97’BMW Z3 ROADSTAR 1.9


どう見ても5ナンバーとは思えないフロントビュー。
写真ではわかりにくいが複雑なラインで形成されていて、かなりボリュームがある。

全長の約半分を占めるボンネットはこういうふうに開く。
本来6気筒が載るように設計されているため、開口部が大きい。
ダンパーが秀逸で、ゆっくり開いてゆくさまを眺めるのは、オーナーの特権である。

開放感の高いオープン状態。
スタイルもなかなか。
写真より実物が絶対いい。
複雑なボディラインは、写真では表現できない。
所有する喜びは、値段以上である。

1800ccのベースエンジンを1900ccにボアアップし、100cc分の低速トルクを得たエンジン。ぜんぜん回らない。パワー感もないが、その分燃費が非常によい。こういう方向性も悪くないと思わせるが、できたらマフラーはもっと元気のいい音が出るものに換えたい。

あまり高級感がないコックピット。
シートは文句なしにいい。
シフトも節度があり、気持ちよく変速できる。
ボディ真中が絞り込まれているため、室内はタイト。

この車で一番美しいところ。
フェンダーの張り出しは芸術的である。
バイクと同じバッチはいい!。


マツダのカペラカーゴを約8年乗った弟が、突然「ユーノスロードスターが欲しいと」叫び、中古車を探し出した。
中古車屋を数件めぐり、3万km走行、100万円弱の玉を見つけ、契約してきた。
そして、数週間。
仕事帰りに受け取り、のって帰ってきた車は、どうみてもユーノスじゃない。
目のさめるような真っ赤なボディ。
大きく張り出したフェンダー。
そして、フェンダー両側にある、さめのえらのようなスリット。
BMWじゃねえか!
「いやあ、ロードスターのとなりにこれがあってさ。」
もう一目ぼれしたそうだ。
約200万円。予算の倍である。
「新車だと350万だって」
走行30000km。程度は極上である。
「だって、ユーノスだと、次に下取り出来ないもの。」
カペラカーゴがまだ3年目ぐらいのとき、一度査定してもらったことがある。
250万弱で買った車が、3年で15万円!
「マツダですから」
実は最近私はBMWのバイクを個人売買で売ったのだが、購入した値段で売れた。
「外車」は財産になるのである。
早速試乗会となった。
が、敵は生まれて初めての左ハンドルを装備していた。
しかも右手で操作するマニュアル5速である。
国産車と同じ位置にあるイグニッションをひねると、しょぼい音でエンジンが回りだした。
静かだ、いや静かすぎる
で、走り出す前にまずエンジンとご対面することにした。
左側奥にある質感のいい大きなレバーを引くとロックが外れた。
前に回り「豚の鼻」のところに手をかけると、ダンパーの力で、フェンダーごとボンネットが持ち上がった。
巨大だ。
車の全長の半分がボンネットである。
そこにあるのは、フルカバーされたDOHC直4エンジン。
エンジン自体もかなり大きい。
これで1900cc?
じゃあ、車体サイズが3ナンバー?
「これ5ナンバーだよ」
って、うそ!AW11のMR2とほぼ同じ大きさしかないの?
そう、第一印象は間違いなく3ナンバーなのだ。
大きく見せている第一要因は、大きく張り出したオーバーフェンダーだろう。
実は張り出しているのではなく、ボンネットが先端に行くにつれ細く絞り込まれているのである。
キャビンも狭くドアの厚みが半端じゃないため、スケール感が狂い、幅広く長く見えるのだ。
これはすごい。
国産車じゃ絶対無いデザインだ。
エンジンルームはよく見ると、半分何もないスペースとなっていて(バッテリーはトランクにある)、そこにものがいれられるようになっている。
「これはなに?」
エンジンルームの片隅に大きな箱があり、そこに何かある。
ふたを開けるとバッテリ-のターミナルだ。
リアトランクを開けずに電気を取り出せるのである。芸が細かい!
十分に堪能したあとキャビンに乗り込む。
夜なのでライトをつけ・・・、ってライトスィッチは?
これはメーター横にあった。
昔ながらの引っ張るタイプである。
そしてよく見るとスィッチが左右に回る。
車内灯を含め、すべての照明があかるくなった。
そしてステアリング下のダイアルをまわすとヘッドライトが上下に動く。
うをー、これはいい。荷物を積んでもライトがハイビームにならないじゃん。
一通り車内をいじくってから、ブレーキをふみ右手でギアをバックに入れる。
バックギアは国産車と同じパターンの左上に飛び出している。つまり、H型のパターンの左上にバック、右下に5速が飛び出しているのだ。
慎重にバックで道路に出て、1速へ。
ゆっくりと発進し2速へ。
交差点でウィンカーを左へ。
ワイパーが動き出す。
ウィンカーはハンドル左側にあるやつだ。
その後何回もウォッシャーをだしたり、窓を拭いたりしながら何とか国道へ出た。
出来るだけ左側を走るのだが、対向車とすれ違うたびに助手席から悲鳴が上がる。
気を抜くとセンターラインを踏んでしまうのだ。
しかもシフトするたびについつい右へよってしまう。
約20分の試乗会のあと、よれよれになった弟がおりて、車庫入れを見ていた・・。
「ばかやろー!ブレーキブレーキ!!!!」
降りてみると、あと数センチで前に止めてあったMR2のお釜をほるところだった。
だって前が見えないんだもの。ボンネットが丸いんで、真中ぐらいまでしか見えないんだよー。
こうして私の生まれてはじめての左ハンドル遭遇は終わった。
あれ以来乗せてくれない。


