88年 KAWASAKI ZX10

      

左は九州やまなみハイウェイ 牧ノ戸峠。3月末なのに阿蘇は雪が積もっていた。
右は翌年12月にいった清里ツーリング。国有鉄道最高地点、って今はJR鉄道最高地点になっているじゃありませんか。(XL250Sのページをご覧ください。国有鉄道になっていたから。)背景は八ヶ岳。(ここが好きだなー)ペンションは軒並み休業だったのだが、1件だけ私1人のために全館暖房を入れてくれた。原村ペンションブレーメン・・・ガイドブックにはもう載っていない。


平成1年念願の大型免許をとったのですが、特にほしいものがなく(GSXR1100を弟に買われたため)しばらくVFR400に乗っていました。
そこに弟が当時世界最速だった、ZX10を買ったのです。
280KMまで刻まれたメーターを見てびっくり。
40KM/Hなんてメーター左側の水平以下。
さらに驚いたのがタコメーター。
レッドゾーンが10000回転以上?。
1000CCで?。
いままで、2気筒ばっかり乗ってきた身には、驚きの高回転。
で、さっそく九州行きをでっちあげ、VFR400で行くけど、レプリカはつらいなあ、とぶつぶつ言ってると、案の定「慣らし、やるか」の期待どおりのありがたいお言葉。
いよっ、確信犯。
われわれ3人兄弟の間では、貸し借りはなんの抵抗もないのです。(だからこのページができたのだ。ひとりで48台も買えねえよ)
で、めでたく、往復1600KMの旅に走行0KMのZX10を確保。
たださすがに、1600KM全走する自信がなかったので、神戸からフェリーを使うことに。
国道1号線から東名阪、西名阪を経由し大阪、神戸へ。
いやあ、すごいよ、これ。
6速、2000回転で40KMでるもの。
しかもアイドリングでも、ぎくしゃくせずに走ってく。
もっと試してみたら、6速で発進できる。
つまり、6速ギア1個だけで、発進から280KMまでカバーするってことじゃん。
まるでオートマチック。2気筒ではこうはいかないねえ。2000回転以下で走るなんてほとんどむりだもの。
ただし、渋滞にはまると1速のギア比が高いため、アイドリングでもゆっくり走れない。
半クラッチを多用する必要があるのです。
このクラッチが重いんだ。
しかもハンドルが遠いうえ、クラッチレバーが遠い。
調整機構があるんだけど一番近くしても遠い。
角度も悪いため手がつりそうになる。
最後には指を引っかけて腕ごと引っ張るようにするはめに。
そして・・・神戸。
慣らしなので、上限を3000回転に限定したので高速はパスしたのだけど。
なのに・・・・。その事件は起こったのです。
4時に六甲アイランドについたので、フェリーチケットを購入。
出航は7時30分。
3時間半あるので、三宮へ飯を食べに行ったんだけど、余りに混んでいたのでパス。
その辺をうろうろしているうちに、6時になったのでフェリー乗り場へもどることにしました。
6時半、ポートアイランドへ。
しかし、フェリー乗り場がない。
ポート=港という先入観が私を窮地に追い込んだのです。
ガソリンスタンドで乗り場を聞いたら「フェリー乗り場、となりの六甲アイランドですよ。」
チケットは買ってあるんです。
あと1時間。乗り込みまでは30分。
冷や汗がどっと。
結局、ごめんなさい、ごめんなさいと唱えながら、高速道路で100KM+アルファだしてしまったのです。
恐ろしかった。まじで。
4000回転までは400CCと同じぐらいの加速だったのに、4000回転から7000回転まで2次曲線を描いて2サイクルのようにフロントが軽くなって、7000回転を越えたらフロントが地面とさよならー。
生まれてはじめて味わった1000CCのフル加速は夢のよう。
うをーと叫びまくり、フェリー乗り場が見えたとき、最後のバイクが乗り込んだ後。
幸い車が少なかったため、車を積み終わるのを待って乗せてもらいました。
その夜は先ほどの異次元加速を思い出しながら、明日からのツーリングを想像し、熟睡したのでした。
下から見上げる夜の瀬戸大橋きれいだったなー。
翌日、小倉港から、子供の頃連れて行ってもらった、開通当時東洋一の吊り橋だった若戸大橋へ。
うーん、当時は大きく見えたのに。
子供の頃を思い出しながら、3号線を西へ。
福岡市内に入ってびっくり。
高速がある。
20才から22才までを博多で過ごしたんですけど、まだ、市電が走っていました。
いまじゃ、当時の面影無し。
