここまでできた。
同じ角度で止まったままのMR2に注目。
そう、いまだに動かないのである。
ここまでかかった費用の合計は約7万円だ。
ただし、一人でやるにはあまりにもつらかったため、ねじを締める電動ドライバーやパイプをカットするカッティング、材木を切る電動のこを買った。
それらを入れると10万円ぐらいになる。
しかし普通ここまで1年半もかかるものだろうか。
ただ、屋根と壁を貼っただけじゃないか、これ。
胴ぶちは垂木を使い(ややこしい)、40mmのパイプにこのように止めてあるだけだ。
実は専用の垂木止めがあるが180円もするので、いろいろ探した結果、この配水管止めを見つけた。1個28円である。
巻いてあるガムテープはずり落ち防止である。
何しろこのクランプは買った店でサイズが微妙に違い、きっちり止まるのもあれば、ぶかぶかのやつもある。
材木を仕上げず使ってあるのがとっても私らしい。
貼ってある波板は1枚580円の安物だ。
屋根もまったく同じやり方で、垂木を止めている。
ちなみに、垂木も胴ぶちも同じ材料(45x45x3600)を使っている。
これが屋根裏である。
仕事の雑さが性格をあらわしている。
屋根がむらになっているのは、落ち葉が堆積しているからである。ほっとくといい堆肥が出来上がる。
これがガレージの全景である。
実際は今日さらに左へ2m伸ばしたため、
最終的に9mx5mx2.5mになる予定。
手前がVFR400と一緒に買ったライトエースディーゼルターボFXV4WD。この車か、ハイラックス4WDでないとこのように駐車できない。2WDではこの坂を登れないのである。
よくMR2をあそこまで入れたものだと感心している。
ちなみにすべての乗り物はここから出入りするしかない。この開口部以外、右も左も石垣である。
2002年2月10日
今日はMR2にとっては特別な日となった。
やっと地面とさよならしたのである。
ここまで、一人でハンドウィンチを使って引っ張り上げた。
車庫がまともな構造なら車を引っ張るためのアンカーは柱に結ぶのだろうが、この車庫の柱は地面に載ってるだけなので、そこにワイヤーを引っ掛けると車庫自体が引っ張られて動いてしまう。
そのため、壁に穴を開け、その向こうに生えている竹にベルトをかけ、それにウィンチをかけて引っ張った。いやあ、竹ってすごいわ。ほんと。
驚いたのはMR2の短さである。1.8mのコンパネ2枚分にすっぽり載ってしまった。そのうえ軽いので、床も沈まない。
さて、これで手前に床を張ることができるようになった。次はいつになるだろう。
床は馬鹿らしいほど簡単な構造だ。
ブロックを45センチ間隔で地面に敷き、ツーバイフォーの角材を下地にして、12mmのコンパネをねじ止めしただけである。
左に立っているのが床の裏面。
この後さらに90cm間隔で360mmに切った角材をはしご状に入れてある。
ブロックは本当に地面に敷いてあるだけだが、すべての上面の高さをそろえるのに難儀した。
ここまでかかった費用を計算してみた。
6mのパイプが4本で7000円
5mのパイプが10本で13000円
3mのパイプが10本で8000円
2mのパイプが10本で3000円
計31000円
ジョイントが50個で7500円
以上骨組み計約40000円
壁と屋根に張ってある波板が3m13枚、1.8mが23枚で、計約30000円
屋根と壁をとめている角材が3.6m換算で50本で約20000円
床材のコンパネが16枚で約15000円
それの骨組みが2x4材3.6m20本で約15000円
敷いてあるブロックが90個で約15000円
釘、ねじが2000円、砂利が2000円
以上合計約125000円

2002年2月10日現在まだ扉がないため盗難防止にバーを渡してある。・・・って、誰がこんなポンコツ盗むんだろう。ちなみに犬が4匹いるので、こんなのなくてもいいんだけど。


2002年4月7日
家のなかを不法占拠している漫画をなんとかしようと、ガレージ内に棚を新設した。
ただし、いつ雨もりするかわからないから(何しろ私が作ったガレージである)市販のコミックボックスに入れてから棚に載せることにした。
パイプで枠を作り、2X4の角材を2枚渡してある。
これでもまだ半分は家の中に残っている。
3000冊ぐらいあるらしい。

続く


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