BMW Z3 ロードスター
1900cc 194S型直列4気筒DOHC16バルブ 140馬力/6000rpm 18.3kg/4300rpm
全長が4mちょっととAW11MR2より10cmほど長い以外はほぼ同サイズだ。(4035x1690x1275)
ただし、装備が充実しているため車重が200kgほど重い。(1220kg)
ABSは当然として、なんと、トラクションコントロールも標準装備である。
さらにLSD、ミラーヒーター、盗難防止付きキー、外部から閉めることが出来るパワーウィンドウ、電動シート等も標準。
BMWのバイク乗りなら知っている高品質の工具も健在だ。
お値段が350万円とホンダS2000を買えてしまうのだが、私はこっちをお勧めしたい。
オープンの楽しさは絶対こちらが上であろう。(S2000を乗ったことがないので明言できないが・・・一生乗れないだろ−しなー)
オープンもワンタッチ、1分前後で出来る。
そして一番お勧めする理由。
開放感がすごいのだ。
サーフボードの上にちょこんと座っている感覚。フロントウィンドウがつったっているため、周りにさえぎるものがない。
確かにパワーはない。S2000の半分だ。
しかしこれで十分だと感じさせるエンジンは秀逸だとおもう。
そしてそしてびっくりしたのが燃費である。
15km/l。
最低でも12kmは走る。ただしハイオクが必要だけどね。(51リッター)
責める気にならない左ハンドルの効用か。
もちろん右ハンドルもあるが、そちらにはマニュアルがない。
5速がほしけりゃ左しかないのである。
この型が初期型で、このあと2000cc6気筒、2800ccとでかくなり、(同時にブりスターフェンダー化した)確かにスポーツカーとはなったのだが、やはりこのサイズこそ楽しめるとおもう。
今なら、たいてい200万円前後で買えるので、オープンが欲しいなら無理して買ってみては?
走り屋以外なら絶対満足できるはず。(逆にいうと足回りはタコである。やわらかすぎてハンドル切るとずっこけてしまう。)
大抵大事に乗ってるし。特にこの車は前オーナーがバレエ団の理事という女性だったため非常に程度がよかった。
ただひとつどうしても許せないものがある。
左右足元に埋め込まれたスピーカーは音がこもって聞けたもんじゃない。
だから探すんならスピーカーをあとづけしたアニバーサリーモデルがお勧めだ。タイヤも太いし。(205−15から225−15になっている)
居住性だが、弟は会社を1ヶ月休み、日本半周してきた。
何の不満も感じなかったそうだ。そりゃあバイク乗りだからねえ。


2001年7月1日
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