ふと脳裏に浮かんだ、あのころはやっていた、石野真子の「狼なんか恐くない」を口ずさみながら佐賀のばっちゃん家へ。
ただいったんじゃつまらんので、海沿いに走っていき、山越えすることにしました。
福岡、佐賀県境にある三瀬峠。
ここは、コーナーに番号が降ってあり、ヘアピンの連続でたいへん楽しい峠だったんです。10年前SR乗ってた時は。
それが、トンネルができてるじゃありませんか。
峠のすさまじい寂れように驚き、あわててうどん屋を探しました。
そう、この、峠のうどん屋が目当てだったんです。
さいわい、うどん屋は相変わらずそこにありました。
子供の頃と変わらない味に満足しながら、峠を下り、佐賀市内へ。
久しぶりに集まってきた、いとこや、親戚に質問責めにあいました。
「排気量いくつね?」「1000CC」驚きの顔。
「何馬力あっと?」「137馬力」みんな絶句。
「何キロでると?」「うーん、280KMは、ずって思うばってん。」一同沈黙。
もう、子供達のヒーロー。
翌日、3号線を南下、久留米から大分に向かいました。
愛知と比べると整備がされてない狭い国道を、慣らし回転で流します。
あ・・暑い。フレームが手でさわれんぐらい熱い。まだ、4月だぞ。真夏になったらどうなるんじゃい。
210号線、212号線を経て阿蘇の外輪山の縁、大観望へ。
ここは、平らな高原にあいた、直径数十キロのすりばち状の穴のふちです。
ここからヘアピンカーブの連続で、阿蘇の外輪山の内部へ降りて行きます。
いままで、あちこちいったけど、こんな景色はほかにありません。
九州ツーリングをする方、おすすめです。
さて、ここまで快調に80KM/Hぐらいで来ましたが、この先40KMまで速度が落ちてしまいました。
なぜでしょう。
あまりにきれいな景色に、早く走るのがもったいないから。
ゆっくりゆっくり走りました。
そして阿蘇山火口へ。
実は、阿蘇山という山はありません。
高岳、根子岳等、いくつかの山の集まりです。
頂上へ向かう途中にある妙に形の整った小さな山、米塚をながめ、道ばたで誘惑する、アイスクリーム売りのおねーちゃんから、無理矢理目をそらし、ついた火口は不気味な口をあけて今日も活火山しています。
そしてそして、本日のメインイベント、別府阿蘇道路、通称やまなみハイウェイ。
断言しましょう。日本一の有料道路だと。
後ろから追い上げてくる、レプリカや、GTカー達に道をゆずり、たっぷり1時間以上かけ堪能しました。
こんなにゆっくり走るのは何年ぶりだろう。
これも、ZX10のトップスローのなせる技。
なんで、280KMもでるバイクが、6速1500回転で走れるんだ。
燃費も20KMをきることなく、無事別府のフェリーターミナルへ。
ここでチケットを買ったとき、何CCですかと聞かれたので、1000CCと答えると、「えーっ、そんなのあるんですかあ。」と外までおねーさんが見に来たのを覚えてます。
さすが九州。当時750CC以上はほとんどなかったみたい。
で、無事帰宅。
きれいに洗って、返しました。
もちろん、べたぼめしながら。(借りるときのエチケットだ。決して欠点をあげてはいけません。次に貸してもらえなくなるから)


長所


欠点


カワサキZX10 
前モデルであるGPZ1000RXのエンジンを12馬力パワーアップして、アルミツインチューブのe−BOXフレームに搭載。
前後16インチから17x18に変更してホイールベースを15mm短縮し、ツアラー然とした外観から想像できないほどよく曲がる。
身長と体重があれば、これほど目的を選ばないバイクはない。ツーリング中心だけどシグナルGPにも負けたくない人なら絶対おすすめのバイクです。特にまたがった位置から見るタンク周りや、はみだしたフレームは絶景。中古車は30万円から。
137馬力/10000回転、10.5kgm/9000回転 乾燥重量222kg タンク22リッター 実燃費15−20km


大型自動2輪が教習所で取れるようになった今値段が上がってきました。
それでも400CCの新車以下の値段でフェラーリを加速で抜けるバイクが手にはいるなんて、なんていい時代なんでしょう。
車で0ー400M10秒台なんてのは、数千万円するからなー。
ZX10はもう一度手にいれたいバイクの1台であります。

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